【完結】愛を刻んで

さか様

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社会人編

思い出(3)

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アウレアの会議室で、優真は社長から直接声をかけられていた。

「蓮くんの国内での仕事は、年内で一区切りにする。
年明けには本格的にイギリスでの準備に入ってもらう。
……優真くんも引き継ぎとかあったらよろしくね」

「……はい」

頭では理解していたはずなのに、胸がざわめく。
もうすぐ、日常が本当に変わってしまうのだ。

――

「ただいま……」

「ん、おかえり」

優真が玄関を開けた瞬間、ネクタイの上で揺れる社員証に、先に帰宅していた蓮の視線が移った。

スーツ姿の優真は帰宅してもまだ会社の匂いをまとっている。

「……あ、社員証つけっぱなしじゃん」

「あ……ほんとですね。いつもカバンに入れるんですけど」

優真は慌てて胸元を押さえ、照れ笑い。
蓮はふっと笑みを浮かべ、近づいた。

「それも、もう少しで使わなくなるんだよなぁ。年明けから準備って社長に言われた」

「はい、おれもです……。なんか、ちょっと名残惜しいですね、」

そう言った瞬間、蓮が低く囁く。

「ならさ、作っとく?」

「えっ……」

返事を待たずに壁へ押しつけられ、社員証がカタンと揺れる。
硬いカードが服越しに擦れ、優真はびくりと体を震わせた。

「スーツに社員証ぶら下げたまま抱かれるとか……えっちすぎ、」

「そ、そういう言い方……っ」

「顔隠したい?それで隠す?」

社員証を両手に持たされ、顔を覆う優真。
カードの真面目な証明写真がのぞく。
赤く火照った“本物”との落差に、蓮の声が低く嗤った。

「……なぁ、隠れてねぇぞ。見せつけてんね?」

「やっ……!もぅ、やめ……っ」

蓮はからかうように耳まで真っ赤になった優真の顔を覗き込み、抱き上げ、ベッドに下ろした。

ネクタイを緩められた拍子に社員証が胸元に落ち、乳首を擦る。

「んっ……!そこ…や、…」

「ほら、感じてんのバレバレ」

わざとカードを押しつけて揺らすたびに、優真は震えて声を漏らす。

「証明写真の真面目な顔も可愛いけど……こっちの顔のほうが、ずっとくるな…」

「なっ……言わないで……っ」 

待ちきれず蓮は優真のズボンも下着も一気に剥ぎ取った。
空気に触れたからなのか期待を孕んだからなのか、優真の体が少し震える。

自身もズボンを下ろし昂ぶりを下着から解放すると、直ぐに優真の中へその熱を鎮めた。

仰向けで腰を突き上げれば、社員証は揺さぶられるたびに上へ移動し鎖骨で小さく跳ねる。

横抱きで腰を振れば、今度は顎の下で揺れる社員証。
優真は苦しいほどの快感に泣きそうになった。

向かい合わせで抱き合えば腰を社員証の角が乳首をくすぐって、優真は震える声で訴えた。

「や、やだ……おればっか、こんな……っ」

「ははっ、ほんとは好きなんだろ?」

「ちがっ……あっ……!」

「優真はさ。顔も声も、正直すぎ、」

羞恥に顔を隠そうとする優真の手を掴み、蓮は笑う。

「隠してるつもりでも、全部俺に見えてんの。かわいーね?」

最後はベッドに手をつかされ、深く後ろから揺さぶられる。

ぶら下がった社員証は行き場をなくし、律動とともに揺れていた。

「なんか揺れてるの、えろいな…」

「やっ……やめ……そこ、かかっちゃ…」

迫りくる快感に耐えきれず、社員証に優真の白濁が散って、濡れた。

写真の中の真面目な顔にかかったそれに、優真は涙目で「わぁぁぁ!」と叫んでシーツに突っ伏す。

蓮は笑いながら抱き寄せ、耳に唇を寄せた。

「そっちに自分で顔射しちゃったね」

羞恥に真っ赤なまま震える優真を、蓮は強く抱きしめた。

――

「もぉ……っ……蓮さん!いつまで笑ってるんですか…!」

優真は顔を覆いながら、耳まで赤くし熱を上げている。
社員証がひんやりと胸に当たる。
真面目な写真の自分が、どこか気まずそうに見えた。 

「だって顔射してるし…ふっ…やべぇ」

「……これ、どうすればいいんですか」

優真が情けない声でそう言うと、蓮は喉を鳴らして笑った。

「拭く。けど、その前にちょっと見せて」

「や、やめてくださいってば……!」

「いいだろ?これも、」

「そんなこと言って、もー!」

笑いながらも、蓮は優真の手から社員証をそっと取り上げ、
ティッシュで丁寧に拭った。

それから、そのままカードを見つめて微笑む。

「なんか、こうして見るとさ……この写真の優真より、今のほうがずっといい顔してる」

「……え?」

「優真さ、変わったよね。頼もしくなっちゃってさ~」

優真は小さく息を呑み、言葉を失う。
蓮は社員証を胸元に戻し、軽く指で撫でた。

「これ返すとき、ちょっと寂しくなるな」

「……ふふ、おれもです」

優真はベッドの中で小さく笑った。
ふたりの間に静かな呼吸だけが流れる。

「でも、これ見たら思い出すだろうなぁ。今日のこと」

「やめてくださいって……っ」

「記録にも記憶にも残る優真、だな」

「なんですかそれっ!」

照れた声を上げる優真の頬を、蓮は指先でなぞり、唇を落とした。

「……残りの時間も沢山一緒にいようね、」

そのまま抱き寄せ、温もりを確かめ合う。

社員証のカードが胸の間で静かに揺れ、ふたりの新しい未来を照らすように小さく光った。
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