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学園編
旅立ちは新たなるプレリュード
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ビートとの一件から二年_____遂に王都へ旅立つ日がやってきた。
「では、行って参ります」
最低限の私物をまとめ、両親と少ないながらも見送りに来てくれたメイをはじめとするビートの息がかかっていない使用人達に向かって挨拶する。
「気を付けるのだぞ」
父上がいつも通り寡黙ながら力のある声で答えると、それを皮切りに次々と言葉が送られてくる。
「坊っちゃまがいなくなると寂しくなりますなぁ」
「それに採掘も大変になります」
「そりゃ、今まで坊っちゃんに頼り過ぎだなんだよ 」
「違ぇねぇ。勘を取り戻さにゃならんな」
数年一緒に剣や塩を採掘した者が軽口を叩いて和ませてくれるなか、メイと母が前へ進み出て来た。
「リドル、貴方には充分……とは言えませんが時間の許されるなかで教えられることは教えました。私の現役時代に率いていたもの達からすれば漸く新入りより少し上くらいの力量ですがさしあたって充分でしょう」
「母上……」
(あれで新人研修終わったくらいなのか……)
思い返しても過酷だった訓練の日々に母が現役の時はどんな部隊を率いていたのかと考えかけて思考を打ち切る。
こういう状況でそんな魔境のことについて考えても仕方ないことだ。
「とりあえず貴方には工兵としての動きと非正規戦での動きを仕込んだつもりです。これである程度までなら勝てずとも逃げることはできますが決して油断しないように!」
厳しい激励の言葉があったかと思うと突然抱きしめられ「何時でも帰ってくるのですよ。どんな事になっても生きていれさえすれば、生きてくれさえすれば……」となんども絞り出すように囁かれる。
「母上、わかりました私としても生きないと何も成せません。なまじ名誉に固執して命を粗末にするなど最初から思っていませんよ、それこそ何がなんでも生き残ってみせます」
ハグされたままそう返せば、転生した当初……いや前のリドルの幼い記憶にあるように優しく頭をポンポンと撫でられる。
「それに、凄い今生の別れみたいになってますけど良く良く考えてみれば王都の学校にいくだけですよね?」
「それはそうだが王都は此処と違って色々、な」
普通に見送られるはすがどうしてこうなったのか。
「あと……流石に恥ずかしくなってきたのでそろそろ離してくれるとありがたいのですが……」
大勢の前で母親にハグされっぱなしというのは中身はもちろん、外見年齢としても羞恥を覚えてしまう。
「んん!坊っちゃま、これまでお世話をさせていただきました」
気まずいくなった空気を変えようとメイが咳払いをし、母上と入れ替わる形で出て来てくれる。
体感では四年、リドルとしての記憶では生まれてから長年仕えてくれただけあってこの辺の機敏にはとても気が利く。
「ビート様のことは……その……」
「ああ、それは全く気にしなくていいよ」
この場にビートはいない、というよりもいてくれない方が遥かに気楽だ。
結局二年前の決闘騒ぎから今日まで必要最低限の会話以外は関わって来なくなり、それこそ人が変わって其までの陰湿な虐めが嘘のように収まった。
「メイにも苦労をかけたね。アレについても結局体得まではいけなかったし」
「いえ、完全でなくとも坊っちゃまの努力の成果でございます。そう卑下するのは悪い癖ですよ」
ビートの虐めが表面上収まったことで各種訓練は集中して行えるようになったが一番習得したかったゴーレム作成は未だに習得できず、その代わり掘り出した土を効率よく排斥したり腕だけ作って運搬したりと聖剣の効果も相まって採掘能力だけが向上しまくってしまった。
「そうですよ、坊っちゃんのお陰でどれだけ楽ができたか」
採掘、及び陣地構築で一番恩恵を受けたタラン班長も前に出て声をかけてくれる。
「あぁ、そういえば私の親族が王都で鍛冶をやってますので何かあれば遠慮なく申し付けてください」
こちらが書状です、と蜜蝋のされた封筒を渡されると丁度馬車の準備が整う。
「坊っちゃん!そろそろ時間です。乗ってください!」
「わかった」
手渡されたものをしまい、馬車に乗り込み最後に一礼する。
「では本当に行ってきます……お世話になりました!!」
頭をあげると見送りに来てくれた皆が手を振り応えてくれる。
こちらも振り返すと馬車が動きだし、お互い見えなくなるまで腕を振り続けたのだった。
「……いってしまったな……」
リドルが旅立ち、見送りに来ていた一同は一抹の寂しさを覚える。
「リドルも長期休暇には帰ってくるわよ!それよりも……これから忙しくなるでしょう?」
「う?!そ、そうだな。皆持ち場に戻るように!私も執務室へ戻る、色々と申請書を出さないといけないのでな」
口調が変わり、凄みを増したその声にメイド達はおろか夫のジャスさえ背筋を正し、きびきびと持ち場に戻り始める。
「ははは、流石の旦那様も奥様……いや団長には叶いませんなぁ」
「タランさん!あなたも確りしてください!どやされますよ!」
こうして各々自分の仕事をしながら新しい生活が始まるのだった。
「では、行って参ります」
最低限の私物をまとめ、両親と少ないながらも見送りに来てくれたメイをはじめとするビートの息がかかっていない使用人達に向かって挨拶する。
「気を付けるのだぞ」
父上がいつも通り寡黙ながら力のある声で答えると、それを皮切りに次々と言葉が送られてくる。
「坊っちゃまがいなくなると寂しくなりますなぁ」
「それに採掘も大変になります」
「そりゃ、今まで坊っちゃんに頼り過ぎだなんだよ 」
「違ぇねぇ。勘を取り戻さにゃならんな」
数年一緒に剣や塩を採掘した者が軽口を叩いて和ませてくれるなか、メイと母が前へ進み出て来た。
「リドル、貴方には充分……とは言えませんが時間の許されるなかで教えられることは教えました。私の現役時代に率いていたもの達からすれば漸く新入りより少し上くらいの力量ですがさしあたって充分でしょう」
「母上……」
(あれで新人研修終わったくらいなのか……)
思い返しても過酷だった訓練の日々に母が現役の時はどんな部隊を率いていたのかと考えかけて思考を打ち切る。
こういう状況でそんな魔境のことについて考えても仕方ないことだ。
「とりあえず貴方には工兵としての動きと非正規戦での動きを仕込んだつもりです。これである程度までなら勝てずとも逃げることはできますが決して油断しないように!」
厳しい激励の言葉があったかと思うと突然抱きしめられ「何時でも帰ってくるのですよ。どんな事になっても生きていれさえすれば、生きてくれさえすれば……」となんども絞り出すように囁かれる。
「母上、わかりました私としても生きないと何も成せません。なまじ名誉に固執して命を粗末にするなど最初から思っていませんよ、それこそ何がなんでも生き残ってみせます」
ハグされたままそう返せば、転生した当初……いや前のリドルの幼い記憶にあるように優しく頭をポンポンと撫でられる。
「それに、凄い今生の別れみたいになってますけど良く良く考えてみれば王都の学校にいくだけですよね?」
「それはそうだが王都は此処と違って色々、な」
普通に見送られるはすがどうしてこうなったのか。
「あと……流石に恥ずかしくなってきたのでそろそろ離してくれるとありがたいのですが……」
大勢の前で母親にハグされっぱなしというのは中身はもちろん、外見年齢としても羞恥を覚えてしまう。
「んん!坊っちゃま、これまでお世話をさせていただきました」
気まずいくなった空気を変えようとメイが咳払いをし、母上と入れ替わる形で出て来てくれる。
体感では四年、リドルとしての記憶では生まれてから長年仕えてくれただけあってこの辺の機敏にはとても気が利く。
「ビート様のことは……その……」
「ああ、それは全く気にしなくていいよ」
この場にビートはいない、というよりもいてくれない方が遥かに気楽だ。
結局二年前の決闘騒ぎから今日まで必要最低限の会話以外は関わって来なくなり、それこそ人が変わって其までの陰湿な虐めが嘘のように収まった。
「メイにも苦労をかけたね。アレについても結局体得まではいけなかったし」
「いえ、完全でなくとも坊っちゃまの努力の成果でございます。そう卑下するのは悪い癖ですよ」
ビートの虐めが表面上収まったことで各種訓練は集中して行えるようになったが一番習得したかったゴーレム作成は未だに習得できず、その代わり掘り出した土を効率よく排斥したり腕だけ作って運搬したりと聖剣の効果も相まって採掘能力だけが向上しまくってしまった。
「そうですよ、坊っちゃんのお陰でどれだけ楽ができたか」
採掘、及び陣地構築で一番恩恵を受けたタラン班長も前に出て声をかけてくれる。
「あぁ、そういえば私の親族が王都で鍛冶をやってますので何かあれば遠慮なく申し付けてください」
こちらが書状です、と蜜蝋のされた封筒を渡されると丁度馬車の準備が整う。
「坊っちゃん!そろそろ時間です。乗ってください!」
「わかった」
手渡されたものをしまい、馬車に乗り込み最後に一礼する。
「では本当に行ってきます……お世話になりました!!」
頭をあげると見送りに来てくれた皆が手を振り応えてくれる。
こちらも振り返すと馬車が動きだし、お互い見えなくなるまで腕を振り続けたのだった。
「……いってしまったな……」
リドルが旅立ち、見送りに来ていた一同は一抹の寂しさを覚える。
「リドルも長期休暇には帰ってくるわよ!それよりも……これから忙しくなるでしょう?」
「う?!そ、そうだな。皆持ち場に戻るように!私も執務室へ戻る、色々と申請書を出さないといけないのでな」
口調が変わり、凄みを増したその声にメイド達はおろか夫のジャスさえ背筋を正し、きびきびと持ち場に戻り始める。
「ははは、流石の旦那様も奥様……いや団長には叶いませんなぁ」
「タランさん!あなたも確りしてください!どやされますよ!」
こうして各々自分の仕事をしながら新しい生活が始まるのだった。
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