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第一部:第四章
21.決意。
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人を乗せるギルガなんてはじめて見たな。
あの猛獣、どうやって飼いならしたんだよ、この世界だとライオンを手懐けて乗るくらい無理な話なのに。
「英雄様、ギルガに食べられても胃の中で一緒になれますので心配しなくていいですよ!」
「そこの心配はしていない!」
ギルガは口から火を噴く、周りの木々に移ったら大変だ。
ここら一帯焼け野原になるぞ。
「くそっ、少しは落ち着けよ!」
「落ち着いておりますとも!」
ギルガに一閃するもギルガの扱い方は慣れたもののようで、くいっと手綱を引いて俺の攻撃をかわさせていた。
ギルガを倒すのも難しいかもな。
だが長期戦になった場合、周囲がどうなっているのかは予想するまでもない。
「君って奴は、まっすぐすぎるようで歪みまくってるな!」
「ありがとうございますぅ!」
「褒めてない!」
駄目だ、会話も歪まれてしまう。
「今思い返せば君は異常だったよ!」
「どこが異常だというのです! 全て私の愛情ですよ!」
「俺を殺そうとしているのもか!」
「そうです、私の愛です!」
受け取れない。
しかしどうする、優秀な騎手付きのギルガはすんなりとは倒せない。
周りに人が集まってくれば被害が大きくなるかもしれない。
「普通人の食べるものに血を入れるか!?」
「私の愛が込められた血ですよ! 美味しいに決まってるじゃないですか!」
「その思考がおかしいんだよ!」
この際だ。
今までこちらも気付かぬうちに溜まっていた言葉を吐き出してしまおう。
「異世界で他の女の人がさあ、俺に話しかけたと思ったら次の日には俺を避けるようになったのも君が原因だろう!?」
「泥棒猫は英雄様に近づけません!」
「ただ会話しただけでも何か手回ししてたのか!?」
「勿論ですとも、下心丸出しでしたから!」
「そういうのやめろよな! 馬鹿セルファ!」
「まあなんて酷い! 全て英雄様のためなのに!」
「それが迷惑だっつーの! 苑崎さんとだって恋人関係とかそういうのじゃねえんだから!」
「後々そうなるのでしょう!? 私を捨てて!」
ギルガが戸惑っている。
俺との言い合いに入ってから手綱をまともに動かせていないのだ彼女は。
前へ出ると同時に、彼女はようやく手綱を動かすも遅れている。
ギルガの炎撃――二発、三発、四発。
地面がえぐれるもかまいやしない。
ここは小さいグラウンドっぽいし土はきっと均せる、はず。管理人さん、すまんね。
おっと。
これは、イグリスフ小剣。
拾っておくか、大剣を使っている間はこいつを使う余裕は無いが。
「くっ、流石ですね! しかし――!」
彼女はギルガへ魔力を送っていた、ギルガの周辺に光が帯び始める。
何かどでかい魔法を、ギルガを通して放つつもりか!
「炎撃魔法、コゴウオウラ!」
ギルガは前足を地面へ叩きつけるや、地面が赤くなる――地中から炎を噴出す魔法か!
「頼むぜイグリスフ!」
大剣を地面へ刺す、めいいっぱいの魔力を込めて。
魔法に対してイグリスフを通した魔力による衝撃、ぶつかり合えば――爆発だっ!
「うくぅ! こ、こん、な――!」
思った以上の爆発だった。
セルファはギルガごと吹き飛ばされ、俺も宙に投げ出された。
大剣は地面に刺さったまま、だが小剣がまだある。
小剣を持って、ギルガの頭上へ着地。
手綱を切る。
「セルファ、君は本当に困った奴だよ」
「そうさせたのは貴方ですよ、英雄様」
「ああ、そうだな」
「私の愛情を受け取ってくれないから……」
「いや、だってさあ。魔物出して俺を活躍させるとか、昔の俺に戻すためとか考え方がおかしいだろ。馬鹿だよ馬鹿!」
「馬鹿馬鹿言わないでください! 貴方こそ馬鹿です! 働かずにぐうたらな生活! 情けないと思いませんか!」
「うぐっ……」
そりゃあいつも情けないとは思うさ。
「そのうち本気出すから!」
「本気を出すなら今すぐに、でしょう! てれびというもので、男の人が言っておりましたよ。いつやるか、今でしょ! って」
某塾の人をここで出すなよ。
あと特有のポーズするのもやめてよ。
「ったく。こうなったら……」
「私を殺して、あの女と共に幸せな生活でも送りますか? 子供は何人作る予定です? 名前も決めておいたほうがいいと思いますよ」
「そんなつもりはない」
決めた。
この騒動の解決のためにも。
俺のやるべきことは――
あの猛獣、どうやって飼いならしたんだよ、この世界だとライオンを手懐けて乗るくらい無理な話なのに。
「英雄様、ギルガに食べられても胃の中で一緒になれますので心配しなくていいですよ!」
「そこの心配はしていない!」
ギルガは口から火を噴く、周りの木々に移ったら大変だ。
ここら一帯焼け野原になるぞ。
「くそっ、少しは落ち着けよ!」
「落ち着いておりますとも!」
ギルガに一閃するもギルガの扱い方は慣れたもののようで、くいっと手綱を引いて俺の攻撃をかわさせていた。
ギルガを倒すのも難しいかもな。
だが長期戦になった場合、周囲がどうなっているのかは予想するまでもない。
「君って奴は、まっすぐすぎるようで歪みまくってるな!」
「ありがとうございますぅ!」
「褒めてない!」
駄目だ、会話も歪まれてしまう。
「今思い返せば君は異常だったよ!」
「どこが異常だというのです! 全て私の愛情ですよ!」
「俺を殺そうとしているのもか!」
「そうです、私の愛です!」
受け取れない。
しかしどうする、優秀な騎手付きのギルガはすんなりとは倒せない。
周りに人が集まってくれば被害が大きくなるかもしれない。
「普通人の食べるものに血を入れるか!?」
「私の愛が込められた血ですよ! 美味しいに決まってるじゃないですか!」
「その思考がおかしいんだよ!」
この際だ。
今までこちらも気付かぬうちに溜まっていた言葉を吐き出してしまおう。
「異世界で他の女の人がさあ、俺に話しかけたと思ったら次の日には俺を避けるようになったのも君が原因だろう!?」
「泥棒猫は英雄様に近づけません!」
「ただ会話しただけでも何か手回ししてたのか!?」
「勿論ですとも、下心丸出しでしたから!」
「そういうのやめろよな! 馬鹿セルファ!」
「まあなんて酷い! 全て英雄様のためなのに!」
「それが迷惑だっつーの! 苑崎さんとだって恋人関係とかそういうのじゃねえんだから!」
「後々そうなるのでしょう!? 私を捨てて!」
ギルガが戸惑っている。
俺との言い合いに入ってから手綱をまともに動かせていないのだ彼女は。
前へ出ると同時に、彼女はようやく手綱を動かすも遅れている。
ギルガの炎撃――二発、三発、四発。
地面がえぐれるもかまいやしない。
ここは小さいグラウンドっぽいし土はきっと均せる、はず。管理人さん、すまんね。
おっと。
これは、イグリスフ小剣。
拾っておくか、大剣を使っている間はこいつを使う余裕は無いが。
「くっ、流石ですね! しかし――!」
彼女はギルガへ魔力を送っていた、ギルガの周辺に光が帯び始める。
何かどでかい魔法を、ギルガを通して放つつもりか!
「炎撃魔法、コゴウオウラ!」
ギルガは前足を地面へ叩きつけるや、地面が赤くなる――地中から炎を噴出す魔法か!
「頼むぜイグリスフ!」
大剣を地面へ刺す、めいいっぱいの魔力を込めて。
魔法に対してイグリスフを通した魔力による衝撃、ぶつかり合えば――爆発だっ!
「うくぅ! こ、こん、な――!」
思った以上の爆発だった。
セルファはギルガごと吹き飛ばされ、俺も宙に投げ出された。
大剣は地面に刺さったまま、だが小剣がまだある。
小剣を持って、ギルガの頭上へ着地。
手綱を切る。
「セルファ、君は本当に困った奴だよ」
「そうさせたのは貴方ですよ、英雄様」
「ああ、そうだな」
「私の愛情を受け取ってくれないから……」
「いや、だってさあ。魔物出して俺を活躍させるとか、昔の俺に戻すためとか考え方がおかしいだろ。馬鹿だよ馬鹿!」
「馬鹿馬鹿言わないでください! 貴方こそ馬鹿です! 働かずにぐうたらな生活! 情けないと思いませんか!」
「うぐっ……」
そりゃあいつも情けないとは思うさ。
「そのうち本気出すから!」
「本気を出すなら今すぐに、でしょう! てれびというもので、男の人が言っておりましたよ。いつやるか、今でしょ! って」
某塾の人をここで出すなよ。
あと特有のポーズするのもやめてよ。
「ったく。こうなったら……」
「私を殺して、あの女と共に幸せな生活でも送りますか? 子供は何人作る予定です? 名前も決めておいたほうがいいと思いますよ」
「そんなつもりはない」
決めた。
この騒動の解決のためにも。
俺のやるべきことは――
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