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第76話 大丈夫は大丈夫じゃない
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「何でここにって、俺もここの寮生だからに決まってるだろ。それで、お前は後輩に何しようとしてるんだ?」
「うっ……」
オービンはヒビキの手首を掴んだまま、ヒビキの方へと押し返した。
するとヒビキは、オービンの手から逃げる様に握られた手を払った。
「何でもねぇよ。たっくよ、興ざめだ」
そう言ってヒビキはその場から立ち去り、寮の外へと出て行った。
「大丈夫かい、クリス君。にしても、ヒビキに変に絡まれるとは不運だったね」
オービンは優しく私に話し掛けて来たので、私は助けてくれたお礼を言って頭を下げた。
するとオービンは、ヒビキの事をあまり嫌な奴だと思わないで欲しいと言ってきた。
さすがにさっきみたいな事があった直後なので、それは難しいと答えると「そうだよね」と軽く人差し指で顔をかきながら笑った。
私はどうしてそんな事を言うのか、ふと気になり問いかけた。
「俺寮長だし、出来るだけ仲良くして欲しいんだよね」
「え?」
「……あっ」
私はその言葉が、今の状況を作り出した張本人の口から出るべき言葉でないなと思っていると、それにオービンは自分の口で言った事に気付いたのか、軽く視線を逸らした。
「ごめん、やっぱいまのなし」
「いや、いやいや。さすがにそれは……」
「そこを何とか」
「え、え~……」
まさか先輩であり、寮長でもあるオービンに両手を合わせられお願いされるとまでは思っていなかったんで、どうしていいか動揺すると同時に、こんな場面を誰かに見られたらどうしようときょろきょろしてしまった。
私はとりあえずオービンに、お願いする姿勢を止めるように伝えると、黙ってくれるって事だよね的な視線を向けられ私は小さく「はい」と答え頷いた。
オービンには先程、ヒビキとの大ピンチを救ってもらった事もあるし、別に誰かに言いふらす気もなかったので、私はいいかと思ったからそう答えた。
「ありがとう。でも、黙っててもらうなら何かあげたりしないとな」
「いや、それって賄賂的な事じゃ……」
「そうだ、良い事を思い付いた」
「あの、聞いて……ダメだ全然聞いてない」
「クリス君からの質問に、何でも1つ答えようと言うのはどうだい?」
突然提示された内容に私は、目をきょとんとさせてしまった。
だがオービンはグイグイと「どうだい、何か聞きたい事はあるかい?」と聞いて来る。
私はいきなりそう言うわれても、質問なんてないしとりあえず直ぐに休みたいとしか考えられなかった。
だがふと、今日ダンデから聞いた事を思い出し、それを無意識に口に出していた。
「オービン先輩って、ルークの兄貴って本当なのかな……あっ」
私の言葉を聞いたオービンは、少しびっくりした顔で私を見ていた。
すぐさま私は今のは質問とかじゃないと慌てて伝えるが、オービンは「少し驚いただけだよ」と軽く笑いながら答えてくれ、慌てなくてもいいよと言ってくれた。
「クリス君の言う通り、俺とルークは兄弟だ。でも、全然仲が良くない兄弟なんだよ」
「え、あっ、はい……それは、ルークの感じを見て来たので何となく……」
「そんな、君が気まずそうに言わなくてもいいよ。本当の事だし、気にしてな……い訳じゃないんだけど、まぁ、分かるだろ兄弟ってその色々あるだろ」
私はその時自分のお兄ちゃんの事を思い浮かべ、何となく言いたいことが分かった様な気がしたが、特に頷くことなくオービンの話を聞いていた。
「弟、ルークが何を思っているとかも知ってるけど、何て言うかうまく行かなくてね。ごめん、何か愚痴っぽくなってたね。今のは、聞かなかった事にしてくると嬉しいな」
「まぁ、質問には答えてもらいましたし、誰にも言うつもりはないです……」
私は流れでオービンの提案に乗っていたので、少し後ろめたい気持ちがあったので、少し小声で答えた。
「ありがとう、クリス君。ごめんよ、疲れている時に足を止めてしまって。ゆっくり休んで、必ず疲れをとるんだよ。それじゃ」
そう言ってオービンは、寮の外へと歩いて行くと、途中で振り返り「ヒビキにも言っておくから」と言って、また歩き始め寮を出て行った。
私は小さく頷き、フラフラっと寮へと入って行き自室へと向かった。
そして自室に着いてからは、あんまり記憶がないが、汗を流して着替えて寝てしまったのだと思った。
次の日、トウマが私を起こし昨日部屋に帰って来た時の事を、話された。
私はシャワーを浴びて着替えた後、自分のベッドで寝たつもりだったが、どうも間違えてトウマの布団で寝ていたらしい。
何故かトウマは少し動揺し、顔が少し赤かったが、私は朝から頭が回らず、ボーっとした状態でその話を聞いていた。
「ん? おいクリス、聞いてるか?」
「……うん、聞いてるよ。ちょっと昨日色々あってさ、寝たけど何か体が怠いんだよね~」
「おい大丈夫かよ。無理し過ぎなんじゃないか?」
「大丈夫、大丈夫。俺、体は丈夫だからさ」
「それならいいけど」
そんな会話を交わした後、いつも通り朝食をとり、授業を受け、ダンデたちとスバンの特訓を行ったり自身の特訓を行い、すぐに日が暮れる時間となった。
「もうそんな時間が、少し居残りでやってたけど、そろそろ帰ろうかな」
私は寮へと戻ろうと歩き出そうとしたが、足がもつれて転びそうになるが、何とか踏みとどまり転ばずに済んだ。
あっぶない……少しやり過ぎたかな? 足がもつれるとは、油断大敵だな。
私は自分の頬を軽く叩き、休息もしっかりしないとダメだなと改めて認識し寮へと帰った。
その日の夜は、寝る前にストレッチをしたせいか少し体が熱かった。
そして次の日も、トウマに起こされて目が覚め、昨日と同じような会話をした後、いつも通り朝食を食べて授業を受けて、ダンデたちとの特訓時間を迎えていた。
「おいクリス。何してたんだ? 今日は来るのが遅いな」
「遅れるなら事前に言っておいてくれよ。来ないから、バックレたのかと思ったよ」
「さすがに、それはないと私は信じてましたわ」
「……」
「?」
ダンデたちは、私が何も言葉を返さない事に変だと思い見つめていた。
「クリス? どうかしたのか?」
何か異変を感じたロムロスが、声を掛けて来た時に私は少し俯いていた顔を上げた
「ううん。何でも……ないよ。ちょっとボーっとするだけ……」
「何、ボーっとしてるんだ。もう大運動会までの日数もないんだ、気合を入れろよクリス」
「うん、そうだよねダンデ。ごめん、ごめん……」
するとスバンもさすがに私の異変に気付いたのか、ロムロス同様に近付いて来た。
「まさかクリス」
「?」
スバンの声に反応し私が顔を向けると、スバンは私の額に手を当てた。
「熱いじゃないか。お前、熱があるな」
「やっぱりそうか、何か返答がおかしいと思ってたら。何でそんな状態で、こんな所に来てるんだ!」
「何言ってるの2人共。俺は熱なんてないし、いつも通りだぞ」
「そんなわけあるか! 凄い熱いし、目も虚ろじゃないか!」
「だから、何を……」
そう言葉を出した直後、私はロムロスとスバンの方に意識を失う様に倒れた。
咄嗟に2人が抱きかかえられたので、地面に倒れる事はなかったが完全に体中が熱く、目を開けることが出来ない状態だった。
「ダンデ! 直ぐにタツミ先生を呼んで来い! クリスが熱で倒れた!」
「な、何!? わ、分かった、タツミ先生だな! 待ってろ! 直ぐに呼んでくる!」
ロムロスにそう言われ、ダンデは物凄い速さで医務室へと走って行った。
一方で、ロムロスとスバンは医学の知識はほぼなく、こういう時にどうしていいか分からないつつも、ひとまず私が少しでも苦しく無い様な体勢を維持し続けた。
数分後、ダンデがタツミ先生を連れてやって来たのだった。
――大運動会開催まで残り、10日
「うっ……」
オービンはヒビキの手首を掴んだまま、ヒビキの方へと押し返した。
するとヒビキは、オービンの手から逃げる様に握られた手を払った。
「何でもねぇよ。たっくよ、興ざめだ」
そう言ってヒビキはその場から立ち去り、寮の外へと出て行った。
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するとオービンは、ヒビキの事をあまり嫌な奴だと思わないで欲しいと言ってきた。
さすがにさっきみたいな事があった直後なので、それは難しいと答えると「そうだよね」と軽く人差し指で顔をかきながら笑った。
私はどうしてそんな事を言うのか、ふと気になり問いかけた。
「俺寮長だし、出来るだけ仲良くして欲しいんだよね」
「え?」
「……あっ」
私はその言葉が、今の状況を作り出した張本人の口から出るべき言葉でないなと思っていると、それにオービンは自分の口で言った事に気付いたのか、軽く視線を逸らした。
「ごめん、やっぱいまのなし」
「いや、いやいや。さすがにそれは……」
「そこを何とか」
「え、え~……」
まさか先輩であり、寮長でもあるオービンに両手を合わせられお願いされるとまでは思っていなかったんで、どうしていいか動揺すると同時に、こんな場面を誰かに見られたらどうしようときょろきょろしてしまった。
私はとりあえずオービンに、お願いする姿勢を止めるように伝えると、黙ってくれるって事だよね的な視線を向けられ私は小さく「はい」と答え頷いた。
オービンには先程、ヒビキとの大ピンチを救ってもらった事もあるし、別に誰かに言いふらす気もなかったので、私はいいかと思ったからそう答えた。
「ありがとう。でも、黙っててもらうなら何かあげたりしないとな」
「いや、それって賄賂的な事じゃ……」
「そうだ、良い事を思い付いた」
「あの、聞いて……ダメだ全然聞いてない」
「クリス君からの質問に、何でも1つ答えようと言うのはどうだい?」
突然提示された内容に私は、目をきょとんとさせてしまった。
だがオービンはグイグイと「どうだい、何か聞きたい事はあるかい?」と聞いて来る。
私はいきなりそう言うわれても、質問なんてないしとりあえず直ぐに休みたいとしか考えられなかった。
だがふと、今日ダンデから聞いた事を思い出し、それを無意識に口に出していた。
「オービン先輩って、ルークの兄貴って本当なのかな……あっ」
私の言葉を聞いたオービンは、少しびっくりした顔で私を見ていた。
すぐさま私は今のは質問とかじゃないと慌てて伝えるが、オービンは「少し驚いただけだよ」と軽く笑いながら答えてくれ、慌てなくてもいいよと言ってくれた。
「クリス君の言う通り、俺とルークは兄弟だ。でも、全然仲が良くない兄弟なんだよ」
「え、あっ、はい……それは、ルークの感じを見て来たので何となく……」
「そんな、君が気まずそうに言わなくてもいいよ。本当の事だし、気にしてな……い訳じゃないんだけど、まぁ、分かるだろ兄弟ってその色々あるだろ」
私はその時自分のお兄ちゃんの事を思い浮かべ、何となく言いたいことが分かった様な気がしたが、特に頷くことなくオービンの話を聞いていた。
「弟、ルークが何を思っているとかも知ってるけど、何て言うかうまく行かなくてね。ごめん、何か愚痴っぽくなってたね。今のは、聞かなかった事にしてくると嬉しいな」
「まぁ、質問には答えてもらいましたし、誰にも言うつもりはないです……」
私は流れでオービンの提案に乗っていたので、少し後ろめたい気持ちがあったので、少し小声で答えた。
「ありがとう、クリス君。ごめんよ、疲れている時に足を止めてしまって。ゆっくり休んで、必ず疲れをとるんだよ。それじゃ」
そう言ってオービンは、寮の外へと歩いて行くと、途中で振り返り「ヒビキにも言っておくから」と言って、また歩き始め寮を出て行った。
私は小さく頷き、フラフラっと寮へと入って行き自室へと向かった。
そして自室に着いてからは、あんまり記憶がないが、汗を流して着替えて寝てしまったのだと思った。
次の日、トウマが私を起こし昨日部屋に帰って来た時の事を、話された。
私はシャワーを浴びて着替えた後、自分のベッドで寝たつもりだったが、どうも間違えてトウマの布団で寝ていたらしい。
何故かトウマは少し動揺し、顔が少し赤かったが、私は朝から頭が回らず、ボーっとした状態でその話を聞いていた。
「ん? おいクリス、聞いてるか?」
「……うん、聞いてるよ。ちょっと昨日色々あってさ、寝たけど何か体が怠いんだよね~」
「おい大丈夫かよ。無理し過ぎなんじゃないか?」
「大丈夫、大丈夫。俺、体は丈夫だからさ」
「それならいいけど」
そんな会話を交わした後、いつも通り朝食をとり、授業を受け、ダンデたちとスバンの特訓を行ったり自身の特訓を行い、すぐに日が暮れる時間となった。
「もうそんな時間が、少し居残りでやってたけど、そろそろ帰ろうかな」
私は寮へと戻ろうと歩き出そうとしたが、足がもつれて転びそうになるが、何とか踏みとどまり転ばずに済んだ。
あっぶない……少しやり過ぎたかな? 足がもつれるとは、油断大敵だな。
私は自分の頬を軽く叩き、休息もしっかりしないとダメだなと改めて認識し寮へと帰った。
その日の夜は、寝る前にストレッチをしたせいか少し体が熱かった。
そして次の日も、トウマに起こされて目が覚め、昨日と同じような会話をした後、いつも通り朝食を食べて授業を受けて、ダンデたちとの特訓時間を迎えていた。
「おいクリス。何してたんだ? 今日は来るのが遅いな」
「遅れるなら事前に言っておいてくれよ。来ないから、バックレたのかと思ったよ」
「さすがに、それはないと私は信じてましたわ」
「……」
「?」
ダンデたちは、私が何も言葉を返さない事に変だと思い見つめていた。
「クリス? どうかしたのか?」
何か異変を感じたロムロスが、声を掛けて来た時に私は少し俯いていた顔を上げた
「ううん。何でも……ないよ。ちょっとボーっとするだけ……」
「何、ボーっとしてるんだ。もう大運動会までの日数もないんだ、気合を入れろよクリス」
「うん、そうだよねダンデ。ごめん、ごめん……」
するとスバンもさすがに私の異変に気付いたのか、ロムロス同様に近付いて来た。
「まさかクリス」
「?」
スバンの声に反応し私が顔を向けると、スバンは私の額に手を当てた。
「熱いじゃないか。お前、熱があるな」
「やっぱりそうか、何か返答がおかしいと思ってたら。何でそんな状態で、こんな所に来てるんだ!」
「何言ってるの2人共。俺は熱なんてないし、いつも通りだぞ」
「そんなわけあるか! 凄い熱いし、目も虚ろじゃないか!」
「だから、何を……」
そう言葉を出した直後、私はロムロスとスバンの方に意識を失う様に倒れた。
咄嗟に2人が抱きかかえられたので、地面に倒れる事はなかったが完全に体中が熱く、目を開けることが出来ない状態だった。
「ダンデ! 直ぐにタツミ先生を呼んで来い! クリスが熱で倒れた!」
「な、何!? わ、分かった、タツミ先生だな! 待ってろ! 直ぐに呼んでくる!」
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一方で、ロムロスとスバンは医学の知識はほぼなく、こういう時にどうしていいか分からないつつも、ひとまず私が少しでも苦しく無い様な体勢を維持し続けた。
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