とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第208話 師弟関係

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 私はエメルの研究発表を聞いた後、ミカロスの研究発表を聞きそのままオービンの研究発表まで聞き終えた。
 3人共それぞれ研究内容も違いに新しい考え方や、捉え方を知れたのでとてもいい話が聞けて私はとても満足していた。
 その後私は、他の先輩たちの研究発表を覗き少し話を聞いたりして、研究発表を回っている所で知っている名前を見つけて足が止まる。

「えっ……モーガン?」

 私の足が止まった教室には、クラスメイトであるモーガンの名前が出ており、教室内にはモーガンの研究発表資料が半分程占めていた。
 この教室では、モーガンともう1人の第3学年以外の人とで共同で教室を使って研究発表を行っていた。
 研究発表自体を同じ教室で行う事は珍しくない事らしく、先輩の中にも半分ずつに分けて行っている所を見ていたので驚きはしなかったが、モーガンが研究発表をしている事に私は驚きを隠せずにいた。
 何でモーガンが? 事前の研究発表者一覧に名前はなかったはず? どうして? てか、何の発表をしてるんだ?
 私は吸い込まれる様にその教室へと入ると、そこには数人研究発表の資料を見ている人がいた。
 そのまま私も研究発表の資料を見始めようとすると、急に背後にモーガンが現れて声を掛けられる。

「やぁクリス」
「っ! モーガン、急に後ろから話し掛けないでくれよ。毎回心臓に悪い」
「すまない。まさか知っている人が来るとは思ってなくてね」
「俺も驚いたっての。事前の研究発表者一覧に名前がなかったが、どうして研究発表出来てるんだ?」

 そう私が問いかけると、モーガンは「あ~その事ね」と言っている様な表情をして答え始めた。

「届け出は事前に出していたんだが、発表テーマを書き漏れてねその研究発表一覧者の所に乗せてもらえなかったんですよ。たぶん、すごく下の方に名前だけのせてくれたらしいんですけどね」
「え? 発表テーマを書かなかっただけでそんな事になるのか?」
「これに関しては私が一方的に悪いから何とも言えないんですよ。なんせ必須事項だった所を書かずにギリギリで提出しましたからね」
「あ~なるほど……」

 私はモーガンの話に納得しつつ、そんなドジと言うか一番大事そうな事を書き忘れる事なんてあるんだと思っていた。

「それでモーガンは何の研究発表をしてるんだ?」
「私の研究発表内容は、今まで占いで見て来た皆の魔力傾向から見た統計ですよ」
「へぇ~何か面白そうな内容だね」

 その後、私はモーガンの研究発表内容に興味が湧き、そのままモーガンから直接研究発表内容の説明をしてもらった。

「モーガンもただ占っていた訳じゃないのな」
「始めから研究するつもりじゃなかったのですが、まとめている内に傾向とか分類とかが面白くて、研究発表にしてみようかと思い始めたんですよ」

 一通りの説明を聞いた後、私はモーガンが占いと言って相手の魔力を見れる力について少し気になり訊ねてみた。

「モーガンの魔力を見れるって言うのは、魔法なのか?」
「それは……師匠が言うには魔法、らしいです」
「らしい? と言うか、師匠なんていたのかモーガン」

 私が首を傾げると、モーガンは少し歯切れが悪そうに話し続けた。

「師匠からはそうとしか教えられていないんですよ。何度聞いてもはぐらかされていましてね。一応、使用時に何か異変が起こる訳じゃないので、師匠の言う通り魔法何だと思うんですよ。体の魔力を使ってやってはいますからね」
「ふ~ん。師匠ってどう言う人なの?」
「年齢不詳で少し適当かつ、私の扱いが雑」
「お、おう……何か大変な師匠の弟子やってるんだな」

 私はその言葉とモーガンの表情だけで、何やら大変な目に遭って来たんだろうなと感じていた。
 それと同時に、私はモーガンの魔力を見る力が魔法ではなく特殊体質なのではないかと頭をよぎったが、それを口に出すのはやめた。
 理由はそれを私が言った所で何も変わらないし、モーガンにもメリットがないからである。
 基本的に特殊体質の人は、力そのものが珍しい為狙われる事が多い為国で護衛対象となり、名前など全て把握されているとされている。

 その為、この時点でもしモーガンが特殊体質と判明してしまえば一時的に学院から立ち去り国の管理下に一時的に置かれて、色々と話を聞かれ暫くは監視付きでの生活が待っているのだ。
 国としても力の把握や安全性を確認する為にやっているので、特殊体質の人の為として実施しているのである。
 モーガン自身は魔法と言っているし、そこにわざわざ特殊体質の話をする勇気は私にはない。
 特殊体質かどうかに関しては、自身の問題であり他人がどうこういう事ではないと私は考えている為、口には出さなかったのだ。
 だが、もしモーガン師匠があえて特殊体質の事を見抜き黙っているのだとしたら、それはどうしてなんだ?
 私がそんな事を考え始めるとモーガンが問い掛けて来た。

「クリス、もしかして今特殊体質の事考えていましたか?」
「えっ……」

 まさかの問いかけに私は何も答えられずに、黙ってしまった。

「いいえ、攻めている訳でも何でもないんですよ。私自身もそう思う事もあるので、師匠に直接訊きたいのですが連絡がつかなくて困ってるんですよ」
「……もし特殊体質だったら、どうするんだ?」
「そうですね、その時はまず担当教員に相談しますね。その後は、国の指示次第ですかね。特殊体質がどう言う扱いを受けるかは知っていますので、自分の身を守る為でもあるので指示には従いますよ」
「そっか」

 そこで特殊体質の話は自然と終わり、私は少し気まずい雰囲気でモーガンの横に立ちながら研究発表の資料を見つめていた。

「あの~すいません」
「はい、今行きます。それじゃ、クリスここでお別れです。アルジュには午後には戻ると言ってはありますが、少し遅れるかもしれないと伝えてもらえますか?」

 そう言って来たので、私は「分かった」と返事をするとモーガンは呼ばれた人の方へと向かって行った。
 はぁ~何か最後は変な雰囲気になっちゃったな……言わない様にしてたけど、ついモーガンが話したからそのまま言ってしまった。
 反省だなこれは。
 私はその場で小さくため息をついた後、切り替えてそのまま教室から出ると歩いて来た人とぶつかりそうになる。
 だが、その人は突然出て来た私を綺麗にかわして行った。

「すいません。少し急いでたんで、それじゃ」
「え、あ、はい……」

 ぶつかりそうになった人はそう言って、そのまま直ぐにその場から立ち去って行った。
 ん? どっかで聞いた事がある様な声だったな……気のせいかな?
 私はその場で少し考え込んだが、特に何も思い出す事がなかったのでそのまま廊下を歩きだした。
 そして研究発表を一通り見た所で、まだシフトの時間まであったが一度教室へと戻ろうとした時だった。

「ん? あれはマイナ学院長?」
「リリエル先生、いつになったら弟子の所に行くんですか? さっきから寄り道ばかりですけど?」
「いいじゃないか。どの研究発表も面白い内容で気になるんだから」

 私の視線の先には、マイナ学院長と一緒に魔女的な服装の人物が共に歩いていた。
 コスプレ? いや、そんな感じじゃないんだけど、何と言うか魔女と言うのがぴったりと言う様な服装なんだよな。
 そんな風に見ていると、その魔女の様な服装をしている人物と目が合ってしまう。

「あっ」
「ん? ほぉ~」

 そう言ってその女性は私に近付いて来て、私の事をじろじろと見始める。

「ちょ、リリエル先生! 何してるんですか? って、クリスさん?」
「マイナ、この子中々いい魔力を持っているじゃないか。鍛えがいがありそうな子だね」
「え~と……ありがとうございます?」

 私は突然の事にどうしていいか分からなかったが、とりあえず褒められたので感謝の言葉を返すと、その女性は笑い出した。

「あははは。この子面白いじゃないかマイナ。あ、失礼、私はリリエル・ロードリヒ。昔この学院で教員をしていて、今はその時の教え子であるマイナに案内をしてもらっていたんだ」
「マイナ学院長の先生のリリエル、さん?」

 私はリリエルの容姿が若く見えたので、その言葉が信じられずに首を少し傾げてしまった。

「急にごめんなさいね、クリスさん。このリリエル先生が言った事は、気にしなくていいですからね」
「そんな風に言わなくてもいいだろうに」
「ただでさえ、その服装で目立っていて説明するのが面倒なんですから、そこに私との関係の話をされると余計に混乱するじゃないですか」

 ほ、本当にマイナ学院長の先生? 全然マイナ学院長より若く見えるんだけど、どう言う事? 私の目がおかしいの? でも、マイナ学院長との会話からじゃ嘘じゃないみたいだけど……どう言う事?
 私が完全に混乱し始めると、そこへモーガンがやって来た。

「お~いクリス、さっきの伝言の件ですが――」

 と声を掛け来たので、私が振り返るとマイナとリリエルもモーガンの方を向いた時だった。
 モーガンが突然動きを止めて、信じられない様な物を見た表情をして言葉を発した。

「し、師匠!?」
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