とある令嬢が男装し第二王子がいる全寮制魔法学院へ転入する

春夏秋冬/光逆榮

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第241話 進みたい道

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 フェルトは私たちの反応に驚いて「何でそんな反応?」と口に出した。

「いや、お前からそんな言葉が出て来ることに意外過ぎて驚いたんだよ。絶対にないと思ってたからな」
「酷なニックは。まさか、2人も同じ感じ?」
「あ~うん。フェルトは商人的なものかと思ってたよ。ほら、色んな人と知り合いだしさ」
「俺もそう思ってた」
「まぁ、確かにそう思われるのは仕方ないけど、さっきみたいな反応をする事はないだろ。ちょっと傷ついたぞ」

 フェルトが少し落ち込んだ表情に、私とシンリは謝った。
 それにしても、まさかフェルトが卒業後は王国軍に入るとは、本当に驚きだ。
 何て言うか、全然イメージがないと言うか真逆なイメージだ。
 するとフェルト少し不満そうな表情をして私の方を見て来た。

「もう俺の話は終わりだ。それじゃ、後はクリスだぞ。お前は卒業したらどうすんだ?」
「えっ……」

 そこで私は直ぐに答えられずに黙ってしまう。
 それと同時に、昨日の学院祭でリリエルに言われた事を思い出してしまう。
 私がやりたい事……私は月の魔女の様な人になりたいと言う目標がある。
 だから、それを言えばいいんだけど……
 そう思いつつ、息を小さく吸って話し出そうとしたが、途中で言うのを止めてそのまま黙った。
 シンリたちは、そんな私を見て軽く首を傾げていた。
 ダメだ……何か、言おうとすると変なためらいがあって言えない。
 そもそも、今までそんな事を直接言ったのは、この学院では学院長やジュリルなど本当に数少ない人にだけだから、今更そんな事を言うのが恥ずかしいと言う気持ちが私の中にあるのかもしれない。
 と、私は思いつつリリエルから言われた本当にしたい事ではないと言う事も頭をよぎる。
 だが、それはそのまま流し、ただ恥ずかしい気持ちが強いからだと私は思った。

「お~い、クリス? どうしたんだよ、急に黙ってよ」
「ご、ごめん。その、卒業後の事はまだ詳細に決めてなくて……」

 私は両手を合わせたり、離したりと机の下で動かしながら答えた。

「そっか」
「僕と似たような感じなんだね」

 そうクリスとフェルトが言って来る中、ニックは何も言わずにただ私の方を見ていた。

「シンリと同じ様な感じか。あっ、てことは、クリスもやりたい事はあったりするって事か?」
「っ……それは……」

 フェルトの問いかけに、私は言葉が詰まってしまう。
 私はまた黙っていると変な空気になってしまうと思い、何かしら言わないと思い口を開けるが、その時小さく唇が震えていた。
 頭の中では何を言えばいいのか、月の魔女の話をするべきかとかで頭の中はごちゃごちゃの状態であった。
 すると、そこへカートに定食を乗せたピースがタイミング良く現れる。

「やぁ、お待たせ皆! ちょっと乗せる物探してたら時間かかっちゃって。でも、無事に定食はゲットして来たし、皆の分もあるから冷めないうちに食べて」

 そう言ってピースは手早く持ってきた定食を机の上に並べて行く。

「お~こりゃすげぇ~!」
「そうでしょ、そうでしょ。ささ、早く食べて食べて」

 ピースはそう言うって私たちに早く食べる様に進めて来ると、さっきまで話していた話題など忘れてフェルトが一番最初に食べ始めた。
 そして一口食べて手を止める。

「うっっっめぇ~! 何だこれ!? 大食堂でこんな物食えるのかよ」
「そうでしょ~」
「何でピースが自慢げなんだよ」

 ニックの突っ込みにピースは「ごめん」と笑いながら返した。
 その後シンリやニックも食べ始め、ピースも楽しみにして食事に手を付け始めた。
 ……ふぅ~……ピースが来てくれて何とか話題も無くなって、フェルトたちも食事に夢中になったし、良かった……
 私は小さく安堵の息をついた。
 だが、私の中では少しだけ自分がどうしたいかについての目標がぐらついた。
 ……大丈夫。
 何を気にしているの? ただ言いずらかっただけの事よ。
 決してリリエルさんに言われた事を気にしている訳じゃないし、やりたい事じゃないなんてあり得ない。
 そうじゃなきゃ、今まで私はやりたくもない事をただやって来たと言うの? そんな事あり得ない。
 私は改めて自分に言い聞かせるように思ってから、皆と同じ様にピースが持ってきてくれた定食を食べ始めた。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「ふ~……」

 そう小さなため息をついて、ルークは寮の自分の部屋の椅子に座る。
 そしてそのまま天井を見上げる。
 ルークはその状態で何もせず、ただじっと天井を見つめるだけであった。
 そのまま暫くしてから、体を起こしバックから持って帰って来た教材を机に広げ、机の引き出しからノートと寮の図書館から借りている本を置いた。

「さてと、昨日見た研究発表内容から役に立ちそうな所をまとめるか」

 そう呟いてペンをとった時に、部屋の扉が開いてトウマが帰って来た。

「おう、お帰りトウマ」
「……」

 ルークの言葉にトウマは無言でその場に立っていたが、ルークはトウマの方は向かずに自分の作業を開始した。
 トウマはその姿を見て、部屋へと入り扉を閉めて自分の机に向かってバックを置く。
 そしてトウマは、大きく息を吐いてからルークの方を向いて声を掛けた。

「ルーク。今いいか?」
「ん、何だトウマ?」

 ルークはトウマの方は向かずに作業をしながら、返事を返して来た。

「少し話がしたいんだが」
「……」

 するとルークは作業の手を止めて、トウマの方を向いて来た。
 ルークも何かいつもと感じが違うトウマに気付き、振り返るのだった。

「で、何だよ急に真面目なトーンで話って言うのは」

 トウマは自分の椅子をルークの方に向けて、それに座ってルークの目を真っすぐに見つめた。

「ルーク。正直に言ってくれよ」
「だから、何だよ」
「お前、昨日クリスと何かあったろ?」

 その問いかけに、ルークは直ぐに答えず黙る。
 トウマもそのまま何も言わずに、ルークの事をただじっと見つめているだけであった。
 そして暫く部屋が静寂に包まれた。
 その間もただ2人はじっと互いを見たままであった。
 その後、その静寂を破ったのはルークであった。

「トウマ。俺は昨日、アリスに告白をした」
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