大切な妹は婚約者に無理矢理駆け落ちをさせられてしまいました。

マミナ

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大切な妹は婚約者に無理矢理駆け落ちをさせられてしまいました。

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ロズウェンド子爵家には二人の姉妹がいる。

しっかり者で勤勉な長女のアンナと病弱であるが美しく愛らしい妹のクレア。

クレアは小さな頃からアンナをお姉様、お姉様と懐いていてアンナもまたクレアの事が可愛くて仕方なく両親と一緒に看病をしたり、彼女が元気な時は一緒に遊んだりと姉妹の仲は大変良かった。

それから数年が経った頃、アンナは両親からマズウェル伯爵家のご子息フロイスとの婚約が決まった事を告げられる。

マズウェル伯爵家といえばかなりの資産家としても有名で普通だったら小さな子爵家の娘であるアンナと婚約などあり得ないと思ったアンナは

「一体どういう事ですの?まさかあのマズウェル伯爵様のご子息フロイス様とご婚約が私に決まったなんて…。」

驚くアンナに両親は

「急な話ですまない…。しかし、この婚約はマズウェル家のご当主から持ちかけられた事でな、なんでもアンナ君が学問において優秀な成績を収めている事を知り、どうしても自分のご子息と結婚を前提とした婚約をして欲しいとお願いをされてしまったのから断る事が出来なかった。だからすまないがこの婚約を受け入れて欲しい。」

頭を下げて頼む両親に

「いいえ、とても光栄だわ!この婚約が決まればクレアもお父様とお母様も今よりもずっと豊かな暮らしが出来ますわ!」

断る理由がなかったし、もし婚約がうまくいけばクレアや両親にとって大きなメリットになることは間違いないわ。

アンナがこの提案を受け入れてくれた事を両親は大喜びですぐさまフロイスとの婚約が決まった。

彼との婚約は上手く行き、穏やかで平和な日々が続きマズウェル伯爵家の当主はアンナとその家族の事を大切です思って暮れていて、アンナと家族の生活はとても豊かになっていく。

病弱だったクレアは少しずつ元気になり、周囲の目を引く程の美人になり、殿方からの交際を申込まれる事が多くなっていく。

このままずっと幸せな日々が続いていくとアンナは思っていたが、多額の支援をしてくれたマズウェル家の当主と奥方様が急逝してしまい、アンナの婚約者フロイスがマズウェル家の新しい当主となりその二ヶ月後、アンナとクレアの両親が帰らぬ人でなってしまった。

姉妹はショックのあまり悲しみに暮れる日々を送っていたけど、婚約者のフロイスは眉ひとつ動かす事もせずそれどころか彼はアンナに向かって
「悪いがアンナ、今日この場で君との婚約を破棄し、代わりに君の妹であるクレアを新しい婚約者として迎え入れたいのだ!!」

今この状態で婚約を破棄し、妹と婚約したいと平然と告げるフロイスに激しいショックを受けた後で、激しい怒りがこみ上げるアンナとただ困惑するしかないクレア。

「冗談はおよしになってくださいませ!この婚約はお亡くなりになられた貴方のお父様と奥方様が決められ大切な事でありあなた自身も受け入れてくれた事ではありませんか!!遺言書にもそう書かれていますわ。それを今の状況でよくこんな身勝手な要求をするなんてどういうつもり!おかしいにも程がありますわ!」

マズウェル家の当主となったフロイスがアンナとの婚約破棄を強引に決めて大切なクレアを新しい婚約者にするなんて許せるはずがないとアンナは思い

「お断り致しますわ!!」

強い怒りを込めて言い放つ。そしたら彼は酷く不機嫌になり

「僕の方こそ冗談じゃないと言いたいよ!本当は君ではなくクレアと最初から婚約したいと両親に何度も訴えたが全くと言っていい程聞き入れてくれなかったんだ。君の様な学問だけが取り柄の地味な女よりも美しく愛らしい女性である、クレアの方が素晴らしいと本気で伝えても絶対に駄目だお前の妻として支えられるのは君の方だと頑なに譲ろうとしない、本気でおかしいと思ったよ!しかし、邪魔で仕方がなかった両親はもう亡くなり、君の両親だってもう居ない、さあこの僕と一緒になってくれ!!」

アンナに激しい怒りをぶつけたフロイスはクレアの方を向くが

「嫌ですわ!私の大切なお姉様を侮辱するなんていくらお姉様の婚約者といえど許せませんわ!フロイス様私は決して貴方と婚約する事はあり得ませんわ!!」

クレアは本気でフロイスの申し出を拒絶した。

彼は何故だ、そんなにあの女が大事なのかの駄々をこねたがクレアは応じすアンナはフロイスに向かって

「残念ね、フロイス様。けど婚約を解消するとしてもあなたがこのさき当主としてやっていけるの?なんであなたの亡きご両親が私との婚約を望んだのかお忘れかしら?それはあなた自身が当主としての自覚や能力が足りないからよ!!」

アンナからすれば彼に対してマズウェル家の時期当主として相応しいのか疑問に感じていた。

学問や馬術、剣術全て平均以下で立ち振る舞いもあまり上手くなかったから婚約者や両親にいつも助けられて来たと言うのに…。

「今のままで私無しでやっていけるのかしらね?しかもこのご婚約は国王陛下直々に了承をしてもらっての事だからこの事をご報告しなければなりませんね。」

釘をさす様に伝えるアンナにフロイスは口をつぐみ睨み付けたまま立ち去って行った。

その様子にクレアは不安げにアンナを見つめ

「お姉様、ごめんなさい…私のせいで……。」

うつむきつい謝罪の言葉をしてしまうが、アンナはクレアに対して

「大丈夫よ心配しないで。あなたが謝る事なんて何一つとしてしていないのかだから、悪いのはフロイスの方よ!だから気にしないで頂戴。」

明るい笑顔で元気付けると、クレアはほっとしたように笑顔を向ける。

大丈夫、心配要らないたとえフロイスが本気でアンナと別れて大切な妹と一緒になるのを諦めていなかったとしても私の手元にあるマズウェル伯爵家の先代当主が残してくださった遺言書と国王陛下がサインした書類がある限り何もしてこないと安心してしまっの、そこがいけなかったのかもしれないけれど……。

ある日突然、クレアがアンナの元から姿を消してしまった。


続く→
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