2 / 84
病院編
はじまり
しおりを挟む
村石竜也…、彼は久喜川町に住むフリーターの男性である。
彼は今年35歳を過ぎるが…まだ独身で、恋人暦無し=年齢と言う経歴の持ち主であり、自分自身一生結婚なんて出来ないであろう…と、何処か諦め掛けていた。
中古アパートの一室、その日届いた就職先の面接結果を見て、彼は愕然として通知書をゴミ箱へと投げ捨てた。
「あーあ…コレじゃあ、来月は携帯も止められてしまうな。これから本当にどうしようか…」
彼は居間に横たわり部屋に置いてある時計を見た。
「夕方6時か…デパートの食品売り場が半額になる頃だな…」
ダルそうに彼は起き上がり、服を着込み部屋を出る。
彼は何時もの様に街を歩いて行く。時折、すれ違うカップルを見て、彼は羨ましく思った。何故自分には恋人が出来ないのだろう…と密かな溜息を吐く。
彼は交差点に立ち止まる。隣を見ると母娘の2人が一緒に信号待ちしていた。女の子は少し背丈があり、小学校高学年位と思われた。
女の子は信号が変わると同時に横断歩道に飛び出した。その時、勢い良く走って来たハイブリッドカーが接近して居る事に気付き、竜也は「危ない!」と言って横断歩道に出て、女の子を交差点の向こうまで押し倒した。
次の瞬間ー
ドンッ!
大きな音と共に竜也は車に跳ね飛ばされる。
一瞬の出来事に周囲は沈黙していた。竜也は車に跳ね飛ばされた瞬間に意識を失い、その後の記憶は無かった…。
どれだけの時間が過ぎたのか不明だった…竜也は目が覚めると病院のベッドの上に横になって気付く。
起きあがると頭に包帯が巻かれて、体にも手術を施した後が残っていた。
「アイタタ…」
体中が疼き思わず呟くと、それに気付き近くに居た女性看護師が竜也の側へと来た。
「気が付きましたか?」
「ああ…はい」
「良かったですね、村石さんは数日間意識が無かったのですよ。まあ…でも車に跳ね飛ばされて生きていたのが奇跡かもしれませんけど…」
それを聞いて竜也は驚いた。
「あ…そう言えば、女の子は無事ですか?」
「はい、貴方に助けられた子は元気ですよ、貴方の意識が回復したら連絡して欲しいと言ってましたので、こちらから吉報を伝えておきますね」
「はい、お願いします」
「助けられた子はね、貴方に会いたがっていたのよ」
「そうでしたか…」
そう伝えて、竜也はベッドの上で横になる。意識は戻っても体が完全に回復した訳では無く、少し起きただけでも疲労感があった。
彼は自分の体を見る。
(一応…まだ手足は健在の様だな…)
フウ…と少し溜息を吐く。
(全く、これからどうしようか…怪我を理由に、後遺症が残っているから…と言う理由で生活保護を受けられるかな…?)
などと彼は考える。
翌日…
竜也の病室に少女と母親が現れた。
少女は花束を抱えて竜也の前に来た。
「初めまして村石竜也さん、梅木雫と言います。貴方に助けて頂き感謝しています」
少女は深く頭を下げて礼をする。
「無事で何よりだよ」
竜也は愛想笑いしながら答える。
「ねえ…ママ、彼と2人だけで話をしたいの…良いかしら?」
「分かったわ。待合室で待っているから、終わったら来てね」
「はあい」
雫は、そう答えてベッドのカーテンを閉めて竜也の枕元の側まで椅子を寄せて座る。
「あの…村石さんは、結婚していますか?」
「え…?独身だけど…」
竜也は不思議に思いながら答える。
「恋人とか、お付き合いしている方とかはいますか?」
「いないね…」
そう答えると、雫は恥ずかしそうにモジモジしながら言う。
「私…まだ子供だけど…交際で良ければ、お相手しても構いませんが…」
その言葉に竜也はドキッとした。女性から交際を申し込まれるのは正直嬉しいが…しかし、相手は小学生。状況次第では逮捕される事も有り得る。
「嬉しいけど、君は…まだ子供でしょ?気持ちは受け止めておくけど、もう少し大人になってから関係を作ろう。もしかしたら僕なんかよりも素敵な相手が見つかるかもしれないし…」
「貴方以外の男性には興味有りません!」
雫は大声で答えた。
「どうして…そんなに僕に興味があるの?」
「私は貴方に助けられてから、貴方の為だけに生きようと決めました!」
雫の幼いながらも真剣な眼差しに竜也は少し戸惑い。
「分かった…あくまでも交際であって、大人の関係は…君が18歳以上になってからにしよう」
「ありがとう」
雫は嬉しそうに答えて腰を上げる。
「あと一つ、これから毎日お見舞いに来ますね」
「あ…ああ、ありがとう」
「それと…私以外の女性との関係は絶対にダメですからね」
「それは大丈夫だと思うよ」
雫は嬉しそうに手を振って、病室を後にする。竜也も手を振って雫を見送った。正直な処…嬉しい気もするが、少し複雑な気分だった。
その後…雫は竜也が退院するまでの間、連日お見舞いに来てくれた…。
彼は今年35歳を過ぎるが…まだ独身で、恋人暦無し=年齢と言う経歴の持ち主であり、自分自身一生結婚なんて出来ないであろう…と、何処か諦め掛けていた。
中古アパートの一室、その日届いた就職先の面接結果を見て、彼は愕然として通知書をゴミ箱へと投げ捨てた。
「あーあ…コレじゃあ、来月は携帯も止められてしまうな。これから本当にどうしようか…」
彼は居間に横たわり部屋に置いてある時計を見た。
「夕方6時か…デパートの食品売り場が半額になる頃だな…」
ダルそうに彼は起き上がり、服を着込み部屋を出る。
彼は何時もの様に街を歩いて行く。時折、すれ違うカップルを見て、彼は羨ましく思った。何故自分には恋人が出来ないのだろう…と密かな溜息を吐く。
彼は交差点に立ち止まる。隣を見ると母娘の2人が一緒に信号待ちしていた。女の子は少し背丈があり、小学校高学年位と思われた。
女の子は信号が変わると同時に横断歩道に飛び出した。その時、勢い良く走って来たハイブリッドカーが接近して居る事に気付き、竜也は「危ない!」と言って横断歩道に出て、女の子を交差点の向こうまで押し倒した。
次の瞬間ー
ドンッ!
大きな音と共に竜也は車に跳ね飛ばされる。
一瞬の出来事に周囲は沈黙していた。竜也は車に跳ね飛ばされた瞬間に意識を失い、その後の記憶は無かった…。
どれだけの時間が過ぎたのか不明だった…竜也は目が覚めると病院のベッドの上に横になって気付く。
起きあがると頭に包帯が巻かれて、体にも手術を施した後が残っていた。
「アイタタ…」
体中が疼き思わず呟くと、それに気付き近くに居た女性看護師が竜也の側へと来た。
「気が付きましたか?」
「ああ…はい」
「良かったですね、村石さんは数日間意識が無かったのですよ。まあ…でも車に跳ね飛ばされて生きていたのが奇跡かもしれませんけど…」
それを聞いて竜也は驚いた。
「あ…そう言えば、女の子は無事ですか?」
「はい、貴方に助けられた子は元気ですよ、貴方の意識が回復したら連絡して欲しいと言ってましたので、こちらから吉報を伝えておきますね」
「はい、お願いします」
「助けられた子はね、貴方に会いたがっていたのよ」
「そうでしたか…」
そう伝えて、竜也はベッドの上で横になる。意識は戻っても体が完全に回復した訳では無く、少し起きただけでも疲労感があった。
彼は自分の体を見る。
(一応…まだ手足は健在の様だな…)
フウ…と少し溜息を吐く。
(全く、これからどうしようか…怪我を理由に、後遺症が残っているから…と言う理由で生活保護を受けられるかな…?)
などと彼は考える。
翌日…
竜也の病室に少女と母親が現れた。
少女は花束を抱えて竜也の前に来た。
「初めまして村石竜也さん、梅木雫と言います。貴方に助けて頂き感謝しています」
少女は深く頭を下げて礼をする。
「無事で何よりだよ」
竜也は愛想笑いしながら答える。
「ねえ…ママ、彼と2人だけで話をしたいの…良いかしら?」
「分かったわ。待合室で待っているから、終わったら来てね」
「はあい」
雫は、そう答えてベッドのカーテンを閉めて竜也の枕元の側まで椅子を寄せて座る。
「あの…村石さんは、結婚していますか?」
「え…?独身だけど…」
竜也は不思議に思いながら答える。
「恋人とか、お付き合いしている方とかはいますか?」
「いないね…」
そう答えると、雫は恥ずかしそうにモジモジしながら言う。
「私…まだ子供だけど…交際で良ければ、お相手しても構いませんが…」
その言葉に竜也はドキッとした。女性から交際を申し込まれるのは正直嬉しいが…しかし、相手は小学生。状況次第では逮捕される事も有り得る。
「嬉しいけど、君は…まだ子供でしょ?気持ちは受け止めておくけど、もう少し大人になってから関係を作ろう。もしかしたら僕なんかよりも素敵な相手が見つかるかもしれないし…」
「貴方以外の男性には興味有りません!」
雫は大声で答えた。
「どうして…そんなに僕に興味があるの?」
「私は貴方に助けられてから、貴方の為だけに生きようと決めました!」
雫の幼いながらも真剣な眼差しに竜也は少し戸惑い。
「分かった…あくまでも交際であって、大人の関係は…君が18歳以上になってからにしよう」
「ありがとう」
雫は嬉しそうに答えて腰を上げる。
「あと一つ、これから毎日お見舞いに来ますね」
「あ…ああ、ありがとう」
「それと…私以外の女性との関係は絶対にダメですからね」
「それは大丈夫だと思うよ」
雫は嬉しそうに手を振って、病室を後にする。竜也も手を振って雫を見送った。正直な処…嬉しい気もするが、少し複雑な気分だった。
その後…雫は竜也が退院するまでの間、連日お見舞いに来てくれた…。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる