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弥勒過去編
第三話
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……。
それからというものは地獄の引きこもり人生、それが数えて今まで十年も続いたのである。
十年間も。
色々と挑戦しようとしたのだが、体力も落ちていて対人恐怖症になっていた僕はうまくコミュニケーションも取れない。
アルバイトすら器用にできやしなかったのだ。
「どうしようこれから……」
一生フリーターなのかな? 友だちも一人も出来やしないしこれからも一生、一人ぼっちなままなんだろうか。
だが、しかし僕には救いがあることに仏教があった。
出家しようと志したのだ。
だけれど先日……。
「お寺の息子でない方は出家できません」
それって、どういう意味だろうかと問い直したところ、お寺の息子かお寺持ちの僧侶の弟子でない方は出家できない決まりなのだという。
「……え?」
僕は耳を疑った。だってネットには一般の方でも募集してますって載っていますよね? と問い直したところ
「その様な事実はございません」
……分かった、もういいよ。
僕はスマホの電源を切った。
ああ、そうか。僕に弥陀の救いというものは無いんだなあ。
そうか……と僕は思い詰めてスーパーに行き大嫌いなお酒を大量に籠に詰め込んだ。
今日は酔っぱらうぞ。
「これを飲み干したら死のう」
酒を浴びる様に飲んだ僕は夢現、幻の中で観音様に文句の言葉が出ていた。
だけれど、その文句を全て言い終えた後。
申し訳……ありませんね。
文句が出ていたけれど心のどこかでは観音様に申し訳がなかった。
でも……僕のこの境遇はあんまりなんじゃありませんか?
成仏道にも乗ることができないだなんて。
出家することすらできないのだという世の中の無慈悲な事実を押し付けられた僕は眠りについた。
そして今に至る。
この十年間の中で人に言えない様な酷いことはたくさんあった。だがそれを僕は乗り越えてここまで来たのだ。
少しくらい救いがあっても良いんじゃないんですかねえ。
……。
そして思い出す。
あ!
時計!
夢の啓示の内容を思い出す。その時計があれば子供の頃の自分に戻れて好きなことができるよという弥陀か観音様のお告げなのだ。
そして、僕は遂に川へと辿り着いた。
ハァハァ……と喘息の様に息が落ち着かなかったがようやく辿り着いた。
「確か夢ではこの辺に……」
……。
……。
ない。
やっぱり無いぞ。そんなものは。
狸に化かされたんだ。案の定……。
だが、今の僕にはショックすら受ける気力はなかった。
家へと帰ろう、そう決意したその時。
「ん?」
「なんだこれ?」
それは何の変哲もない腕時計だった。
僕はそれを家へと持ち帰った。
ベッドに座り心臓がドキドキと鼓動がする。これはどういったことだろう?
夢の内容が現実に起こるなんて。
こんなことは人類に今まで起こった試しがあるのだろうか。
夢の中で落ちていた腕時計が全く同じ場所で落ちているだなんて。
そして、全く同じ形をしている。
「ありがとう、観音様……」
僕は久しぶりに、観音様にお礼を言うのであった。
「さ、さて、時計をいじってみよう」
……。
対した機能が付いていない気もするが……。ん? これはダイヤルか?
ダイヤルをぐるぐると適当に回してみる。
「ダイヤルのボタンに英語が刻んであるな、一体何だろう、えーと」
ええとこれは……。
……。
Time Machine?
それからというものは地獄の引きこもり人生、それが数えて今まで十年も続いたのである。
十年間も。
色々と挑戦しようとしたのだが、体力も落ちていて対人恐怖症になっていた僕はうまくコミュニケーションも取れない。
アルバイトすら器用にできやしなかったのだ。
「どうしようこれから……」
一生フリーターなのかな? 友だちも一人も出来やしないしこれからも一生、一人ぼっちなままなんだろうか。
だが、しかし僕には救いがあることに仏教があった。
出家しようと志したのだ。
だけれど先日……。
「お寺の息子でない方は出家できません」
それって、どういう意味だろうかと問い直したところ、お寺の息子かお寺持ちの僧侶の弟子でない方は出家できない決まりなのだという。
「……え?」
僕は耳を疑った。だってネットには一般の方でも募集してますって載っていますよね? と問い直したところ
「その様な事実はございません」
……分かった、もういいよ。
僕はスマホの電源を切った。
ああ、そうか。僕に弥陀の救いというものは無いんだなあ。
そうか……と僕は思い詰めてスーパーに行き大嫌いなお酒を大量に籠に詰め込んだ。
今日は酔っぱらうぞ。
「これを飲み干したら死のう」
酒を浴びる様に飲んだ僕は夢現、幻の中で観音様に文句の言葉が出ていた。
だけれど、その文句を全て言い終えた後。
申し訳……ありませんね。
文句が出ていたけれど心のどこかでは観音様に申し訳がなかった。
でも……僕のこの境遇はあんまりなんじゃありませんか?
成仏道にも乗ることができないだなんて。
出家することすらできないのだという世の中の無慈悲な事実を押し付けられた僕は眠りについた。
そして今に至る。
この十年間の中で人に言えない様な酷いことはたくさんあった。だがそれを僕は乗り越えてここまで来たのだ。
少しくらい救いがあっても良いんじゃないんですかねえ。
……。
そして思い出す。
あ!
時計!
夢の啓示の内容を思い出す。その時計があれば子供の頃の自分に戻れて好きなことができるよという弥陀か観音様のお告げなのだ。
そして、僕は遂に川へと辿り着いた。
ハァハァ……と喘息の様に息が落ち着かなかったがようやく辿り着いた。
「確か夢ではこの辺に……」
……。
……。
ない。
やっぱり無いぞ。そんなものは。
狸に化かされたんだ。案の定……。
だが、今の僕にはショックすら受ける気力はなかった。
家へと帰ろう、そう決意したその時。
「ん?」
「なんだこれ?」
それは何の変哲もない腕時計だった。
僕はそれを家へと持ち帰った。
ベッドに座り心臓がドキドキと鼓動がする。これはどういったことだろう?
夢の内容が現実に起こるなんて。
こんなことは人類に今まで起こった試しがあるのだろうか。
夢の中で落ちていた腕時計が全く同じ場所で落ちているだなんて。
そして、全く同じ形をしている。
「ありがとう、観音様……」
僕は久しぶりに、観音様にお礼を言うのであった。
「さ、さて、時計をいじってみよう」
……。
対した機能が付いていない気もするが……。ん? これはダイヤルか?
ダイヤルをぐるぐると適当に回してみる。
「ダイヤルのボタンに英語が刻んであるな、一体何だろう、えーと」
ええとこれは……。
……。
Time Machine?
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