未来が見えない

すふにん

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第一次白台ギルド戦争

第二話

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 先生がそろそろホームルームの時間を終わりますと話し始めた。

「最後に何か質問はありませんか?」

 先生! と最後に僕は挙手をした。

未来みく君、元気がいいね。どうぞ、まだ言いたい事があるのかな?」

 あー、やっぱりいいです。と言いかけて、先生が遠慮なく発言してという声に僕は勇気を出して最後の意見を言った。

「高校三年間の生活の中でみんなで何か思い出を作るというのはどうでしょうか?」

 するとまた教室がざわめきだす。

「思い出ってたとえばどんな?」

 僕はそうだなあという一思案するアクションを見せた。

「たとえば、みんなで一枚の大きな紙に好きな絵を描くとかどうかな? 一人一人が得意なジャンルでさ、好きなものを描くんだよ。きっと楽しいと思うよ」

 先生が感心した様に頷き、目標があるのはいい事だね! と肯定する素振りを見せてくれた。

「具体的な案でいいね! 得意なことがない人はこの三年間で身につけろってことかな? 絵が得意な人や音楽が得意な人で何かできるかな? たとえば、スポーツがんばろう的なイメージでもいいのね?」

 僕は目を輝かせて元気よく頷いた。

「そうそう、そんな感じ」

 クラスがおおーっと言った声が挙がった。

「なかなかいいアイディアだね、三年間の最後の思い出としてそれを文化祭なんかで発表できればいいね。クラスが変わってもそれが続けられればいいよね。みんな、この案を取ってみようか?」

「まあやってみてもいいかな?」

 奇跡的に一人賛同してくれる人がいた。これなら大丈夫かもしれない。僕は嬉しくなった。

「各々が得意なことをやればいいんだね、わかった、試しに私も頑張ってみようかな?」

 意見がまとまったところで、今日はこれで解散とクラスのホームルームが解散した。

 すると一人のクラスメイトが話しかけてきた。

「未来、三年間でそんなことができるとは中々思えないけどなかなか良い意見だったね、どっからそんなアイディアが出てきたの?」

「いや、漫画とかで見たんだよ。みんなが協力して一つのことをやるって素敵じゃない?」

 そのクラスメイトは感心した風な様子を見せて。

「漫画が得意な人とかイラストで? 割といいかもしれないね、それ。みんなを鍛えてくれよ。卒業に向けて、みんなのスキルアップを考えてくれたんだよな。それってかっこいいことだと思うぜ」

「私はやってみてもいいよ。絵とか得意だからさ」

「私は音楽が苦手……」

 次々とクラスから声が挙がる。

 今時、専門的なスキルがあれば卒業して仕事をしてもこの社会を乗り切ることができる。みんなそれがわかっているから賛同する声が奇跡的に挙がったのだ。僕は久しぶりにみんながやる気になってくれたことを心から喜んだ。やはり夢や目標がないとみんなやる気が出ないものなんだ。

「私はそんな体力も気力もないな……まあ、やりたい人だけでやるのがいいんじゃないの? まあ素敵だとは私も思うけどね」

 教室中で良い意味でワイワイとしてきた。

 これだ、僕が求める賑やかさというのはこういうことだったのだ。僕は先ほどの不協和音を見事に修正したのだ。

 一人一人が協力し合わないと結局はみんな、一人ぼっちになってしまって、各々好きに動いてしまい、先ほどの様な音を作り出してしまうのだろう。僕はそう考えることにした。

 みんなで協力し合うということは、やはり素晴らしいことなんだ。
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