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第二十話・so cute
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直side
身体を真っ二つに斬り裂かれた怪物は、塵となって崩れ去る。
毎度の事だが、怪物は死ぬ時、血を出さない。
何故だろうか?
血液がない生物は………本当に生物なのか?
いや、生物なんだろう。
ただ、生物と言うには少し厳しい気がする。
破壊衝動の権化みたいに、周辺を壊しまくり、人間を区別なく襲う。
それ以外何かするわけでもない。
直(プログラムでもされてるのか……?)
……いや、そんな事を考えている場合ではない。
俺の目の前には、燃えている蛾がいる。
怒りという炎で。
これを見たのは何年ぶりだろうか。
彼女……繭原真依が怒った姿を。
滝斗「なぁ…、直。」
「…何だ?」
滝斗が小声で聞いてくる。
「消防隊、呼べるか?」
「…いや、この炎は消防隊ですら消火出来ないな。」
俺は苦笑いしながら、そう返す。
俺と滝斗は、蛇に睨まれた蛙みたいに動けなくなっていた。
彼女の怒った時の様子や顔は、実に可愛らしい。
…下心とかなしで、本当に。
しかし、本気で怒らせると、一見通常となんら変わりはないが、威圧感が全く違う。
まさに地獄の業火ってやつだな。
真依「……。」
ただ立ってこっちを見ているだけなのに…何だろう、この威圧感は…。
いや、正確には魔物の方を見ている彼女の視線上に、俺たちがいるだけか?
その目は魔物の存在を悲しみ、憐れむような、争いに対するやるせない怒りともとれる……なんとも言えない瞳だった。
善一「……はぁ…。」
みかねた善一が、俺たちに助け舟を出す。
「魔物は全部倒したぞ。怪我人もいない。これでいいだろ?」
直(………これ助け舟?)
言われてる相手が相手だったら、神経を逆撫でされてるだろう。
もしかして善一は怒っているのか?
そう感じ取ってもおかしくない言い方だった。
だって言い方ぶっきらぼうなんだもん。
………あ、いつもの事か。
「……それなら…いいけど。」
(……納得するんだ。)
真依に、いつもの笑みが戻る。
……癒しだな。
いや、他意はないから。
本当に。
「なんか……久しぶりに……本気出したら……眠くなっちゃった…。」
彼女はそういうと、大きな欠伸をして、一瞬にして紡がれたであろう手製の寝袋にくるまり、その場で睡眠を始めた。
あら可愛い。
何この可愛い生物。
……なんてことは言ってられない。
こんな所で寝たら、いくら寝袋に入っているとはいえ、風邪を引くのは間違いない。
「善一、こいつ運ぶぞ。」
「…分かった。」
「黄蜂、お前も来い。」
「う、うん…。」
そう言うと俺と善一は、真依をなるべく起こさないように抱えて、彼女の店に運び込む。
(滝斗と悠は、近くに他にも魔物がいるかもしれない為、見回りに行った。)
俺と善一は、真依を店のカウンターに置き、黄蜂に見張り番を任せて、店先にあるベンチに座り込んだ。
「…そういえば、あいつの名前、聞いてなかったな。」
善一は、俺に向き直って話し始める。
(…そういえば、変に囃し立てられてた割には、名前聞かれなかったもんな…。)
「名前、なんて言うんだ?」
「…小澤黄蜂だって。」
「黄蜂か…。」
「……で、例の計画は順調なのか?」
俺は話を切り替える。
「…あの計画なら…~」
俺たちは声の音量を下げ、静かに話し始めた。
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身体を真っ二つに斬り裂かれた怪物は、塵となって崩れ去る。
毎度の事だが、怪物は死ぬ時、血を出さない。
何故だろうか?
血液がない生物は………本当に生物なのか?
いや、生物なんだろう。
ただ、生物と言うには少し厳しい気がする。
破壊衝動の権化みたいに、周辺を壊しまくり、人間を区別なく襲う。
それ以外何かするわけでもない。
直(プログラムでもされてるのか……?)
……いや、そんな事を考えている場合ではない。
俺の目の前には、燃えている蛾がいる。
怒りという炎で。
これを見たのは何年ぶりだろうか。
彼女……繭原真依が怒った姿を。
滝斗「なぁ…、直。」
「…何だ?」
滝斗が小声で聞いてくる。
「消防隊、呼べるか?」
「…いや、この炎は消防隊ですら消火出来ないな。」
俺は苦笑いしながら、そう返す。
俺と滝斗は、蛇に睨まれた蛙みたいに動けなくなっていた。
彼女の怒った時の様子や顔は、実に可愛らしい。
…下心とかなしで、本当に。
しかし、本気で怒らせると、一見通常となんら変わりはないが、威圧感が全く違う。
まさに地獄の業火ってやつだな。
真依「……。」
ただ立ってこっちを見ているだけなのに…何だろう、この威圧感は…。
いや、正確には魔物の方を見ている彼女の視線上に、俺たちがいるだけか?
その目は魔物の存在を悲しみ、憐れむような、争いに対するやるせない怒りともとれる……なんとも言えない瞳だった。
善一「……はぁ…。」
みかねた善一が、俺たちに助け舟を出す。
「魔物は全部倒したぞ。怪我人もいない。これでいいだろ?」
直(………これ助け舟?)
言われてる相手が相手だったら、神経を逆撫でされてるだろう。
もしかして善一は怒っているのか?
そう感じ取ってもおかしくない言い方だった。
だって言い方ぶっきらぼうなんだもん。
………あ、いつもの事か。
「……それなら…いいけど。」
(……納得するんだ。)
真依に、いつもの笑みが戻る。
……癒しだな。
いや、他意はないから。
本当に。
「なんか……久しぶりに……本気出したら……眠くなっちゃった…。」
彼女はそういうと、大きな欠伸をして、一瞬にして紡がれたであろう手製の寝袋にくるまり、その場で睡眠を始めた。
あら可愛い。
何この可愛い生物。
……なんてことは言ってられない。
こんな所で寝たら、いくら寝袋に入っているとはいえ、風邪を引くのは間違いない。
「善一、こいつ運ぶぞ。」
「…分かった。」
「黄蜂、お前も来い。」
「う、うん…。」
そう言うと俺と善一は、真依をなるべく起こさないように抱えて、彼女の店に運び込む。
(滝斗と悠は、近くに他にも魔物がいるかもしれない為、見回りに行った。)
俺と善一は、真依を店のカウンターに置き、黄蜂に見張り番を任せて、店先にあるベンチに座り込んだ。
「…そういえば、あいつの名前、聞いてなかったな。」
善一は、俺に向き直って話し始める。
(…そういえば、変に囃し立てられてた割には、名前聞かれなかったもんな…。)
「名前、なんて言うんだ?」
「…小澤黄蜂だって。」
「黄蜂か…。」
「……で、例の計画は順調なのか?」
俺は話を切り替える。
「…あの計画なら…~」
俺たちは声の音量を下げ、静かに話し始めた。
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