ウラルロイドの世界冒険記

K:ニトロ

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1章 「目覚めし鼓動」

分岐B―1 正面突破する

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 よし、今回は正面突破していこう
 今は何となく力試し(蹂躙)をしておきたい気分なため、さっさと、情報を吐き出させて、本拠地に乗り込もう、本拠地は何となく目安がつくが、もしかしたら、特殊な手段を使わなければ入れない可能性もあるしな

 そう考えた俺はさっさと魔道具のほとんどを破壊し、コアのみ回収した、魔道具のコアは本来、一度魔道具に付けてしまえば取り外すことは特殊な技法を使わない限り不可能なので、高く売れる
 貴重な収入美味しいです

 その後は、特に細かなことはせず、部屋をまわって、次々に魔道具を破壊する、途中、雑兵があらわれたり、なにか叫んでいたが、別に記述するほどでもないだろう
 そのまま大概のものを壊し尽くし、残っている物の中から、怪しいものを調べた、その結果、壁一面に描かれた絵画ーーたてつけてあるため壁画ではないーーが魔道具であることが判明した、魔道具の名称は【異那の象徴画】という別時空とその入り口を生み出す高位の魔道具だそうだ、ただ、絵師は無駄に芸術性を求めたのだろう、絵に集中するあまり、赤黒い色や黒、灰色を貴重にした奇怪な絵が飾られていた、その絵は、落ち着いた雰囲気の宿に似合わず近寄りがたい雰囲気を放っていた

(このタイプは確か一番多い色を内側からだったな)

 移動系の魔道具には、それぞれに決まった法則がある、これを間違えると結構面倒なことになるため、しっかり覚えておいた方がいい
 ちなみに、絵画系は色関係が多く、暗い色や猟奇的な絵だと内側から、明るい色や落ち着いた絵だと外側からに設定され、これを覆すことは出来ない、一応、抜け道が無いわけではないが、一定以上の技量が必要となるーー今回の絵師にそのレベルは出来ないだろうーー

 そんなことはさて置き、ささっと解除する、そしたら、絵がグニャリと歪み、薄暗い廊下が現れた。
 床も壁も天井も、均等なサイズの石畳で作られている、たまに吊り下げられている石油ランタンの灯りは、妙に気味が悪く、湿気の多い空気は気分を鬱蒼とさせる、奥は見通せず、命の気配がない通路が続く
 しばらく歩くと、ようやく変化があった、相変わらず薄暗い通路の突き当たりに、木の板と鉄の枠組みで作られた扉、所々錆び付き、扉脇に吊られたランタンもどこか弱々しい、照された角は苔やカビが発生しており、不快な空気を産み出し続けている

「扉は、ん?固いな、滅多に使わないのか?それにしては足跡が新しいし、多いな、となると・・・」

 扉はまたも魔道具であった、この魔道具は非常に厄介な類いで、設計者や、関係者でなければそう簡単に開けられない、操作は単純だが、それ故に難解だ、さらに少しなら押し引き出来るので、存在を知らなければ、力ずくで開けようとしたり、どこかに鍵がないか探してしまう
 この魔道具のあけかたは、縦に打ち付けられた板を定められた順番に、定められた回数叩き、最後に、一本だけ打ち付けてある横板に触れる、合っていれば、「ガチャリ」鍵が開いたような音がなる、外れれば設計者に通達される仕組みだ
 魔術が無い世界で言えば、南京錠とか電子鍵のような役割をしている
 しかし、この魔道具には一つ重大な欠点がある、それは、鍵穴に存在していて、そこを覗くと、いくつかの線が通っていて、その数が、板を押す回数と一致しているのだ、ーーもっともこれに気付いている者はごく少数だがーーとても親切設計である(制作者が遊び心で作っただけ)
 というわけで、覗いてみると、線の数は6本、板も6枚で、ちょうど同じ数だな、もちろん6枚全てを使う必要はないので、同じ数だからなんだという話だが
 そして、この扉の開け方だが、道中には答えは勿論、ヒントもなかったので、【直感】を頼りに押してみる
 すると、ガチャリ、と音が鳴り、鍵が開いた、どうやら正解だったようだ、やはり【直感】は頼りになる、今までの生でレベルを上げておいて良かった

 もう、この扉に価値はないので蹴破る、強く蹴りすぎて、先にいた奴が四散したが、いつかは死ぬ生だ、少し早まるくらいどうってこと無いだろう、悪人だしな
 まぁ、盛大に蹴破ったことに変わりはないため、他のまだ生きている奴らは臨戦態勢になっている、最初から全滅させる気なので別に構わないのだが

「お、お前!何者だ!」

「どうしてここにいる!」

「よ、よくも仲間を!」

 なんだかギャーギャー言っているが、聞くだけ無駄だろう、剣を抜いて一振り、二振りすぐに静かになる

「次はっといきなり分かれているか、じゃあ右からだな」

 そうして2枚目の扉を蹴破る、今度はただの木の扉だったため、板は破散し、散弾めいた攻撃となる、木片は部屋中の賊に深々と突き刺さり看過できない傷をつけた

「ぎゃあぁぁぁぁ!う、腕が、俺の腕が動かねぇよおおおぉぉぉ!」

「あ?何だか急に暗く…だ、誰か!明かりを明かりを付けてくれ!真っ暗で何も見えねえ!」

「キョフヲ?」

 うーん外れだ、掃除だけしておくか

「次は真ん中にしよう、【フレイムバレッタ】」

 魔法の発動と共に発射されたやや細長い火の玉は扉を貫通し、室内にて広がり、有機物から有害な煙をだし、喉が焼けるような熱気を充満させた

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

 室内から何人もの断末魔が響いたが、気にしない気にしない

「ここも外れなのかだな」

 今度は剣と刀をそれぞれ右と左に構え、扉を切り裂き突入する、賊はすぐに応戦しようとしたが、構える頃には全員、身体は真っ二つだった

「ここにもなにもない、じゃあ次は後ろかな?」

 そう考え、戻ろうとしたら、「ガコンッ」と音が響いた
 戻ってみると、その部屋の中心に斜め梯子が降りていた、4つの部屋の人員全滅か、特定の人物の殺害で開く仕掛けだったのだろう、まるで、ゲームみたいだが、実際にそういう仕掛けが多用されている世界もあるのだ、別におかしくはない

 そして俺は2階に駆けあがった
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