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2章 「反逆の時」
1節 1度目の迷宮攻略
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侵食迷宮『大鬼の石切場』に踏み入れると、やはりと言うか、なんと言うか、岩肌が丸出しなところに、粗削りの丸太を押し付けた造りであった、明かりは「松明」や、「魔導灯」ではなく、自然に生えたと思われる「光苔」という苔の光だった、どうも、この石切場を造った大鬼は知能が低いようだ、これは、半日あれば攻略できそうか?
ーー 1階 ーー
光苔の明かりのみで照らされる迷宮内は薄暗く、視界が悪い、しかし、トラップの類は雑な作りで、このような環境でも少し気を付けていれば引っ掛かることはない、1番浅い階層なだけあり、10分近く歩いても、敵が1体も湧いてこない、宝箱のようなものがあるかは知らないが、今のところ見当たらない、もう少し奥に行くか
ーー 地下4階 ーー
ちらほらと敵対mobが現れ始めた、まだまだ弱い奴だが、それでも使える技能はある、例えば「悪小鬼」なんかは、
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名 称:悪小鬼(ゴブリン)
種 族:鬼
推奨レベル:8
属 性:打・火
不 利 属 性:貫
有 利 属 性:斬
種 族 能 力:悪知恵・暗視・繁殖
固 有 能 力:なし
特 性:迷宮怪物
非常によく知られる一般的な魔物、人族の小学生並みの知恵を持ち、他種族に害をなすため、害獣と同じ扱いがなされている
1体見かければ、最低でも50体はいると言われているほど繁殖能力が高く、異性であれば種族関係なく繁殖する上に、ほとんどが雄で構成されているため、女性からは忌み嫌われ、男性は絶対に女性に近付けさせないようにしている
この個体は【迷宮産】であるため、繁殖行動や摂食行動はせず、迷宮への侵入者殺害のために特効してくる
この個体は【迷宮産】であるため、撃破時に消滅し、代わりにいくつかの素材と、少量の硬貨が残る
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
と、解説される
そして、【暗視】が非常に役立つ技能だ
他にも出現しているが、長くなるので、別のページ(オマケ)に書いておく
[技能【悪知恵】【暗視】【繁殖】の複製完了]
ーー 10階 ーー
階段を降りてすぐに他の階とはあからさまな違いがあった
今までの階は階段を降りても奥へ奥へとひたすら迷路のような通路が続いていた
しかし、今回の、つまり10階の様子は違っていて、目の前には大扉が設置されていた、扉には左右対称で丸太を担ぐ大鬼が彫られており、これまでの造りとは明らかに違かった
しかし、それもそのはずである、ここは10階層毎にある中ボスが鎮座している階層なのだから・・・
扉を開ければ、そこには若い大鬼が部屋の中央にどっしりと座り込み、こちらを睨んでいた、この階層の主だ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名 称:暴乱大鬼
種 族:鬼
固 有 名 称:暴乱のケラル
推奨レベル:15~18
属 性:打
不 利 属 性:貫
有 利 属 性:斬
種 族 能 力:怪力・暗視・生命強化(微)
固 有 能 力:高速成長
かつて、この迷宮内で活躍していた若い大鬼、通常の大鬼ではあり得ないほど知能があり、相手を見ながら、戦闘中に成長していた、鬼種では珍しく仲間思いで、最期には仲間を庇いその命を散らした
現在でも一部の地域では童話で語られている
その功績から、迷宮内にて、名持ちの強敵として、侵入者を待つ任を与えられた
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
凝っている、固有名詞とか言われても、冒険者達が適当に総呼び始めたのだと思っていたが、この世界では違うようだ
それにしても【高速成長】か、運が良ければ、相当上位の存在に進化しただろうに、勿体ないな
ここで、ケラルが動き出したので、気持ちを切り換えて、相手をする、さすがにレベルの差が大きすぎるので相手にもならないが
ケラルを倒したらそこには銀と銅で飾られた宝箱があった、ただ、開けるのはまだ後にして、今は先に進む
[技能【生命強化(微)】【高速成長】の複製完了]
[技能【怪力】【暗視】の技能レベル上昇]
ーー 11階層 ーー
この階層も他の階と違う造りをしていた、壁の見た目だけであれば先ほどまでと変わらないが、少し広い個室型だった、しかも、精神力の回復ができる水が湧き、無いよりもはましな、簡易ベットや簡易便所があった、ボスの後は休憩スペースなのだろうか?
俺自身は、たいして疲れもしていないので、すぐに降りた
ーー 12階層 ーー
12階に到達したが、今までよりいっそう暗くなっていた、本当にここが中級難度なのか怪しいギミックだが、敵や罠が低級のように弱いので、そうしてバランスをとっているのだろう
しばらく歩くと、新たな敵と遭遇した、なにか考えるまでもなく【鑑定眼】が発動する
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名 称:悪中鬼(ホブ・ゴブリン)
種 族:鬼
推奨レベル:12
属 性:斬・闇
不 利 属 性:打
有 利 属 性:貫
種 族 能 力:暗視・悪知恵
固 有 能 力:なし
悪小鬼の上位種、知能は基本人族の12歳程度だが、個体差が激しく、脳筋のような単純特効タイプもいれば、多数の悪小鬼を指揮する奴もいる、鎧や武器を自作するものもいたりと、なめてかかると手痛い被害が出る
属性においても、この個体が剣を装備しているのが理由であり、これといった弱点がない
この個体は【迷宮産】であるため、多様性が死亡している
この個体は【迷宮産】であるため、撃破時に消滅し、代わりにいくつかの素材と、少量の硬貨が残る
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
多少なりとも強化されているらしい、多様性が失われているのは、簡単な侵食型だからしょうがないのだろう
それと、この階層から、まれに即死級の罠が出始めた、今までの階層では、発動しても、小石や腐った何かが飛んでくるか、簡単に出られる落とし穴だったが、この階層からは岩石トラップと言い、破壊こそ可能だが、大きく固い岩が天井または壁から出てきて、直線上に転がり、挑戦者を押し潰すものができた、相変わらず、事前に発見するのは簡単なのが救いだろう
10、20程度の戦闘をこなすこと数分、隠し部屋を見つけた、といっても、不意打ちを仕掛けようとした敵が壊した壁の先にあっただけだが、運も実力のうちと言う、つまり、俺が見つけたといっても過言ではない?
変な思想は置いておき、取り敢えず箱を開けると、中身が飛び出してきた、しかし、出てきたのは明らかに箱よりも大きな棍棒だった
その棍棒は、雑に切り出したような岩の形をした合金製の棍棒で、持ち手は細く、先は太くしてあるだけの鉄塊といっても過言ではない見た目だった、一応、詳しく知るために【鑑定眼】を使用しておく
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名 称:岩窟棍棒(粗・侵食異物)
等 級:c+
種 別:棍棒
武器属性:打
能 力:岩石破壊(弱)
想定威力:20(+5)
重 量:125kg
<説明>
固い岩や、城壁を破壊することに特化した棍棒、大鬼のサイズに合わせてあり、重量もいくらか軽量化されている
侵食迷宮産であるため、通常よりも威力が“5”高くなっている
大鬼に合わせてあるため、それよりも非力な種族は命中が50下がる
持ち手まで金属製であるため、よく電気を通し、使用者に感電の恐れがある
<語句>
【侵食異物】侵食迷宮内で発見されるアイテムからは必ずついている称号
これがあると、外の物よりも何かしらの利点がある
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
どうやらそれなりに良いもののようだ、持ちにくさと、扱いにくさが目立つが、威力だけならAランク相当だった
迷宮は良い武器屋かも知れない
それ以降、宝箱やアイテムは見当たらず、12階層へ進む、敵は悪中鬼1体と、悪小鬼2体が基本編成で現れている、ドロップアイテムも粗悪品が多く
20階層に到達した、やはり雰囲気が合わず、異質な雰囲気を放つ大扉がある、今の俺に準備や休憩は必要ないので、すぐに開けると中には鞭を携えた雌の大鬼と、一方が杖、もう一方がガントレットを装備した悪中鬼が1体づつ、様々な装備を持った悪小鬼が6体いた、さらに部屋の中には多数の人骨や、壊れた装具がある、それなりの難関なのだろう
迷わず【鑑定眼】を使用する
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名 称:烈火大鬼女帝
種 族:鬼
固 有 名 称:烈火のカーラ
推奨レベル:20~25
属 性:打、火
不 利 属 性:貫、木、風
有 利 属 性:斬、水、氷
種 族 能 力:怪力・暗視・生命強化(微)
固 有 能 力:配下統率(中)・火炎行使
かつて、この洞窟内で全体に指揮を行っていた大鬼
熱い性格と仲間思いな気質から、配下から絶大な信頼を得ていた
また、カーラは暴乱のケラルの育ての親であり、彼に最初に戦闘技能を身に付けさせた張本鬼である
人族はその統率能力を恐れ、度々討伐にのりだしたが、持ち前の能力と、鞭による遠距離からの牽制、並みの人族を越える状況判断能力でことごとく打ち破っていた
晩年、ついに打倒するものはなく、約1000年という長い生を配下に見守られながら終えた
鬼という種族が戦闘を好む種族であるため、寿命による死は偉大なる力を誇示し続けたと認められ、今もなお鬼達の間で語り継がれ、憧れを抱く鬼が多い
そのような偉大な一生を生きた功績により、迷宮内にてケラルの次に待ち受ける名持ちの強者とし、数多なる侵入者を迎え撃つ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
カーラは集団戦闘を得意としているようだ、周囲の配下に適切に指示をだし、多角的に、それでいてこちらが前に出づらい陣形を維持している、また、散らばる骨を使って防御もしてくるため、適正レベルに達していても、多くのものは物量に呑まれ屍を晒すのだろう、部屋中に散らばる骨が、その証拠だ
カーラが出現してから、一歩前に進んだとき、鬼達はこちらに攻撃を開始した、両手で盾を構える悪小鬼2体が前衛に構え、その後ろに造られた台の上から、残りの悪小鬼が弓やスリングで牽制してくる、それらを弾きながら前に進むと、悪中鬼が2体の悪小鬼に指示をだし装備を槍に持ち変え、盾持ちの隙間から突いてくる、また、烈火のカーラも鞭に爆炎を付与して予測困難な軌道の攻撃が更に厄介さを際立てる、後方から弓を射る2体の悪小鬼は矢を普通の矢から、麻痺毒を塗った矢に持ち変え、より正確に狙いを定めてくる
攻撃を捌きながら目の前の盾を壊しても、背中に背負っていた予備の盾を取り出し、時おり突進を仕掛けてこちらの体制を崩しにくる
それに対して俺は、地面を踏み抜き、骨を飛ばし、飛来する矢の軌道を反らし、《青色系統魔術》【滑らし拒絶する水膜】で、鞭と炎を防ぎ、飛び出す槍を紙一重でかわしつつ手持ちの剣で、槍を削っていく、盾持ちの突進には、力の入りにくい箇所に拳を突きだしバランスを崩したところに【怪力】と【豪腕】を併用しつつ追撃を行う
前衛の悪小鬼を撃破したところで、相手の陣形が地形ごと変わった、杖を持った悪中鬼が地面に魔力を流し、装置が作動したようだ
変化した地形は、骨が集まり巨大な壁となっていた、その上、壁の上に杖持ちの悪中鬼が1体、弓装備の悪小鬼が2体いて、なかなかの連携を持った連続攻撃を放ってくる
さらに、骨でできた迷路は時折、火炎による壁が烈火のカーラによって発生する、今の俺では、まだ炎を魔術なしでは無効化できないため、出来る限りは触れたくない
残りの3体は迷路内を縦横無尽に移動し、囮を使った奇襲や、遠距離攻撃を利用した攻撃で攻めてくる
もはや、本当に推奨レベル20台なのか疑いたくなるほど厄介な戦法だ
それともう一つ、骨の壁は《迷宮特権》【破壊不能】と【踏破不可】が付与されていた、俺の持つ技能を行使すれば一応壊せるし、上に登ることも出来るが、今は強力すぎる技能は使いたくないので、素直に正攻法で攻める
それにしてもこのボスはパーティーメンバーに遠距離攻撃の出来る仲間がいなければ詰むのではないだろうか?そろそろ全域を回れたと思うが、登れるところは一切見当たらなかった、カーラなんて、骨で作られた卵状の中に入って攻撃してくるものだからな、あと、近距離部隊は何処だ?
しばらく歩き回って、近距離部隊の奴らが見当たらず、いい加減面倒になったので、少々不正を働くことにする
まずは、地面に落ちている適当な物を拾う、
そしたら、次に狙う相手を決めて、拾ったものが壊れないように意識しながら【豪腕】と【怪力】を発動しつつ構える、構えたならば、【先読み】で獲物の動きを予測しつつ、頭部めがけて投げる・・・命中!
投げた物は寸分の狂いもなく狙っていた悪中鬼の頭部中心に命中した、ただし、技能補正やレベル補正、元々の身体能力が加わり、過剰殺害も良いところであったそれは光速を越え、命中し、頭を吹き飛ばした、さらに、豪速球によって吹き飛ばされた破片もまた、散弾めいた範囲に高い殺傷能力で飛び散り、壁の上にいた残りの悪小鬼も仕留められた、まさに一石三鳥だ、いや、ずっと煩わしかった攻撃が止んだのだ、これは一石四鳥だな
そんなことはさておき、次に狙うのはずっと姿を見せない近距離部隊だ、これに対する対処は簡単で、この骨の迷路内全域で思い切り地面を踏み抜きつつ、高速で走り回ることだ、そうすれば土煙(骨粉や小石が多いのでこの表現はあくまでも比喩である)が立ち上り相手の行動も阻害できる
そうして走ること僅か2周目、奴らは簡単に見つかった、どうやら、俺を仕留めることは早々に諦め、常に骨迷路の真逆の位置を保ち、俺が飢餓やら病やらで力尽きるのを待っていたらしい、迷宮内の敵とは思えない策だった
しかし、俺の走るスピードよりずっと遅い彼らでは、対応が出来ない、更には俺が巻き上げた土煙で、視界が悪くなり、身動きが取れなくなっていたようだ
あとはもう簡単だ、接近して切り捨てる。それで終わりだ
残るは烈火のカーラのみになった、すると、再度フィールド上に変化が起こった、骨の壁は1度崩れ落ち、その後、カーラが居た位置へ集まり始め、その大部分は台地のような地形を形成していく、変化が終わった後、台地の上には、奇妙な形状の骨鎧を纏ったカーラが居た、脚や腕の部分は幾重にも折り畳まれ、胴体部分は心臓部を中心に何重もの円の模様が出来ている、それらは細かい骨で形成され、生半可な攻撃は通らなさそうだ、鞭にまとわる炎も先ほどまではほんのり赤く光っているだけだったものが、今では激しく燃え盛っている
あまりにも急激に強化されたことに違和感を覚え、直感的に【鑑定眼】を使用してみたところ、明らかな異常が発生していた
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名称:烈火大鬼女帝・亜種
種族:鬼?
固有名称:死炎のカーラ
推奨レベル:100~120
属性:打、業火、岩土
不利属性:下位属性、清水、迅雷、疾風
有利属性:氷華
種 族 能 力:怪力・暗視・生命強化(微)
固 有 能 力:死炎行使・復讐
何者かの介入により生前の力と同等の状態になった
仲間の死を強く哀しみ、あなたに強い復讐心を持っていて、死も厭わずに襲ってくるだろう
<語句説明>
『死炎』
・行使するものの命を対価に、発現する紫色の炎
・死炎は如何なる現象を用いても消えることがない
・1秒の維持に100年単位の寿命を削る
・死炎は見た目こそ炎であるが、本質は全くの別物である
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
なにかおかしいと思ったらこれか、盗賊アジトの件といい、いったい何者が介入しているんだ
疑問はつきないが、お相手さんは待ってくれないので、後で考えるとしよう、にしても異常がこれなら、本来はどうだったんだ?
ーー 1階 ーー
光苔の明かりのみで照らされる迷宮内は薄暗く、視界が悪い、しかし、トラップの類は雑な作りで、このような環境でも少し気を付けていれば引っ掛かることはない、1番浅い階層なだけあり、10分近く歩いても、敵が1体も湧いてこない、宝箱のようなものがあるかは知らないが、今のところ見当たらない、もう少し奥に行くか
ーー 地下4階 ーー
ちらほらと敵対mobが現れ始めた、まだまだ弱い奴だが、それでも使える技能はある、例えば「悪小鬼」なんかは、
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名 称:悪小鬼(ゴブリン)
種 族:鬼
推奨レベル:8
属 性:打・火
不 利 属 性:貫
有 利 属 性:斬
種 族 能 力:悪知恵・暗視・繁殖
固 有 能 力:なし
特 性:迷宮怪物
非常によく知られる一般的な魔物、人族の小学生並みの知恵を持ち、他種族に害をなすため、害獣と同じ扱いがなされている
1体見かければ、最低でも50体はいると言われているほど繁殖能力が高く、異性であれば種族関係なく繁殖する上に、ほとんどが雄で構成されているため、女性からは忌み嫌われ、男性は絶対に女性に近付けさせないようにしている
この個体は【迷宮産】であるため、繁殖行動や摂食行動はせず、迷宮への侵入者殺害のために特効してくる
この個体は【迷宮産】であるため、撃破時に消滅し、代わりにいくつかの素材と、少量の硬貨が残る
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
と、解説される
そして、【暗視】が非常に役立つ技能だ
他にも出現しているが、長くなるので、別のページ(オマケ)に書いておく
[技能【悪知恵】【暗視】【繁殖】の複製完了]
ーー 10階 ーー
階段を降りてすぐに他の階とはあからさまな違いがあった
今までの階は階段を降りても奥へ奥へとひたすら迷路のような通路が続いていた
しかし、今回の、つまり10階の様子は違っていて、目の前には大扉が設置されていた、扉には左右対称で丸太を担ぐ大鬼が彫られており、これまでの造りとは明らかに違かった
しかし、それもそのはずである、ここは10階層毎にある中ボスが鎮座している階層なのだから・・・
扉を開ければ、そこには若い大鬼が部屋の中央にどっしりと座り込み、こちらを睨んでいた、この階層の主だ
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名 称:暴乱大鬼
種 族:鬼
固 有 名 称:暴乱のケラル
推奨レベル:15~18
属 性:打
不 利 属 性:貫
有 利 属 性:斬
種 族 能 力:怪力・暗視・生命強化(微)
固 有 能 力:高速成長
かつて、この迷宮内で活躍していた若い大鬼、通常の大鬼ではあり得ないほど知能があり、相手を見ながら、戦闘中に成長していた、鬼種では珍しく仲間思いで、最期には仲間を庇いその命を散らした
現在でも一部の地域では童話で語られている
その功績から、迷宮内にて、名持ちの強敵として、侵入者を待つ任を与えられた
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凝っている、固有名詞とか言われても、冒険者達が適当に総呼び始めたのだと思っていたが、この世界では違うようだ
それにしても【高速成長】か、運が良ければ、相当上位の存在に進化しただろうに、勿体ないな
ここで、ケラルが動き出したので、気持ちを切り換えて、相手をする、さすがにレベルの差が大きすぎるので相手にもならないが
ケラルを倒したらそこには銀と銅で飾られた宝箱があった、ただ、開けるのはまだ後にして、今は先に進む
[技能【生命強化(微)】【高速成長】の複製完了]
[技能【怪力】【暗視】の技能レベル上昇]
ーー 11階層 ーー
この階層も他の階と違う造りをしていた、壁の見た目だけであれば先ほどまでと変わらないが、少し広い個室型だった、しかも、精神力の回復ができる水が湧き、無いよりもはましな、簡易ベットや簡易便所があった、ボスの後は休憩スペースなのだろうか?
俺自身は、たいして疲れもしていないので、すぐに降りた
ーー 12階層 ーー
12階に到達したが、今までよりいっそう暗くなっていた、本当にここが中級難度なのか怪しいギミックだが、敵や罠が低級のように弱いので、そうしてバランスをとっているのだろう
しばらく歩くと、新たな敵と遭遇した、なにか考えるまでもなく【鑑定眼】が発動する
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名 称:悪中鬼(ホブ・ゴブリン)
種 族:鬼
推奨レベル:12
属 性:斬・闇
不 利 属 性:打
有 利 属 性:貫
種 族 能 力:暗視・悪知恵
固 有 能 力:なし
悪小鬼の上位種、知能は基本人族の12歳程度だが、個体差が激しく、脳筋のような単純特効タイプもいれば、多数の悪小鬼を指揮する奴もいる、鎧や武器を自作するものもいたりと、なめてかかると手痛い被害が出る
属性においても、この個体が剣を装備しているのが理由であり、これといった弱点がない
この個体は【迷宮産】であるため、多様性が死亡している
この個体は【迷宮産】であるため、撃破時に消滅し、代わりにいくつかの素材と、少量の硬貨が残る
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
多少なりとも強化されているらしい、多様性が失われているのは、簡単な侵食型だからしょうがないのだろう
それと、この階層から、まれに即死級の罠が出始めた、今までの階層では、発動しても、小石や腐った何かが飛んでくるか、簡単に出られる落とし穴だったが、この階層からは岩石トラップと言い、破壊こそ可能だが、大きく固い岩が天井または壁から出てきて、直線上に転がり、挑戦者を押し潰すものができた、相変わらず、事前に発見するのは簡単なのが救いだろう
10、20程度の戦闘をこなすこと数分、隠し部屋を見つけた、といっても、不意打ちを仕掛けようとした敵が壊した壁の先にあっただけだが、運も実力のうちと言う、つまり、俺が見つけたといっても過言ではない?
変な思想は置いておき、取り敢えず箱を開けると、中身が飛び出してきた、しかし、出てきたのは明らかに箱よりも大きな棍棒だった
その棍棒は、雑に切り出したような岩の形をした合金製の棍棒で、持ち手は細く、先は太くしてあるだけの鉄塊といっても過言ではない見た目だった、一応、詳しく知るために【鑑定眼】を使用しておく
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名 称:岩窟棍棒(粗・侵食異物)
等 級:c+
種 別:棍棒
武器属性:打
能 力:岩石破壊(弱)
想定威力:20(+5)
重 量:125kg
<説明>
固い岩や、城壁を破壊することに特化した棍棒、大鬼のサイズに合わせてあり、重量もいくらか軽量化されている
侵食迷宮産であるため、通常よりも威力が“5”高くなっている
大鬼に合わせてあるため、それよりも非力な種族は命中が50下がる
持ち手まで金属製であるため、よく電気を通し、使用者に感電の恐れがある
<語句>
【侵食異物】侵食迷宮内で発見されるアイテムからは必ずついている称号
これがあると、外の物よりも何かしらの利点がある
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どうやらそれなりに良いもののようだ、持ちにくさと、扱いにくさが目立つが、威力だけならAランク相当だった
迷宮は良い武器屋かも知れない
それ以降、宝箱やアイテムは見当たらず、12階層へ進む、敵は悪中鬼1体と、悪小鬼2体が基本編成で現れている、ドロップアイテムも粗悪品が多く
20階層に到達した、やはり雰囲気が合わず、異質な雰囲気を放つ大扉がある、今の俺に準備や休憩は必要ないので、すぐに開けると中には鞭を携えた雌の大鬼と、一方が杖、もう一方がガントレットを装備した悪中鬼が1体づつ、様々な装備を持った悪小鬼が6体いた、さらに部屋の中には多数の人骨や、壊れた装具がある、それなりの難関なのだろう
迷わず【鑑定眼】を使用する
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名 称:烈火大鬼女帝
種 族:鬼
固 有 名 称:烈火のカーラ
推奨レベル:20~25
属 性:打、火
不 利 属 性:貫、木、風
有 利 属 性:斬、水、氷
種 族 能 力:怪力・暗視・生命強化(微)
固 有 能 力:配下統率(中)・火炎行使
かつて、この洞窟内で全体に指揮を行っていた大鬼
熱い性格と仲間思いな気質から、配下から絶大な信頼を得ていた
また、カーラは暴乱のケラルの育ての親であり、彼に最初に戦闘技能を身に付けさせた張本鬼である
人族はその統率能力を恐れ、度々討伐にのりだしたが、持ち前の能力と、鞭による遠距離からの牽制、並みの人族を越える状況判断能力でことごとく打ち破っていた
晩年、ついに打倒するものはなく、約1000年という長い生を配下に見守られながら終えた
鬼という種族が戦闘を好む種族であるため、寿命による死は偉大なる力を誇示し続けたと認められ、今もなお鬼達の間で語り継がれ、憧れを抱く鬼が多い
そのような偉大な一生を生きた功績により、迷宮内にてケラルの次に待ち受ける名持ちの強者とし、数多なる侵入者を迎え撃つ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
カーラは集団戦闘を得意としているようだ、周囲の配下に適切に指示をだし、多角的に、それでいてこちらが前に出づらい陣形を維持している、また、散らばる骨を使って防御もしてくるため、適正レベルに達していても、多くのものは物量に呑まれ屍を晒すのだろう、部屋中に散らばる骨が、その証拠だ
カーラが出現してから、一歩前に進んだとき、鬼達はこちらに攻撃を開始した、両手で盾を構える悪小鬼2体が前衛に構え、その後ろに造られた台の上から、残りの悪小鬼が弓やスリングで牽制してくる、それらを弾きながら前に進むと、悪中鬼が2体の悪小鬼に指示をだし装備を槍に持ち変え、盾持ちの隙間から突いてくる、また、烈火のカーラも鞭に爆炎を付与して予測困難な軌道の攻撃が更に厄介さを際立てる、後方から弓を射る2体の悪小鬼は矢を普通の矢から、麻痺毒を塗った矢に持ち変え、より正確に狙いを定めてくる
攻撃を捌きながら目の前の盾を壊しても、背中に背負っていた予備の盾を取り出し、時おり突進を仕掛けてこちらの体制を崩しにくる
それに対して俺は、地面を踏み抜き、骨を飛ばし、飛来する矢の軌道を反らし、《青色系統魔術》【滑らし拒絶する水膜】で、鞭と炎を防ぎ、飛び出す槍を紙一重でかわしつつ手持ちの剣で、槍を削っていく、盾持ちの突進には、力の入りにくい箇所に拳を突きだしバランスを崩したところに【怪力】と【豪腕】を併用しつつ追撃を行う
前衛の悪小鬼を撃破したところで、相手の陣形が地形ごと変わった、杖を持った悪中鬼が地面に魔力を流し、装置が作動したようだ
変化した地形は、骨が集まり巨大な壁となっていた、その上、壁の上に杖持ちの悪中鬼が1体、弓装備の悪小鬼が2体いて、なかなかの連携を持った連続攻撃を放ってくる
さらに、骨でできた迷路は時折、火炎による壁が烈火のカーラによって発生する、今の俺では、まだ炎を魔術なしでは無効化できないため、出来る限りは触れたくない
残りの3体は迷路内を縦横無尽に移動し、囮を使った奇襲や、遠距離攻撃を利用した攻撃で攻めてくる
もはや、本当に推奨レベル20台なのか疑いたくなるほど厄介な戦法だ
それともう一つ、骨の壁は《迷宮特権》【破壊不能】と【踏破不可】が付与されていた、俺の持つ技能を行使すれば一応壊せるし、上に登ることも出来るが、今は強力すぎる技能は使いたくないので、素直に正攻法で攻める
それにしてもこのボスはパーティーメンバーに遠距離攻撃の出来る仲間がいなければ詰むのではないだろうか?そろそろ全域を回れたと思うが、登れるところは一切見当たらなかった、カーラなんて、骨で作られた卵状の中に入って攻撃してくるものだからな、あと、近距離部隊は何処だ?
しばらく歩き回って、近距離部隊の奴らが見当たらず、いい加減面倒になったので、少々不正を働くことにする
まずは、地面に落ちている適当な物を拾う、
そしたら、次に狙う相手を決めて、拾ったものが壊れないように意識しながら【豪腕】と【怪力】を発動しつつ構える、構えたならば、【先読み】で獲物の動きを予測しつつ、頭部めがけて投げる・・・命中!
投げた物は寸分の狂いもなく狙っていた悪中鬼の頭部中心に命中した、ただし、技能補正やレベル補正、元々の身体能力が加わり、過剰殺害も良いところであったそれは光速を越え、命中し、頭を吹き飛ばした、さらに、豪速球によって吹き飛ばされた破片もまた、散弾めいた範囲に高い殺傷能力で飛び散り、壁の上にいた残りの悪小鬼も仕留められた、まさに一石三鳥だ、いや、ずっと煩わしかった攻撃が止んだのだ、これは一石四鳥だな
そんなことはさておき、次に狙うのはずっと姿を見せない近距離部隊だ、これに対する対処は簡単で、この骨の迷路内全域で思い切り地面を踏み抜きつつ、高速で走り回ることだ、そうすれば土煙(骨粉や小石が多いのでこの表現はあくまでも比喩である)が立ち上り相手の行動も阻害できる
そうして走ること僅か2周目、奴らは簡単に見つかった、どうやら、俺を仕留めることは早々に諦め、常に骨迷路の真逆の位置を保ち、俺が飢餓やら病やらで力尽きるのを待っていたらしい、迷宮内の敵とは思えない策だった
しかし、俺の走るスピードよりずっと遅い彼らでは、対応が出来ない、更には俺が巻き上げた土煙で、視界が悪くなり、身動きが取れなくなっていたようだ
あとはもう簡単だ、接近して切り捨てる。それで終わりだ
残るは烈火のカーラのみになった、すると、再度フィールド上に変化が起こった、骨の壁は1度崩れ落ち、その後、カーラが居た位置へ集まり始め、その大部分は台地のような地形を形成していく、変化が終わった後、台地の上には、奇妙な形状の骨鎧を纏ったカーラが居た、脚や腕の部分は幾重にも折り畳まれ、胴体部分は心臓部を中心に何重もの円の模様が出来ている、それらは細かい骨で形成され、生半可な攻撃は通らなさそうだ、鞭にまとわる炎も先ほどまではほんのり赤く光っているだけだったものが、今では激しく燃え盛っている
あまりにも急激に強化されたことに違和感を覚え、直感的に【鑑定眼】を使用してみたところ、明らかな異常が発生していた
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名称:烈火大鬼女帝・亜種
種族:鬼?
固有名称:死炎のカーラ
推奨レベル:100~120
属性:打、業火、岩土
不利属性:下位属性、清水、迅雷、疾風
有利属性:氷華
種 族 能 力:怪力・暗視・生命強化(微)
固 有 能 力:死炎行使・復讐
何者かの介入により生前の力と同等の状態になった
仲間の死を強く哀しみ、あなたに強い復讐心を持っていて、死も厭わずに襲ってくるだろう
<語句説明>
『死炎』
・行使するものの命を対価に、発現する紫色の炎
・死炎は如何なる現象を用いても消えることがない
・1秒の維持に100年単位の寿命を削る
・死炎は見た目こそ炎であるが、本質は全くの別物である
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なにかおかしいと思ったらこれか、盗賊アジトの件といい、いったい何者が介入しているんだ
疑問はつきないが、お相手さんは待ってくれないので、後で考えるとしよう、にしても異常がこれなら、本来はどうだったんだ?
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