異世界おにぃたん漫遊記

ざこぴぃ。

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第七章―鬼斬丸―

7−2・常闇の惡引死

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―――鬼の里―――

 桃矢達はジオナの屋敷で休息を取り、宝玉から四人の肉体を取り出す準備をしていた。

「三人は無事に出てきたとしても、問題はねぇさん……チカゲさんか」
「ぬ……あの時、祭壇で自らの首を切ったのじゃ。生死はわからぬ。ただ言えるのは、生きておったとして常闇の断舎離を使うのならば誰か代わりの命は必要ぞ?」
「……そうだよな。さすがにそれは頼めない。クルミの時は知らずにお願いしたが、あの死の恐怖は僕だけで十分だ……」
「ねぇねぇおにぃたん!!何のお話してるの!」
「クルミも聞くにゃぁ!!」
「いや、大人の話だからレディス達は――!?」
「んん!つまんないっ!行こっ!クルミちゃん!」
「ま、待て!レディス!!」

 レディスの血にはセイレーンの血が色濃く出ている。仮にねぇさんの体内にその血を入れれば――!?

「輸血する!?どうやって――」
「早紀、頼む。輸血道具をあり合せで作れないか?」
「さすがに見たことない物は想像もつかないわよ……せめて絵でもあれば……」
「医療の本あるよ?」

舞がポケットから医療の手引書を出す。

「え?舞?」
「これ?防災用品に入ってた」
「あぁ……う、うん。このくだりをここで聞くとは思わなかったよ……ありがとう」
「えへへぇ~」

早速、早紀が鬼達を従え道具作りを始める。

 宝玉から出てきたチカゲねぇさんに、舞がヒーリングデスをかけ、一時的に傷を塞ぐ。そしてレディスの血液をチカゲねぇさんの体に送る。うまくいけば輸血が出来るはずだ。

「そう言えば桃矢くん。桃矢くんと早紀ちゃんはいとこらしいよ」
「そうなんだ、知らなかったよ」
「おや?桃矢殿ここにおられたか。食事の準備が出来ておるぞ」
「あぁ、サクラさん。ありがとう。この準備が――何だってぇぇぇぇぇ!!!?」
「びっくりしたぁ……桃矢くん、どうしたの?急に大声出して!もう!びっくりぽよんやわぁ……」
「え……いとこ?」
「早紀ちゃんは次郎さんの娘で、桃矢くんは三郎さんの息子だから……いとこよね?」

……知らなかった。え、と。僕は……早紀を……え……と。

「記憶に御座いません……」
「ん?どうしたの。桃矢くん」
「さっ!ご飯を食べて力をつけなくちゃ!サクラさん!ご飯!ご飯!」
「ちょ、ちょっとぉ桃矢くん待ってよぉ――」

――深夜。

夜空に満月が浮かぶ。
すべての準備が整い、ノアが術式を唱える。

「ヌ……オン・ドドマリ・ギャキテイ・ソワカ……ヌ……オン・ドドマリ・ギャキテイ・ソワカ……」

 松明で照らされた屋敷の部屋で、四人は正座し宝玉を見つめる。横にはレディスが寝かされ、輸血の準備も出来ている。

「ヌゥ……汝、魂の根源を持って自らの肉体に帰せ……!!」

『常闇の惡引死オヒッコシ!!』

ノアが唱え終わると、僕たちの体から一時保管されていた四人の魂が宝玉へと吸い込まれていく――

「あぁ……魂が抜けていく……」

舞が悲しそうな声を漏らす。

『死神の大鎌!!』

ガキィィィン!!
パリパリ……

ノアが振り下ろした鎌の先が宝玉に当たり、宝玉がひび割れ――

パリィィィン!!!

宝玉が砕け散る!!
激しい光が部屋を包み、辺りが見えなくなる。

「まぶし……い!!ま、舞!ヒーリングデスの準備を……」
「う、うん……!」

しばらくすると目が慣れてくる。
そして暗闇に四人の姿がゆっくり見えてくる。

愛、ダリア、マキ、そして……チカゲねぇさん。

「ヒーリングデス!!」

 チカゲの姿を確認するなり、舞がヒーリングデスを唱える。サクラもチカゲと思われる姿の元へ、輸血の針を持って近づく!!

だが……

「桃矢殿……残念だがこれではもう無理だ……」

――夜明け。

三人は無事に目を覚ます。

「愛ちゃん!!」
「ダリア様!!」
「あなたが……マキ……?」

感動の再会と、初めましてが訪れる。

「ぬ……チカゲの魂だけは抜いておいたぞ。新鮮なうちはどうにでもなるが時間が経つと定着しなくなりいずれ……」
「あぁ……ノア……すまないがちょっと考えさせてくれ……」
「ぬぅ……構わぬが、亡くなった者はもう……」

チカゲの傷は致命傷だった。おそらく宝玉に吸い込まれる前にはもう絶命していたのだろう。

「千明に何て言おうか……」

舞達が喜んだのもつかの間だった。桃矢がうなだれる姿を見て察した。

「桃矢……」

早紀が震える桃矢の背中に手を当てる。

「ねぇ……ノア様。そのぉ……メイちゃんの体に定着は出来ないのかな……?」
「ぬぅ……それも無くも無いか……遺体も新鮮じゃしの。ただ生き返ったとてその傷では長くは持たまい……」
「メイを直せる技術があるとすれば……ユリゲルさんしか思い付かない……だけど以前に聞いた時は無理だと言われたわ。あまりに精密すぎてわからないと」
「早紀ちゃん、これでわからないかなぁ……」

舞が袖から1冊の本を取り出す。

『アンドロイド新書』

 それはサウスタウンの図書館で見つけたアンドロイドに関する本だった。早紀が傷口の治し方を探す。

「舞!えらい!良く持ってたね」
「えへへぇ~」
『――傷口の治し方。セミのぬけ殻、味噌、クヌギの木、鬼の爪、人魚の血、かぼちゃ、ワインを煮込む。それを傷口に塗りこむ』
「……は?」
「いや、だからぁ……セミのぬけ殻、味噌……」
「……早紀、ふざけているのか?」
「ここに書いてあるのよ!!知らないわよ!」

皆、半信半疑で言われた材料を集める事にした。
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