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無限牢獄の生娘
第62話・マスターロードドラゴン
しおりを挟む―――ウェスタン王国北の森草原―――
「さぁ!どうする!勇者ロドリゲス!プリン様とベリアル様が空中のマスターロードドラゴンに向かうっ!!」
『ワァァァァァァァ!!!』
マリンの実況と魔法球が映し出す映像に大陸中で歓声があがる!
僕達はアリスの召喚したマスターロードドラゴンにレイドを挑んでいた。メンバーは12名……しかし既にレディとミヤビの2名が離脱した。
「月陰大車輪!」
ズバババババババッ!!
ベリアルがマスターロードドラゴンの皮膚をえぐる。
「ゴホウゥゥゥゥゥゥ!!!」
負けじとマスターロードドラゴンも炎の玉を吹き出す!そこにプリンの技が炸裂するっ!
「プリプリ神拳……!ぷりーーんパーーーンチ!」
ペチ――
「プリプリ神拳……瞬間移動!!」
プリンが一瞬で右から左へ10メートル位、瞬間移動する!!
「………グア?」
『だから何なんだっ!!!』
大陸中でツッコミが入る。
「2人共!!避けてっ!!」
「承知っ!!」
「プリン神拳奥義!!ピエン……」
「アリス!行くぞ!合成召喚魔法!!」
「おうっ!いつでも良いぞ!くちゃくちゃ……」
「いでよ!『鯨王!』」
「ボエェェェェェルッッ!!!」
カタカタカタ……!!
大地が揺れ、200mはあろうかという鯨が現れる!!
「鯨王!突撃っ!!」
「ボエァァァァァァァァァァ!!」
ズドォォォォォォォン!!
鯨王がマスターロードドラゴンに体当たりをする!
ペシッ!
そして弾き飛ばされるプリン。
「ねぇさまぁあぁぁぁぁぁぁ………!」
よし。プリンは次回から留守番だ!
「リンッ!今だっ!!」
「いくよぉぉぉぉぉ!!」
エルの魔法でリンの姿は消している。マスターロードドラゴンは鯨王との力比べをしていて気付いていない!
「混沌の地より生まれし彗星、我の声に答え、導け。我はこの世界を欲するもの也……我が名はリン・ドラコ!この名を世界に示せっ!すべてを破壊せよっ!!」
リンの詠唱が完成する!
『奥義・大地隕石魔法ッッッ!!』
ゴゴゴゴゴゴゴ……!
空から1つの隕石が見る見る迫ってきた!
ギュゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!
ズドォォォォォォォォォォォォォン!!
鯨王と隕石に挟まれマスターロードドラゴンは地面に叩きつけられる!!
「ギャッチャミィィィィィ!!」
悲痛な雄叫びを上げマスターロードドラゴンはついに地面に倒れた。
そして同時にパタンと倒れるリン。その腕を天に掲げ、親指をグッと立てる。「グッジョブ」と。
急いでエルがリンの回収をし、ベリアルはプリンの回収に向かう。さすがにこれで倒しただろう。
「……え。嘘だろ」
……ゆっくりと起き上がるドラゴン。そしてレディが切ったはずの尻尾が生えている。
「おい……尻尾が生えてないか……」
「生える?違うな。最恐最悪レベルのドラゴンじゃぞ。瞬時再生機能を持っておる」
「なにぃぃぃ!?そんなの無理ゲーじゃないか……」
残りはメリダ率いる回復組と僕とアリスとカエデ。
「アリス!神族魔法を使用しても構わないか!」
「構わぬが、失敗したらもうあのドラゴンは誰にも止められぬぞ?」
「しかしこのままでは全滅もありえ――!」
その時だった。油断した僕の背後からドラゴンが近付き、そして……。
『パックン……!』
「え?」
「え?」
「え?」
『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?』
僕はまたドラゴンに飲まれた……。
「魔法障壁」
僕の周りに魔法壁が出来上がる。とりあえずこれで胃液で溶けることはないが……さて、どうしたものか。
「もしもーし!アリス聞こえる?」
「お、おう!い――生きておるのか!――ふぅ……」
「このドラゴンの中で神族魔法は使えるんだろうか?」
「お――おそらく――無理じゃな――ラゴンの――皮膚の魔法障壁が――主との情報を遮断――」
アリスとの念話が途切れ途切れだ。ドラゴンの皮膚がアリスとの間で魔力を遮断しているのか。これでは神族魔法が使えない……。
「そうだ!アリス!ここで秘密兵器ぶっ放すけど良いか?」
「――う――む。わか――った!皆――ラゴンから――離れろっ!」
ギリギリ念話が通じて良かった。こちらの動きがわかればアリス達には被害は出ないだろう。
秘密兵器……それはネプチンから贈られてきた物だった。
『夏翔の指輪』
そこには手紙も添えられていた。夏翔が会得した剣技、得意とした魔法、そして合成召喚魔法が記されていた。
「ナツト……複製されたもうひとりの僕。見ていてくれ」
僕は指輪をはめ、手紙に書いてあった合成召喚魔法をドラゴンの体内で詠唱する。
「混沌の地より生まれし闇、我の声に答え導け。我はこの世界を作るもの也……合成召喚魔法!」
『――八岐の大蛇!!』
ゴロゴロゴロゴロ……ピカッ!!
北の大森林の空にまたたく間に黒い雲が広がり、雷が鳴り始める。
そして雲間から巨大な八つの大蛇の首が現れたかと思うと、ドラゴンの首に噛みつき肉を食いちぎる!!
「グァァァァァァァァァァ!!」
ドスンンンンンンッ!!
「おっとっと!よし!成功したか!」
轟音と共に倒れるドラゴン!その勢いで僕は外に排出される。例の場所から……。
ポンッ……。
「おえぇぇ……」
「ギグググググ……」
「ハルト!無事かっ!うっ……くせぇ……」
「アリス!ちょっ!こっちへ来い!ドラゴンが回復する前に神族魔法――」
「うぅ……」
鼻をつまみながらアリスが嫌々近付いてくる。
「アリス!生成されたばかりのドラゴンがなんでピーーをするんだよ!ピーーは別に無くても良いだろ!」
「たわけ!生物を生成するのじゃ!ピーーが出ないとご飯が食べれないじゃろ!だいたいいつもピーーまみれでおるお主が悪い!」
「あぁぁ!もうっ!その話は後でする!トドメだっ!魔法剣っ!!」
『神々之黄昏!!』
黒いまがまがしい闘気を帯びた魔法剣がにぶい光を放つ。その魔法剣の長さは雲を突き抜けた。
「くたばれっ!!」
ザシュュュュュ!!!
マスターロードドラゴンはついに真っ二つになった。
シュゥゥゥゥゥゥゥ……!
消滅していくマスターロードドラゴン。
「ぜぇぜぇぜぇ……倒したのか……?」
僕は魔力が尽きその場に倒れる。そして腕を天に掲げ、親指を立てる。
「グッジョブ……!」
「や、やった!!やりました!ついに倒しました!!突如!北の森に現れた最恐最悪の魔物マスターロードドラゴンを見事に勇者ロドリゲスが討伐しました!!」
『ウォォォォォォォォォォォォォ!!!』
この日、拍手と喝采が大陸中で巻き起こる。そして後の世に語り継がれる伝説となった。
その名は『勇者ロドリゲス』!
―――異次元空間アリスのお部屋―――
「うぅ……暑い。蒸し暑い……」
「あつぅ……」
「アリス、何か蒸し暑くないか?」
「ありすちょっぷ!」
「いてっ!何をする!?」
「おぬしのせいじゃ!こっちも暑くてかなわん!」
「何で僕のせいなんだ!」
「ふぅ。あついあつい」
窓の外を眺めるきりん。ほぼ素っ裸のプリン。僕は窓の外を見て目玉が飛び出そうになる。
お風呂場でクルミとエルとリンが僕を洗っていた。
素っ裸の僕を!!
「まにゃにおふにゃ」
「とれにゃい」
「くしゃい」
ゴシゴシゴシゴシ……あっそこは……チーン。
「あぁ、そういえば僕はマスターロードドラゴンのお尻から……申し訳ありませんでした」
「おぬしの変態加減にもそろそろ慣れてきたわい」
「いや、そういうプレイじゃなくてこっちは命がけなんですけど。
……」
「あちぃ~はやくハルトを風呂から出してくれ~」
「フフフ、いい眺め」
「いや……きりんさん、そんなに見ないで」
暑さと恥ずかしさで少しずつ意識が遠のいていく……。
―――コリータ王国自室―――
チュンチュン、チュンチュン。
小鳥の声で目が覚める。
「ふわぁぁぁぁ、よく寝た」
「ご主人様、おはようございます」
「クルミ、おはよう」
「昨日はお疲れ様でしたにゃ。皆、食堂で朝食を食べておられますにゃ」
クルミは食べずに僕が起きるのを待ってたのか。ご褒美に頭をくしゅくしゅしてやる。
「ゴロゴロゴロゴロ……」
―――コリータ王国食堂―――
「皆、おはよう!お疲れ様!」
「ハルト様!よくご無事で!」
「ナイスファイトでしたよ!」
「ところで、今回の件はうまくいったのか?」
「はいっ!国王様!見事に!既に宝物庫は満杯でございます」
「夢の様です!」
マリンとアクアの目がキラキラしている。
言わなくてもわかる。アリスが朝からイカの丸焼きを食べて、プリンが大皿でプリンを食べてる。きりんはトウモロコシの粒をひとつずつ外してる。
あぁ、良かった。これでしばらく安泰だ。そして思う。二度とやらない。
「で?国王様、次はいつされますか!キラキラ!」
「二度とやらない」
「月一開催ではどうですか?来月の――」
「二度とやらない」
「ハルト殿、わしの新しい必殺技をドラゴンに試して――」
「二度とやりましぇんっ!!!」
『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!』
こうして、やりましょう!やりましぇん!のやり取りがしばらく続くのであった……。
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