23 / 27
花火大会③(前編)
しおりを挟む
「こっち。」
レイが手招きして、近くに来て、という合図をした。
「なに?」
「ここは名前が言えないから、迷子にならないように。はい」
そう言ってレイは手を出してきた。
「早く握ってよ。」
‥そういう意味ですか!
「うん」
ぎゅっと、離れないようにレイの手を握った。
「ねえ、おれ、金魚すくい行きたい!」
「え?あ、うん!行こ」
人が多くて、屋台に挟まれた道は隙間がないくらいお面で埋まっている。
…花火、よっぽどきれいなのかなぁ....
いろんなお面をつけた人がいる。
猿、雉、犬‥鬼もいる…
って…これじゃ桃太郎じゃない!?
もしかして桃太郎もいる…?
ふと、レイのお面を見る。
....いたーーーっ!桃太郎はお前かーーっ!?
‥じゃあ私はなに‥?
「ねえ、金魚すくいもうすぐだよ」
「あ、ごめん」
「ねえ、なんでよそ見ばっかりしてんの?」
「えっと…」
「景色よりおれ見なよ~」
「あ‥違…」
「違くない!」
「‥分かったよ~っ…」
喋りながら歩いていくと、やっと金魚すくいの看板が見えた。
「ねえ、相当奥にあると思わない?屋台とか…ほら…」
「そーだねえ。あ、山まで道が続いてる!やっぱおれ此処から花火見る!」
「え…!?もう真っ暗だよ…!?」
「大丈夫」
そう言ってレイは何処からか提灯を出した。
「どこから出てきた‥?」
「さあ」
「ま、行こ」
「う‥うん…」
月の灯に照らされながらも、真っ暗な山の道を見て、少し鳥肌がたった。
「怖…」
「ねえ、暗いとこ、苦手?」
「あ‥うん…」
「そっか…じゃあ戻る?」
「え‥!?大丈夫!だってもう、山の中間ぐらいでしょ?」
「うん」
「だから。大丈夫!」
「ほんとに‥?本当は足挫いてるでしょ。」
「う…」
「はい」
レイはしゃがみ込んだ。
「えっと…」
「乗らないの?足痛いんでしょ?」
「じゃあ…よろしく‥お願いします....」
「よっと」
私は、山の頂上までレイにおぶってもらった。
「あ、凄い‥!よく見える!」
「ほんとだ~。花火も凄そうだね~」
下を見ると、絶壁になっていた。
‥こんな山だったっけ‥?
もっと下は、山を囲むように屋台が円状に並んでいた。
「なんか寒い‥」
「結構上だからね~。これ羽織りなよ」
レイは自分の羽織っていたカーディガンを貸してくれた。
「ありがと‥」
なんか今日、レイにいっぱい助けられてない‥!?
「あ、花火始まるらしいよー」
とレイが言った瞬間、バーンと大きな音が聞こえた。
「わ!?」
びっくりしてレイにもたれ掛かる。
レイは私を支えながら言った。
「ほら、見て。あれ。綺麗だね‥」
「うん‥凄い」
紺色の空に広がる花火は、物凄く綺麗だった。
「‥終わったみたい」
「うん」
「じゃあ、帰ろっか。」
そう言ってレイは地面に落ちている枝を使って、地面に文字を書き始めた。
「何書いてるの?」
「これ」
円の中に入って、と言って、レイはなにかの呪文を言った。
「目、つぶっててね。」
周りが明るくなった。
「もう開けていいよ。」
恐る恐る目を開けた。
するとそこはさっきの山の入り口だった。
「‥????」
「さっきのは移転陣。どこでも移動できるの。」
「へえ‥」
「凄いでしょ!」
「うん!凄い!」
レイと喋っていると、アナウンスが聞こえてきた。
『…コレカラ、オニゴッコをヤリマス。オニヤクノヒトハヒロバに、ホカノヒトハヤタイノチカクデ…キュウニオニガハナタレマすノデオキオツケクダサイ‥』
「なにが始まるの?」
「鬼ごっこだよ。おいで、早く逃げよ。」
私はレイについていくようにして走った。
レイが手招きして、近くに来て、という合図をした。
「なに?」
「ここは名前が言えないから、迷子にならないように。はい」
そう言ってレイは手を出してきた。
「早く握ってよ。」
‥そういう意味ですか!
「うん」
ぎゅっと、離れないようにレイの手を握った。
「ねえ、おれ、金魚すくい行きたい!」
「え?あ、うん!行こ」
人が多くて、屋台に挟まれた道は隙間がないくらいお面で埋まっている。
…花火、よっぽどきれいなのかなぁ....
いろんなお面をつけた人がいる。
猿、雉、犬‥鬼もいる…
って…これじゃ桃太郎じゃない!?
もしかして桃太郎もいる…?
ふと、レイのお面を見る。
....いたーーーっ!桃太郎はお前かーーっ!?
‥じゃあ私はなに‥?
「ねえ、金魚すくいもうすぐだよ」
「あ、ごめん」
「ねえ、なんでよそ見ばっかりしてんの?」
「えっと…」
「景色よりおれ見なよ~」
「あ‥違…」
「違くない!」
「‥分かったよ~っ…」
喋りながら歩いていくと、やっと金魚すくいの看板が見えた。
「ねえ、相当奥にあると思わない?屋台とか…ほら…」
「そーだねえ。あ、山まで道が続いてる!やっぱおれ此処から花火見る!」
「え…!?もう真っ暗だよ…!?」
「大丈夫」
そう言ってレイは何処からか提灯を出した。
「どこから出てきた‥?」
「さあ」
「ま、行こ」
「う‥うん…」
月の灯に照らされながらも、真っ暗な山の道を見て、少し鳥肌がたった。
「怖…」
「ねえ、暗いとこ、苦手?」
「あ‥うん…」
「そっか…じゃあ戻る?」
「え‥!?大丈夫!だってもう、山の中間ぐらいでしょ?」
「うん」
「だから。大丈夫!」
「ほんとに‥?本当は足挫いてるでしょ。」
「う…」
「はい」
レイはしゃがみ込んだ。
「えっと…」
「乗らないの?足痛いんでしょ?」
「じゃあ…よろしく‥お願いします....」
「よっと」
私は、山の頂上までレイにおぶってもらった。
「あ、凄い‥!よく見える!」
「ほんとだ~。花火も凄そうだね~」
下を見ると、絶壁になっていた。
‥こんな山だったっけ‥?
もっと下は、山を囲むように屋台が円状に並んでいた。
「なんか寒い‥」
「結構上だからね~。これ羽織りなよ」
レイは自分の羽織っていたカーディガンを貸してくれた。
「ありがと‥」
なんか今日、レイにいっぱい助けられてない‥!?
「あ、花火始まるらしいよー」
とレイが言った瞬間、バーンと大きな音が聞こえた。
「わ!?」
びっくりしてレイにもたれ掛かる。
レイは私を支えながら言った。
「ほら、見て。あれ。綺麗だね‥」
「うん‥凄い」
紺色の空に広がる花火は、物凄く綺麗だった。
「‥終わったみたい」
「うん」
「じゃあ、帰ろっか。」
そう言ってレイは地面に落ちている枝を使って、地面に文字を書き始めた。
「何書いてるの?」
「これ」
円の中に入って、と言って、レイはなにかの呪文を言った。
「目、つぶっててね。」
周りが明るくなった。
「もう開けていいよ。」
恐る恐る目を開けた。
するとそこはさっきの山の入り口だった。
「‥????」
「さっきのは移転陣。どこでも移動できるの。」
「へえ‥」
「凄いでしょ!」
「うん!凄い!」
レイと喋っていると、アナウンスが聞こえてきた。
『…コレカラ、オニゴッコをヤリマス。オニヤクノヒトハヒロバに、ホカノヒトハヤタイノチカクデ…キュウニオニガハナタレマすノデオキオツケクダサイ‥』
「なにが始まるの?」
「鬼ごっこだよ。おいで、早く逃げよ。」
私はレイについていくようにして走った。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
雪の日に
藤谷 郁
恋愛
私には許嫁がいる。
親同士の約束で、生まれる前から決まっていた結婚相手。
大学卒業を控えた冬。
私は彼に会うため、雪の金沢へと旅立つ――
※作品の初出は2014年(平成26年)。鉄道・駅などの描写は当時のものです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
《本編完結》あの人を綺麗さっぱり忘れる方法
本見りん
恋愛
メラニー アイスナー子爵令嬢はある日婚約者ディートマーから『婚約破棄』を言い渡される。
ショックで落ち込み、彼と婚約者として過ごした日々を思い出して涙していた───が。
……あれ? 私ってずっと虐げられてない? 彼からはずっと嫌な目にあった思い出しかないんだけど!?
やっと自分が虐げられていたと気付き目が覚めたメラニー。
しかも両親も昔からディートマーに騙されている為、両親の説得から始めなければならない。
そしてこの王国ではかつて王子がやらかした『婚約破棄騒動』の為に、世間では『婚約破棄、ダメ、絶対』な風潮がある。
自分の思うようにする為に手段を選ばないだろう元婚約者ディートマーから、メラニーは無事自由を勝ち取る事が出来るのだろうか……。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
わたしのことがお嫌いなら、離縁してください~冷遇された妻は、過小評価されている~
絹乃
恋愛
伯爵夫人のフロレンシアは、夫からもメイドからも使用人以下の扱いを受けていた。どんなに離婚してほしいと夫に訴えても、認めてもらえない。夫は自分の愛人を屋敷に迎え、生まれてくる子供の世話すらもフロレンシアに押しつけようと画策する。地味で目立たないフロレンシアに、どんな価値があるか夫もメイドも知らずに。彼女を正しく理解しているのは騎士団の副団長エミリオと、王女のモニカだけだった。※番外編が別にあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる