ハロー。最強な貴方へ

空見 大

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序章

十五話

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ガタガタと馬車に揺られながら、リナは遠くの空を眺めていた。
川を下ってやってきた共和国から抜け、気がつけば王国へと戻っている自分。
これが自分の意思で戻ったのならばまだいくらか折り合いもつけられただろうが、今回の帰省に関していえばたまたま王国が現場だから向かうだけに過ぎない。
何もかもをほっぽり出してきた手前なんとなく罪悪感を感じてしまうものだが、そんな罪悪感を感じることすらも馬鹿らしいと感じられるようになってきたのはアデルの考え方が染み付いてきたのだろうか。

「まさか出戻りになるとは思ってもいなかったな」
「王国はこれと言って何もないのが特徴の国だから、正直あんまり好きじゃないんだけどな」

ガタガタと揺れる馬車の荷台で独り言のように言葉を落とせば、リナの視線の先にいるアデルはずっと寝ているような姿勢のまま言葉だけ返してくれる。
食や娯楽といったものを追い求めるアデルが王国に対して興味がないのはなんとなく理解していたが、それでも実際口に出して言われるとなんだか寂しいものだ。

「私はそれなりに好きだぞ。生まれ育った国というのは中々に愛着があるものだ。元はアデルの故郷の上に立っている国だと考えれば尚更な」

生まれ故郷というものにはいろいろなものがついて回る。
小さい頃の思い出や、何気ない日常の数々。
思い出せなくなってしまった記憶も数多くそこには存在するだろうが、どれも確かにいまの自分を形成するに至った重要なパーツである。
嫌な思い出もあるにはあるが、心の底から土地ごと嫌いにはなれない。
過去を思い出して思い出に耽っていたリナを見て、アデルは不思議そうな顔をしていた。

「ちょっと前から思ってたけどやたらに好感度高いのなんでなのさ、王国から助けたから?」
「命の恩人だからだよ、というか別に助けてもらう前だってお前を逃がそうとしたりしてただろう? ……まぁ捕まった挙句敵に利用されたが」

最強を助けようとするなどという無謀な行動の上に、さらにミスって自分が人質にされるなど頭の痛いこともあったものだ。
もしできる事ならば頭を抱えてうずくまりたいほどの羞恥の感情が胸の内から湧き上がってくるが、いまさらそんな事を気にしても仕方がないと自分に言い聞かせる。

「もしかして前に助けたことあるとか?」
「どうだろうな。思い出したら教えてやる」
「一体何年前の事だ……? わっかんねぇ~」

覚えていないのも無理はない。
随分と昔のことだから。
それに千年も生きていれば同じような経験をしているだろうということは想像に難くなく、だからこそリナは自分の事をあえて語らない。
気づいていないのに隣にいてくれるという嬉しさをそれはそれで味わっているのだから、きっとこの関係性が丁度良いのだろう。
ガタガタと揺れる馬車でそうやって喋っていると、馬車の前の方から声が聞こえてくるではないか。

「アデルさんとリナさんは相変わらず仲がいいですね」
「まぁな。私達は一蓮托生だからな」
「弱っちぃからそこだけはなんとかして欲しいけどな」

一蓮托生という言葉を否定されず嬉しそうな顔をするリナに対してため息をつくアデルは、なんだかんだ付き合いがいい。
だがそんなアデルをサイロンは容赦なく叱りつける。

「あんまり言っちゃダメですよアデルさん。道中僕達を護ってくれたのはリナさんなんですから」
「守ってくれた?」

おかしな話だ、そう思ったのはアデルではなくリナである。
自分はあまり言いたくもないが、王国から共和国までの道のりで特にこれと言って何もしていなかった。
寝床の確保や食事を作ったりはしたが、護衛任務で一番大切な対象の護衛という点に関しては常に周囲を警戒し敵を追い払っていたアデルの仕事がほとんどである。
一瞬考え、そしてリナはなぜサイロンがそんな事を口にしてのかを理解した。
龍王の力によって最強としての名前を知らないものからその記憶を奪ったわけだが、アデルの名前をある程度覚えていたサイロンからはある程度記憶が抜け落ちただけにとどまったのだろう。
考えてみれば馬車に乗る時も不思議な顔をしていなかったので、アデルに対してなんらかの記憶はあるはずだ。

「王国出立してすぐに盗賊が襲ってきた時も大立ち回りして僕達を助けてくれたじゃないですか?」

そうしてちぐはぐになってしまった記憶はどうやって整合性を確立したのか。
単純なことでアデルのなしえたことすべてがその場に居たもう一人のリナに降りかかってきたわけである。

「なるほどねぇ、そうなってるんだ」
「つまり私が助けてやったと言う事だなぁアデル君?」
「はいはい」

にやにやと笑みを向けながら、リナは嬉しそうにアデルへと言葉を返すとアデルはそれを軽くあしらう。
そんな二人のやりとりになんとなくサイロンは違和感を感じずにはいられなかった。

「あれ、僕なんかおかしい事言いましたか?」
「いや。間違ってない」

記憶をいじった事を説明されても理解し難いだろうし、わざわざ奪った記憶を元に戻すつもりも毛頭ない。
にまにましているリナの額にデコピンを喰らわせ話に区切りをつけると、空気を読んでくれたのかサイロンが話題を変えてくれる。

「話は変わりますがお二人とまた共に旅ができて心強いです」
「こちらも移動に困ってたので助かります。そう言えばなぜわざわざ戻ることに?」
「思っていたよりも商品がすぐに売れてしまったので、改めて仕入れにいこうかと」
「何が売れたんですか?」
「王国の特産品として期待が湧き上がっている商品、魔石晶と呼ばれる結晶です」

ぴくりとアデルが魔石星という言葉に反応を示した。
その反応からしてなんらかよくないものなのだろうということくらいは目星をつけたリナだったが、とはいえ初めて聞く言葉だったのでなにがアデルの琴線に触れたのかもわからない。
地雷を踏み抜いたわけではどうやらなさそうだと判断したリナは、それがなんなのかを知るために話をすすめる。

「魔石晶? 聞いたこともありませんね」
「純度の高い魔力の結晶だと言われています。一応こんなものですね」

馬の手綱を手に持ちながら荷台へと振り返りサイロンが取り出したのは真っ白な透明の結晶体だ。
さすが魔石晶と呼ばれるだけのことはあるのか、その石はサイロンの手のひらに乗る程度のサイズにも関わらず強い魔力が感じられる。
魔法に使う道具というのはリナも人生の中で何度か見てきたが、これほどのサイズでこれほどの魔力を持つ物質は見た事がない。

「綺麗な結晶だな。クリスタルみたいだ」
「魔法の使用時などに威力を上昇させる効力があるんですよ」
「サイロンさんどこからこれを?」

いままで沈黙を守っていたアデルがふと流通について質問を投げかける。
聞いている限りでは特に何も問題はない。
むしろ今後の魔法道具製作において革新的な技術を生み出す起爆剤にもなり得るものだとリナは考えていた。
そしてそれはサイロンも同じである。

「お恥ずかしい話ですけど父が持たせてくれたんです。これを売って自分の店を作れって。だけどこれがどこで取れるのか分からなくて安定した販売ができないので、父にこれの製造元を聞きに行こうと思っていたんです。親の褌で戦ってて恥ずかしい限りなんですけどね……」

親の力だって自分の力だ、それを理解して使う分にはなんの問題もないとそうリナは考える。
いい家を出て何かを成し遂げたとして、それが100%親のおかげかと言われればそんなわけもなくその逆もまた然りである。
慰めの言葉でも思いつけばよかったのだがいい言葉が思いつかなかったリナは、せめて何か知っていそうなアデルへと問いかけた。

「アデルはこれの作り方を知らないのか?」
「知ってる。魔結晶、これの作り方自体は結構簡単なんだよ」
「つ、作れるんですか!? これ莫大な金額で売れたんですよ!?」

そう言いながらチラリとサイロンが視線を向ける先には大きな皮袋が六つも七つも積み上げられている。
あの中身が全て金貨だとすれば、確かに普通の商人が一生に一度もないだろうという取引をしてきたのだろうというこたは見ればわかる。
この商品の価値を考えればそれでも買い叩かれたのだろうが、初交渉で今後一生安泰になるだけの資産を手に入れられるとなれば目がくらまない人間の方がいないだろう。
そんなものを安定供給できるのだとしたらサイロンの目の色が変わるのはおかしな話ではない。
だが興奮するサイロンに対してアデルは務めて冷静に言葉を返した。

「俺は製造方法を教える気はありません。それに作れる人を探そうとしても無駄ですよ、この世界にはどれだけ探しても既にどこにも製造方法はないですよ、ありとあらゆる情報媒体は破壊したので」
「なぜ壊したんだ?」
「もちろん説明するさ。これの作り方は意外と簡単で、こうやって──」

アデルが人差し指を縦ながら空気をかき混ぜるように指を回すと、徐々に小さな結晶がその指先に形作られていく。
簡単だと口にしているが詠唱を使わないで魔法を使うのはとんでもなく高度な技術だと以前魔法使いから聞いた事があるので、つまりは最強基準で考えての簡単という事なのだろう。
そうしてアデルが10秒ほど時間をかけると、サイロンの手の中にあるものよりも二回りほど大きく、見ただけで上質なものだと分かる魔石晶が出来上がっていた。
サイロンが持っていたものとは違い、アデルが作り出した魔石晶の色は黒く禍々しさが感じられる。

「空気中の魔素を固めて作るんだ。より高純度であればある程に色は徐々に黒くなる」
「それが壊したことと何か関係あるんですか?」
「簡単に言えばこれは魔素を固めて作ったものです。これを極端にやると……」

先程までよりもさらに高濃度で圧縮しているのだろう。
アデルの指先へと向かって空気が引っ張られるような感覚を感じながらそんな彼の作業を眺めていると、急に息苦しさを感じ始める。
毒というよりは走り終わった後に息を整えてもう一度走り出そうとした時のような、自分の体の限界点が下がってきたような感覚だ。
確認するように手を閉じたり開いたりしてみると、いつもよりなんだか動かしにくい。

「なんだか身体が重いな。息もしづらい」
「この世界のありとあらゆる生物は魔素に依存した身体構造をしている。
実際のところ人間の筋肉量と骨の形状から考えて、超巨大な物質を動かすことなんてできるはずがない。
その魔素をこの石は空間から奪い取って形成されるから付近の魔素量を減らすんだ」
「なるほどな。いまは体内に魔力があるから動けるが、魔素が完全に無くなればどうなるか分からんな」
「大体は臓器不全で死ぬ。魔法もこの中では使えないしな」

魔法使いを完全に殺し、戦士だけが戦える空間を強制的に作り出す方法。
確かにこんな物が広まれば世界はパワーバランスを大きく変えてしまうだろうし、魔石を持っている人間がこの空間で魔法を使ってきたのならば虐殺だって容易く行えるだろう。
人が持つには過ぎた力であり、規制しなければいけないと考えたアデルの思いも理解できる。
これがあれば確かに救われる人間は多くいただろうが、それよりも多くの数が死ぬことを想像できない人間がいたとすればよほど平和な世界に生まれた人間だけだろう。
それを理解してしまったのか、見る見るうちにサイロンの顔色は青ざめていた。

「……売ってしまったのは不味かったでしょうか」
「この魔素の純度なら特に問題はないですよ。ただ一大産業になっちゃうとまずいですけどね」
「問題はこれを誰が作ったか。そう言うことか」
「これの作り方を知ってるのは魔族だけだ。思ったよりも早くこっちに出てきているみたいだな」
「早くなんとかしないと、王国が地図から消えてしまうかもな」

この技術を王国が独占しようとした場合、王国は世界の敵になる。
もしそうなってしまえば戦争が起きてしまう事は必至であり、魔族たちが狙っているのはそういった状況なのだろう。
見捨てられた王国を救うためにでもどるのは何ともいいがたい感覚だが、そこに住む人間たちに罪はない。
何かを考え込んでいるアデルに声をかけることもなく、リナはただ己がどうするべきなのかを改めて考えるのだった。
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