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第4章 冒険の始まり

出掛けよう、冒険者ギルドへ

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ヤクザが神父になったとかは有ることだ。

それは、改心したよりも供養の為とか、罪を償う為にが多い。悪を続けるのは心を病んで、壊してしまうからだろう。と、結論付ける人もいる。

逆に、表で反省をしてる振りをしながら裏で舌を出して悪い事をしている者も多くいる。
要は悪を法で裁けキレないのは、欲にまみれた人が裁くからであろう。

欲とは、金、異性、良い物、高価な物、プライド、出世、権力と様々ある。例えば鹿児島がテレビクルーを連れて、亡くなった事件をテレビで流さなかったり、警察のミスを平気で隠蔽しても知らんぷりする者が居たりと、際限無い欲が人を化け物にしてしまう。

で、篤郎はそんな世の中では、楽しく出来ないのでは?と考えたのが、奴隷紋章の改良バージョンになる。
ま、こんなのが有れば犯罪が減るんじゃねぇ?的な考えを実現したのである。

どの奴隷紋章になかった、犯罪を犯したら何度も白状しなくてはならないを着けたのは笑えるモノだ。要は犯罪者が犯罪者を暴露して捕まえるシステムの構築をした。穴が有るかもで、現在は篤郎のみにしている。
悪くはないと思うが、此れも怨みを晴らす為に必要な事だ。

問題は捕まえたから終わりではなかった。
取り敢えず、リリスに居た手駒に『命令』して、各地に散らばっている者達にも奴隷にする事にしていた。
結局、篤郎は宿屋に戻らずに新しい奴隷紋章の機械を作って持たせたのだ。合計20台の追加になった。そのお陰で手持ちの魔石は無くなってしまった。

明け方になってビヒットが、部屋で待っていた。

「よう、屑。」

「・・・お、おはようござい・・」

ビヒットは篤郎を怖がっているような素振りを見せていた。

「さて、罪を全て書き出してもらうぞ。ついでに嫌がらせや借金の取り立ても中止だ。嘘偽りなく書き出すのも『命令』だ。」

「はい!」

ビヒットは皮紙に向かって書き出したのだ。
篤郎は商会を表から出て、『ホルラ』に向かって歩いた。町は何時もの風景なんだろう。
店に着くと、

「しまったぁー!」

のカロスの声が聞こえてきた。エミーもどうしたとか、騒がしくなりそうだった。篤郎はそのまま中に入った。

「おはよう。」

「せ、先生ー!」

カロスは篤郎に迫ってきた。

「どうしよう先生。」

「ビヒットの借金かい。」

「どうして!」

「あんたビヒットに借りたのかい!」

「安心しろ、借金は肩代わりしといたから。」

「「えっ?」」

「ちゃんとしたから、エミーに礼でも言うんだな。」

「姉ちゃん!?」

「えっ?」

エミーは顔をどうするか悩んでしまうが、

「どうやったのか知らないけど、ありがとう姉ちゃん!」

と喜ぶカロスに嫌な顔も出来ないで、ニコニコとしている。

「ま、まあね。何でも私に任せてよ。」

「うん!ん、姉ちゃん、顔色が何か悪くない?」

「そ、そそそんなことは無いよ。」

「そう?」

「そう、そう、そう。」

カロスとエミーは一様は喜んでいる。篤郎の横にフッとラッツが寄ってきた。

「どうでした、旦那?」

「あぁ、上手くいったよ。」

「で、この店は?」

「一応、エミーの借金に加算した事にしたけどね。」

「えげつないですね、旦那。」

ラッツは朝から額に汗をかき出していた。

「それと、みんなを集めてくれ。冒険に出たいからな。」

「へい。」

ラッツはスッと篤郎から離れていった。
篤郎は椅子に座って待った。デュースやハル、ラップとミソオを連れてラッツが出てきた。

「旦那、集めました。」

篤郎は手を叩いてから、

「済まないが、『赤い羽根』を通してギルドから仕事を受けたい。エミーと出掛けるので、準備を頼む。」

「「「はい。」」」

「エミー、行くぞ。」

「行きます!行きましょう、アツロウさん!」

と、篤郎は直ぐに店を出て歩いた。エミーも遅れない様に後を着いてきた。出てから直ぐに、

「アツロウさん、助かりました。でも、」

「ん?」

「冒険者ギルドはあっちですよ?」

進行の反対に指を差してキョトンとしていた。

「エミー、道案内を頼む。」

「はい!」

篤郎は表面上は普通にしていたが、内心は心臓がバクバクであった。ドライでも、恥ずかしいのは変わらない。

例え、良くなっても変わらないのだから。
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