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第7章 魔王進行

迷惑な移動

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糸を意識していた男子が、変態に強制ジョブチェンジさせられるのは、間違いだと思う。

「へ、変態です!」

「「だよねー。」」

勝手に気絶して、お漏らしをしたのは彼女達である。粗相をした事の隠蔽をし、綺麗にしたのにこの仕打ちだ。お礼を言われても、変態扱いは無い。

「何で正座なんだ?」

『多分勘違いされています、マスター。』

「勘違いか。」

立ち上がろうとして、

『私に、任せて下さいませんか?』

「レディにか。うん、任せるよ。」

取り敢えず、レディが冒険者達と話している。問題は、馬鹿がどんな風になるのかは見てみたい。

「アツロウ様、宜しいでしょうか?」

今度は、リザイアが真っ赤になりながらも話し掛けてきた。

「何か?」

篤郎は凛として答えたので、リザイアは更にモジモジしだした。

「アツロウ様がお望みでしたら、ゴニョゴニョ・・・」

ま、ほとんどが分からない。察する事も面倒な位、リザイアの事を信用してない。篤郎にとっては、敵に近い存在に思っているからだ。

「望みはなりません。私も次に出ますから、そろそろ準備をします。」

篤郎は立ち上がり、待った。

「アツロウ様?」

ただ、蜘蛛が近づいて来ると、篤郎から距離をとった。

『遅くなりました、マスター。』

「ご苦労様。どれくらいで到着する?」

『5分です。しかし、女とは理解してもらうのに理論的にはいかないのですね。』

「ふっ。女に理論か。ま、その部類にいなかったから、俺も分からん。」

『マスターでも理論出来ない事が?』

「ああ、あるぞ。女の気持ちも分からんが、男の気持ちも分からん。単純な様で複雑なんだよ。」

『アーカイブに保存します。』

「人の気持ちは難しいから、良く観察するんだ。色んなタイプに、色んな癖があり、それが強みであり弱点になる。癖を知る事が人を知る近道かもな。」

『了解しました。上ともリンクします。』

多分、理論的な事は理解出来るが、一瞬の表情や仕草で人を知るのは難しい。天才と馬鹿は表裏一体なのだ。どんな人でも侮ってはいけないのだから。そう、侮ってはいけないのだ。

「アツロウ様!」

「ブッハ!」

リザイアが篤郎にタックルしてきたのだ。不意の攻撃には、耐える事は難しいものだ。

「ゲホッゲホッ、リ、リザイア~。」

篤郎は噎せ返りながらリザイアを睨んだのだが、

「何で泣いている?」

リザイアの顔は、涙以外に鼻水とよだれによる服が汚れていた。

「げっ!最悪、汚い!」

「怖かったよー。」

「き、キモイ。」

「うえぇぇぇぇ。」

また泣き出したのだ。迷惑だと言う前に航空機がきた。
当然ながら、兵士達と冒険者達は恐れ戦いていた。ただし、男限定だが。

飛行機と言っても、旅客機ではなく、ヘリだ。風圧により、飛ばされるテントや私物が多数。カオスは続いている。
着陸したコブラに篤郎が乗り込んだが、リザイアが着いてきた。

「おまっ、降りろよ!」

「いやー。」

「泣きながら着いて来るなよなー。」

とリザイアに怒っていると、ローグウェルを筆頭に入ってきたのだ。

「へー、空を移動できるのかー。」

「変わった形ですか、何か凄いねー。」

「こ、怖いですー。」

「お嬢!危ないです!」

「危険なので降りて下さい!」

『チーム・ラビッツ』もコブラに乗り込んで来たのだ。お陰で狭い。

「勝手に乗るなー!」

「乗せて下さいね。」

「あんたのなのー!」

「お金持ちかも。」

「「お嬢ー!」」

「怖ーい。」

こうしてコブラは空に登っていった。
そして足にはレディが掴まっていた。

(もう少し紋章に改良が必要ですね、ルナ。)

(そうですね、レディ。)
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