鴉喰の華 ～日本に転生したのに、異世界に転移させられた！～

第９章 ミネルシルバ

虐められる魔王

富める国とは、経済の頂点にいる事だろうか？

答えは否だ。

富める国とは、食糧時給率が百％に近く、経済も安定して、新たな産業を産み出す社会が、富国になる。武力や金だけが富に繋がる訳でもない。

奪うだけの社会はいずれ潰れる。

平和を提唱しても、目指さない人が居すぎてるのかもしれない。歪んだ社会は此からの課題になるだろう。連合ではまさにそうなのだ。

しかし、魔国でも歪んだ事が問題になっている。

「だーかーらー、いや！」

「駄々を捏ねないで、マスター。」

「何で、クリーチャーと見合いを！」

「実験の為です。」

「きぃぃぃぃい！」

本当に見合いは嫌だ。人でもクリーチャーでもだ。自由恋愛が望みなのだからだ。

しかしながら、ルナの実験も理解している。知り尽くしたとは言えないのだから、ヒトゲノムは知っていても、解析方法は知らない。ＤＮＡでの一致方法なんて、言葉は知っていても方法は知らないのだ。だからの実験なのである。

人を使うよりも自分で行う方法を取るのも理解はしている。出来れば人で済ましからお願いしたいものだ。と、言うか商売女なら良いが、素人に手を出すほどの馬鹿ではない。

その上に実験だ。

断る理由を失う事になる。実験の前に理性とか倫理を無視してしまうのだから。

何にしても３人の嫁と言う実験体を得なくてはならなくなったのだ。異世界にて人と人の実験と言う、見合いの場で。

「サクサク行きますよ、マスター。」

「・・・・・はい。」

「では、次の方！」

大きな声で呼んだ。
てか、マイクを使わなくても良かったのでは？と思っても言わない。自衛は大事ですからね。

「元ラクラッツ国第一継承権エリーゼ・ラクラッツ、１２歳です。」

誰にも引けを取らない、綺麗な礼であった。国を失ってなお、姫としての威厳を無くさない。孤高の人なのだろう。

「魔王様にお目通り出来ました事は、私の極みに存じます。」

礼をして去る。目を合わさないのも、好感が持てる。話せる時が見ものだ。

「次の方。」

「はい。」

続いての女性が来る前に、ちょっとお茶を口に含んだ。
威圧感ある姿が目に入り、篤郎はお茶を吹いた。

「げぼっ、げぼっげほっげほっ！」

「大丈夫ですか？」

駆け寄って来た、その刹那！

「の、化け物ー！」

篤郎は女装した元魔王ことアニデウスを殴り飛ばした。

ぴーと漫画の様に飛んで行く様は、何故か笑いを取っている様だ。ルナの仕込みなのか？

「やはり、男姿はマスターは駄目でしたね。・・次からは女で。・・回収も頼みましたよ。」

実験でしたかー。
篤郎は変わらないルナの行動を、血反吐を流しながら見ていた。

「次！」

「篤郎さーまー！」

セキちゃんがウェディング姿で現れた。てか、チャーミーを抱えての登場？

「チャーミーと赤龍、来ました！待ってます！」

「ちょっ・・・」

そのまま逃げるって・・・・なんだ、落差が大きいな！
篤郎は走り去った姿を見ていた。

「次！」

「はい。」

セキちゃんは長いウェディングドレスに足を取られ、見事に転けている。

「ああ！」

「篤郎様にお久しぶりに拝謁します。白龍です。」

「えっ？」

そこには、角隠しをした婚礼衣装を着た白龍がいた。

「何で？えっ？お前、親やん。」

「この白龍、まだまだ子は産めます。どうぞ下女でも良いので加えて下さいまし。」

「・・・・はっ！」

少し考えてる間に、白龍も下駄をならして走り去った。

何？ティムしたのが見合いに来たら、言うだけ言って走り去る決まりでもあるの？あっ！こけた・・・・

そこからは、高貴なのが打って変わって、お笑い道場のように、自己紹介→走り去る→転ける。がセットになった。

服装とかも変わってね。

アバンガルドの住人だろうね、服装だけを変えれるから。

特にメロン級クラスが揺らしながら逃げるのは、圧巻だったと記しておこう。