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第9章 ミネルシルバ

戦いの質

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「報告!第三の門に敵兵あり。以上!」

「報告!第五の門に敵兵あり。以上!」

それぞれが報告をして去ると、クラークは、

「篤郎様の予見通りですね。如何されますか?」

と聞いた。

今の牽制で、此処はかなり余裕がある。第五も気になるが、第三を片付けたい。中途半端な距離なので助けるのには困らないのだが、任せたビールズには欠点が多い。戦場にも数度出てるが、指揮するのは初めてだとは思わなかったのだ。
アナスタシアに聞いてビックリした。だって彼は40代後半だからね。変な上官の元でとの追加情報もあるし、心配なんだよねー。

「第三に行く。ここは任せるし、連絡は密に頼んだ。」

「了解しました。」

「あっ。」

「どうかされましたか?」

「いや、第五に悪寒が・・・・」

「では、使者を送っておきましょう。」

「頼んだ。」

篤郎は第三に向かった。

第三よりも第五が賑わっているとは、考えていない。防衛を主に命令してるのだが、命令を違えるとは思いたくないのだが・・・・

くどいが、篤郎は第三に向かった。





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「行け行け!矢の雨を降らせ!」

ヘルマンは自軍の有利な土地で、死守防衛の為の戦を始めた。防衛に有利な土地にした篤郎には敬服するが、戦価を求めるなら攻める。兵を始末すれば、謀略にもなるから、戦略的に有利にもなる。

まあ、戦争馬鹿の胆略な考えなのだが、彼等にとっては当たり前の理論であった。

退路が無いとは、神国連合だと理解してない。

だからヘルマンは力押しを進めたのだ。それに混乱こそ戦の決め手にもなるのだから。

「うはははは!逃げられぬぞ!」

谷を進む軍に落ち度は無いが、こうなると負け戦になる。一般や貴族なら降伏は簡単だが、奴隷達には降伏は勧告は出来ない。

解放する手立てが無いのだから、殺すしかない。

戦に情けは無い。情けを掛けた時点で、殺されるのだから。

ヘルマン達は笑うしか無かった。軍を退かすには、不利な状況だと知らせる事が重要なのだから。

やがて、敵は退却をした。

敵兵、753兵死亡、258兵重症。味方、7名が亡くなると言う戦いを見せたのである。




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兵は機動とかを良く使うが、篤郎は嫌いな言葉だ。

喧嘩に武器は必要無いと考えたのは、○田○美氏の漫画の影響もある。いや、それに付属したアニパロと言う雑誌が元凶かもしれない。

そんな、新たな感銘を受けて鍛えてきたのだから、元の強さを超えるヒントは沢山あった。それも、常識を超えてになるのだが。

そう、1対1なら百%勝てるのだから、正面から襲うのが篤郎である。

第三の門からビールズが見たのは、篤郎の特攻であった。
ビールズは飲んでいた物を吹き出し、むせ返ってしまう。

「大丈夫ですか!ビールズ殿!」

「グエ、ゴッホッ、グエ!」

止まるまでに篤郎の姿は無い。止まって言った言葉は、

「兵を出せ、篤郎様に続け・・・・」

であった。

もちろん、外に行かすと敵兵が伸びていて捕虜の搬送に時間が掛かってしまったのだ。それは、次の日の昼まで掛かる事になった。
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