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第9章 ミネルシルバ

気付かれた

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篤郎が部屋で寝ている。
部屋で寝ているだけならレベルタンだけでも対応出来るが、倒れたとなるとあの者達が黙っていない。

「お粥は出来たかしら?」

「母上!それでは人の食べ物ではありません!」

「みぃ!」

白龍にセキちゃん、チャーミーが居るし、

「レベルタンさん、マスターの着替えが足りてませんよ?」

「済みません!」

と、ルナに怒られるレベルタンが居た。アイとレディは持ち場に待機している。

そうなると、場が騒がしくなると。
篤郎は即座に目が覚める。

「おはようございます、マスター。」

「ルナか。」

そして、倒れた原因を思い出す。

「お前だろ、リザイデント某の本を作ったのは!」

「そうですが。」

「何で、俺に報告しない!」

「マスターの真実を伝える事は、間違った世の中を変えるのに必要だからです。」

「必要?いや、要らんし!」

「要ります!マスターの事が、間違った事柄を載せているなんて許せません!」

「だからってな!俺の恥ずかしい事を知られるなんて我慢出来るか!」

「もちろん、恥ずかしい事や性癖等は書いてません。マスターの不利な事は、事実でも隠します。」

「な、生殺しかよ・・・・」

「過去の過ちですよ、マスター。」

「・・・・それで、何部だ。」

「初版が百万部。増版して二千万部になります。」

「ほっははははは。お前な!」

ベッドで騒ぐ篤郎に対して、疑念が確信に変わったレベルタンと言えば、篤郎を熱い眼差しで見ている。

「リザイデント様・・・・」

新英雄記談が話題のリザイデントが男としている。それも異性として意識している人がだ。

「ルナはお仕置きな!アイとレディにも通達な!関わった者にはケツバットの刑にするからな!」

「それは酷いです!マスター。」

「なっ!私も関わっているんだぞ!ご主人!」

「み、みいー!」

「お情けを主様!」

「知るか、バーカバーカ!」

「むう、こうなったら増版をして新刊もします!」

「「「「おおー!」」」」

「ヤーメーテー!」

カオスである。

しかし、レベルタンには物語の主人公の世界に触れた事で、涙を流す事となった。決して知る事が無い、主人公の生活がそこに有るのだ。

結果として、レベルタンが篤郎の正体に気が付いただけの事なんだが。
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