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第10章 アルテウル

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階段を下る。

明かりがなければ、降りるのに時間はもっと掛かっただろう。

それほど急な階段なのだ。

へっぽこコンビならギャグにも出来たのだろうが、体力馬鹿な二人にはへっちゃらな事である。

走る様にして、階段をかけ下りる。

尋常では無いが、そのスピードも走りも人を軽く超えている。

ただし、見た目は見苦しいのは篤郎イズムなのか。

高速移動しながらも、競争(競歩スタイル)でしゃきしゃき下りているのだから。

落ちるギャグは無理だが、他のギャグにはなった。

競歩なのは、動きとスタイルが出来ていれば差が無いのが競歩である。
体力と肉体による疲労が勝敗を決める。

ところが、疲労が起こらない二人にとってのレースとなると、終わりなどは無い。
階段を転けるか、足を踏み外すまで続く過酷なレースとかす。

地下500メートルは超えても終わりは無い。
それよりも地下に高速で螺旋した階段を下るのは、もはや恐怖いがいにない。


いや、もう1つの終わりが来た。

地下1500メートル。
螺旋の為に階段の数は述べ1万3千段にものぼる。
それを近いと取るかは別として、降りきった。
そこには、扉が有る。
綺麗なレリーフが入った物だが、篤郎は嫌な顔をしている。アルテウルの姿を型取ったレリーフだ。
唾を吐きたいのだが、今から入るのに汚すのは嫌だ。
我慢をする。

「開くか?」

扉を触ると、腰の袋が光った。
魔法的な鍵でも、掛かっていたのだろうか。
扉がガチャリと開き出したのだ。

「罠は?無いのか。」

篤郎が先頭になって進む。
洞窟と思う様な作りに、嫌な感じをおぼえる。
レオンも、篤郎の服を握りながらも歩いていた。

嫌な感じが強くなっていた。

普通の人なら、嫌悪感というよりは、倦怠感の様な感じがする。

そんな事を感じる事が無い二人には、関係は無い。
もちろん、洞窟の様な道の奥には広場が出てきた。

『久しきかな、久しきかな。人が此処を訪れるとは。』

広場に入った瞬間に、声が頭に響いてきた。

「何だ?」

篤郎の言葉に、レオンは自分では無い事をアピールする。

『怒るな人の子よ。我は此処の守護者、アーラカン・ア・アポーツ。アルテウル神から言われ、暗黒龍の封印せし場所を守りし者よ。』

「あ、アルテウル?」

嫌な感じを表に出しながら、篤郎が吐き捨てた。

『人の子が、アルテウル神を嫌うか?』

「おう!俺は嫌いだぞ!」

『ほう!ははははははっ!嫌いか?嫌いと言うたか、人の子よ!』

「当たり前だ!あの糞ボケに何をされたか!嫌いになるわ!」

『わあはははははははは!我と同じだ!人の子!気に入ったぞ!』

篤郎はアルテウルの罠と思っていたのだが、声には嘘が無かった。本当に嫌いなようだ。

「何をされた、アーラカン・ア・アポーツ?」

『我は、生まれてから此処に三百年も動かずに居る。アルテウル神により、今まで世界を見ずに此処に居るのだ!知能を得てから、我の地獄の時は進んだのだ。それも、アルテウル神によって!』

「う、動いていない?それは、地獄だな。」

『それに!此処に一度も労いも降臨もされて無いのだ!それも、龍が黒いと言う理由で閉じ込めて!我の存在は?我の生きてきた意味は?神によって奪われたのだぞ!』

「ど、同情するじゃねーか!」

『ありがとう、同士よ!』

声は震えていた。久しぶりの会話に、自分の思いの丈を話せたのだ。

『済まぬな、同士よ。此処には封じられた龍しか居らぬ。同士にあげる物が無いのだ。』

「うーん。同士と呼ばれたからには、俺から礼をするのが筋だな。アーラカン・ア・アポーツよ!何が望みだ?」

『うはっ!我の望みを聞くか!同士には無理だぞ?』

「言うだけ言えよ!」

『我は、我は外の世界を見てみたい。』

「それが望みだな?」

『神が閉じ込めた龍を封じた我には、その望みは叶事は無いがな。』

「オーケー、同士よ!その望みを叶えてやろう!」

『へっ?』

篤郎は封じた場所を特定すると、自身の魔法を発動した。

『な、な、な、な、なにが起こって、ワアー!』
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