上 下
371 / 505
第11章 モンスター

ワンブーヘ王が動く

しおりを挟む
「手駒の反応が消えた。」

闇の者は、詰まらなそうにしながら言った。

「何だ、死んだのか?」

「我らを滅ぼす輩が?」

「死だと?」

「なのに、死んだと思えんのだが。」

「浄化した?」

「天に帰った?」

「生きてる?」

「生きている。と思う。」

「生きているだと?」

「生きているだと!」

「我らの力を受けて、生きているなどあり得ん!」

闇の中で、幾つもの闇が蠢いていた。
幾つもの闇が重なり、幾つもの闇が離れた。

「楽しみだな。」

そう言って、闇が消えた。






ーーーーーーーーーー







「北の方にアンデットが、居ますな。」

「南のアテウス国に西のマテウルス国と同盟したが、リキュール領とナンゼル領、カルガス国とはまだ戦いが終わらぬ。」

「北のアンデットには、どうあたりますか?」

ワンブーヘ国の重臣は増えた。
しかも、リザリテが一応信頼しても良い人材として、ワンブーヘ王の元につかした人材である。
8カ国と12領も平定したのだから、ワンブーヘ王は下がるしかなかった。
リザリテは宰相でありながら大将軍としての地位も獲得させた。

既にワンブーヘとリザリテのみで戦える事では無いが、北のアンデットはワンブーヘだけで何とかしたいと考えていた。

聖女たる、エメリアを使うのにはもったいない。

王も聖女も動いては駄目になれば、冒険者を動かしたのだが、良い結果は出ていない。

「騎士団から選抜して、調査を行うか。」

「それでは、選抜をします。」

「部隊からで?」

「親衛隊も含む。」

「人数は?」

「100人は必要に?」

「戦力はどれ程に?」

「先鋭に100、戦力は1000。他は冒険者を充てる。食い止めるだけになるがな。」

「聖女隊からは?」

「多分、40人は回せるかと。」

「少ないな。」

「何故か、団結力がついていまして。」

「おお、いい傾向だな。」

ワンブーヘは安心したのだが、報告していた兵士の表情は悪い。

「何かあるのか?」

「はい。それがですね。あの。」

「どうした?」

「団結力が異常でして。」

「異常?」

「何かと言われると、私には分かりませんが、とにかく異常でして。はい。」

「聖女に会えないとか?」

「それは、無いです。」

「人を出し渋るのか?」

「いえ、多分言えば、もっと確保出来るかと。」

「何が異常なのかね!」

「分かりません!だけど異常なんです!」

意味が分からないが、怯える兵士に何かを感じたが、

「それと、国の一大事となら何とかなるのか?」

「いけるのでは無いかと。」

聖女を心配するよりも、アンデットの方が気掛かりである。

「よし、直ぐに掛かれ!ギルドにも報酬を上げておけ!」

「はっ!」

ワンブーヘ王は、慣れない政治から戦いに身を投じれる事に喜んでいた。

「アンデットごときに遅れはせんぞ!」

まだ、ワンブーヘ王も事の真相が大きいモノだとは理解していなかった。
しおりを挟む

処理中です...