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第11章 モンスター

死ぬ気で乗り越えた?

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ダクネト国は数ヶ月前までは、小さな国であった。

それが、国王が変わると同時に周辺諸国が攻められたのだが、逆に討ち滅ぼして大国となった。

人の国としては、シンデレラ的に思われるが、魔国と接する事になる。

魔国と人の戦いは、一年前に魔王が復活してから人の劣勢となり、今では人の国は少なくなった。

その為に、大国が小国を呑み込んで魔国と対抗するしかなかったのだ。

だが、ダクネト国は敵である魔国と平和条約を結び、どの国よりも平和となった。

他の人の国は、それが気に要らなかったのだが、ダクネト国と対抗出来るだけの国力と軍隊が無いのだ。

無いのだから、恨み節を言うだけでダクネト国に憧れるのだった。

魔国と取引する。表向きのダクネト国の仕様なのだから。

「飛ばせー!」

「イエス!マイ、マスター!」

『ヒイィィィィ!』

篤郎は、調子に乗ってフェイトに全力で走らせたのだ。

フェイトはバトルホースの最高位エンペラーホースとなった。これは、王よりも高い位であり、成れる存在は皆無だった。

その強さとは、魔物では竜と同格になる。人に取っては、軍隊を出さないと国が滅ぶ事になる。

それでも、速度は500キロしか出せないのは、体が小さいからだ。

ともかく、人がそのスピードには耐えてるが、耐えてるだけで馬車の中では悲惨なのである。

「遅いぞ!」

「限界まで頑張ります!サー!」

此が、自重しない人の行動である。
それが、どれだけ迷惑になるかも知れないのに、馬車は走る。

と言うか、ダクネト国に着くのに時間は掛からなかった。

「つ、着きました!サー!」

「・・・・おい。」

「は、はい?」

「首都じゃ無いし。」

「えっ?えっ!」

「もう一丁!」

「済みませんでした!サー!」

フェイトは、涙を溢しながら鳴いていた。
その10分後には、篤郎は懐かしい風景を見る事が出来た。

ただし。

馬車の中では高速に走った事により、シェイクされている。

猫又や九尾の狐はもとより、エメリアの嘔吐物と糞尿が見事に散乱していたのだが、篤郎は知らない。

外に臭いが出なかった事が、幸いしたのだろう。
何にしても、生きてダクネト国に入国したのだった。
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