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第11章 モンスター

アルテウルとミネルシルバの裁判

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「うっ。」

眩しい日差しが、顔を照らす。

「あっ、俺はまた気を失ったか。」

生前を含めて、気絶する回数は少ない。
むしろ、転生して戻った事で気絶する回数が増えている。

「一人、だな。ふー。」

落ち着くはすが、気絶前を思い出して顔が赤くなる。

「まだまだ、修行が足らぬ。か。」

肉体イコール年齢は違う。
若さと年は経験則があるからだと思っていたが、どうも違う。年齢と肉体はイコールになるようになっているが、元々の年齢が今の肉体とイコールにはならないのが、篤郎には解っていた。

年齢イコール肉体では無い。
若い肉体を維持出来るのかが、肉体には必要なのだろう。

よって、修行と言うよりも経験が足りない事が問題なのに、篤郎は理解していない。
いや、理解なんか出来ていないのだ。

「よし!風呂は止めてと、『クリーン』。」

魔法で身体をまとめて綺麗にする。
服も、部屋の入り口に掛けられていた。ベッドから降りて、着替えるのだが、

「何で居るのかな?」

篤郎の左には、ルナが待ち構えていた。

「お手伝いしたいのです、マスター。」

「そ、そうなんだ。」

裸を見るより、見られる方が楽である。何度も言い聞かしてから、

「じ、じゃあ頼むよ。」

「はい!」

無邪気に笑うルナを見て、親子とは何ぞや?と考えてしまう篤郎であった。

「マスター、宜しいでしょうか?」

着替えの途中で、ルナが口を挟む。

「なに?」

「アルテウルでの件ですが、主犯はアルテウルですが、妖怪達に関してはミネルシルバが深く関与してました。」

「何だと!」

「アルテウルからの証言で、マスターを異世界に連れて行く交換に妖怪達を引き取ったようです。」

「はぁ?」

「マスターを送るのに失敗したミネルシルバの責任が有るとか。」

「あ、あのアマー!」

怒りで手を震わせる。

「ルナ、ミネルシルバは?」

「準備は出来ております、マスター。」

篤郎の着替えが終わるのを待って、ルナは転移を始めた。

そして、鬼◯ムコスプレにふんした、レディとアイに挟まれて、ミネルシルバとアルテウルが土下座をしていた。

「アルテウル、マスターに告白を。」

「はっ!私は、ミネルシルバ様の命により、あの妖怪達を封じ込めていました。」

「それだけ?」

「いえ、封じ込める時に闇の因子を入れられたようです。」

「闇の因子?」

「大罪の事ですね、マスター。」

なにやら、キナ臭いワードが出てきた。

「神は欲を持ってしまうと、墜ちてしまうとか。欲に打ち勝ってこそ、神であるようです。」

「なるほど・・・・・・って!出来て無いやん!」

ミネルシルバの肩がビクッとなる。

「アルテウルに負けて堕落した神達とか、閉じ込められて堕落した大神とか居るし。」

篤郎の視線は、アルテウルよりもミネルシルバに注がれている。

「わ、私は私の仕事をしてただけだし!悪くないし!」

ミネルシルバは、咄嗟に身を守る行動に出た。

神が行う一番の悪い原因は、嘘を着く事だ。
これは、神だから良いと勘違いしてる。そう、怒る存在が殆ど側に居ない為の勘違いなのだ。

「言い訳だな。」

「ちょちょちょちょ、ちょっと、待って!」

「では、判決だ。アルテウルは今の刑を継続、ミネルシルバはアルテウルの刑が続く限り罰を受ける事にする。」

「そんな!待って!ねっ!待って!」

すがるミネルシルバの前に、篤郎の手が現れる。

「今日の罰だ。」

「えっ?」

バコーンッ!

と、デコピンをされたミネルシルバの身体がぶっ飛ぶ。

「他に余罪が無いか、調べろ。」

「イエス、マイマスター。」

篤郎が、完全に神に罰を落として行くのだった。。
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