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2巻
2-1
しおりを挟む第一章 新たな力と新たな住民と
僕、シアン=バードライは、女神様から水しか出ない神具【コップ】を授かり、実家の大貴族家に見放されて不毛の領地、エリモス領に追放されてしまった。
どんぞこに叩き落とされた僕だったが、信頼できる家臣たちの助けもあり、エリモス領の領主として生きていくことを誓う。
そして訪れたエリモス領唯一の町、デゼルトで僕は【コップ】の真の力を知ることになる。
その正体は【聖杯】というもので、水だけでなくあらゆる液体を複製できるという能力を持っていたのだ。
僕はこの能力を使って、デゼルトに住む全ての民を幸せに導くことにした。
かつて僕が女神様から受けた神託に従うために。
そして何より、僕がそうしたかったから。
◇ ◇ ◇
『条件を満たしました。【聖杯】の力が一部開放されます』
魔獣シーヴァの試練を乗り越え遺跡探索の打ち上げをしていた時、僕の脳内にそんな声が響いた。
その時は打ち上げの最中だったこともあり、すぐに開放された力を調べることはしなかったのだが、それから数日後の昼下がり。
およそ一ヶ月ぶりとなる収穫祭の準備で朝からみんなが走り回る中、僕は一人、領主館の休憩室でスキルボードを出現させ、新しく開放された能力について調べていた。
過去にも僕は、同じ声を聞いたことがあった。その時は、民を幸せにすることで獲得できる『幸福ポイント』という数値を使うことで、【コップ】に登録している液体の品質を改良させられるという能力が開放されたのだ。
そして僕は、試しに一番消費ポイントの少なかった【水】の品質を改良したっけ。
そして出来上がったのが【おいしい水】という改良品だったのだが……あまりに美味しすぎて中毒性が出て、危うく大変なことになりかけたのである。
それからもう一つ、【コップ】から出せる【砂糖水飴】も品質改良してみた。
こっちの方は特に中毒性が増すことはなく、単純に純度が上がっただけだった。そのおかげで【砂糖水飴】が、時間が経っても濁らなくなった。
料理長のポーヴァルによれば、普通の砂糖水飴には糖以外の物質も含まれていて、それが結晶化するせいで濁りが出るのだという。
「ただし、純度が増したからといって、味がよくなるというわけでもないんですよ。料理や菓子にはむしろ普通の【砂糖水飴】を使った方が、美味しいものが作れるんですがね」
ポーヴァルはそう言っていたが、砂糖水飴を交易品として他の町に運送する行商人のタージェルは、純粋に濁りが出なくなったことを喜んでいた。
「やはりお客様は、濁りがあるものは買いたがりませんし」
なんでも、濁った【砂糖水飴】はかなりの安値で買い叩かれることもあったらしい。味より見た目を優先する気持ちは僕にもわかる気がする。
ただ、改良された【砂糖水飴】を作製するには、通常よりも消費魔力が大きくなってしまう。
今の僕の魔力なら特に問題はないが、何かあった時のために節約を心がけることは大事だ。
というわけで、交易には改良品を出し、普段使いする分は通常品を出すことにしたのである。
そんなことをつらつらと思い出しながら、僕はスキルボードに目を向ける。
「さて、今回開放された【聖杯】の力とはどんなものかな」
独り言を口にしながら、スキルボードに顔を近づける。
「使い勝手がいいものだといいんだけど」
まずは、ボードの一番下にある非常に小さな文字に目を凝らした。
相変わらず見づらい『幸福ポイント』は、1126ポイント貯まっている。
「前に見た時より、増えているな」
このポイントを使えば、試験農園を管理しているメディア先生が熱望する【水肥料】の品質改良を行うことも可能だろう。彼女は僕の能力を知ってから、何かにつけて改良を要求してくるのだ。
今までは「ポイントが足りないから」と断っていたけれど、これだけあるなら叶えてもいいのではないだろうか。
実のところ、この『幸福ポイント』がどういった仕組みで増えるのかは、未だによくわかっていない。
言葉通りに『民がどれだけ幸福になったか』を表す評点だとは思うが……
「いまいち基準がわからないんだよな……とにかく、僕が領民を幸福にすればするほど数値が増えるとだけ思っておけばいいか」
ただ、それだともらえるポイントには限界がありそうな気もする。
もちろん僕は、これからも領民が幸せになるためなら努力を惜しむつもりはないが、まだ詳しいことがわからない以上、無駄遣いはできない。
あれこれとポイントを消費して、本当に必要な時に足りないなんてことになるかもしれないからだ。
「って、そんなことを考えるのは能力がどんなものかを調べてからだな」
大体、新しく開放された能力が、ポイントを使うものだとは限らない。
それにしても……女神様は少しくらい、スキルボードの使い方の説明を僕にするべきだと思う。
毎回毎回、新しく開放された能力を手探りで探すところから始めないといけないのは大変だ。
その上、見つけた能力の使い方を、その都度調べないといけないのだから不便にもほどがある。
スキルボードを操作していると、時々思うことがある。
もしかしたら僕が見つけていないだけで、今使っている能力には他の使い方もあるのではないか、と。
それどころか、使い方自体が間違っているのではないかとすら思う時だってある。
たとえば品質改良の力は、僕が正しく使えていないから扱いにくいと感じているのではないか。
「この【コップ】を授かった時に、説明書もつけてくれればよかったのに……」
僕は小さくため息をついた。
気を取り直し、スキルボードをじっくりと見て何か変化した部分がないか探していく。
今回は一体どんな能力が追加されているのだろうか。
見落としのないように目を凝らすと、今回は思っていたより簡単に見つけることができた。
スキルボード上部の右端に、四角いボタンのようなものが追加されていたのである。
「このボタンは確か、今まではなかったはず」
ボタンには何やら文字が書かれていたので、僕はそれを読んでみた。
「えっと、『神コップ作製』……『神コップ』ってなんだろう」
もしかして……【聖杯】のことか?
僕は手に【コップ】を出現させて眺める。
「確かに【聖杯】は色々なものを複製できるけど、これと同じ神具まで作り出せるものなのか?」
もし【聖杯】と同じ神具を何個も作れるとしたら、それはもはや神の力そのものだ。
「いや……【聖杯】じゃなくて『神コップ』って書いてあるんだから、たぶん違うんだろう。【聖杯】が作れるなら『聖杯作製』とでも書かれているだろうし」
僕は一旦そう結論を出し、ボタンにゆっくりと指を近づける。
「とりあえず悩んでいても仕方ない。いつも通りに試してみるしかないよね」
そう独り言を呟きながら思い切って、『神コップ作製』ボタンを押す。
すると、スキルボードの上に、小さいボードが新たに浮かび上がった。
「お、次の選択肢が出てきた。こういうところは親切なんだよな」
小さなボードには、こう書かれている。
『幸福ポイント1000を消費して【サボエール】の『神コップ』を作製しますか? はい・いいえ』
表示された文章を読んで、僕は首を捻る。
これは一体どういう意味だろう。
サボエールがお酒なのはもちろん知っているが、それの『神コップ』?
それも謎だが、作製するために『幸福ポイント』が1000も必要なのも驚きだ。
「こんなにポイントが必要なんじゃ、試してみるのにも勇気がいるな」
なんせ、現状の『幸福ポイント』は1126しかないわけで。
1000ポイントも消費してしまうと、残りはほとんどなくなってしまうことになる。
せめて200ポイントくらいなら気軽に作製してみてもいいのだが……
「待てよ。もしかしたら……」
僕はあることに思い当たり、一旦『いいえ』を選択してボードを閉じる。
そしてもう一度スキルボードを操作して、【コップ】から出すものを【サボエール】から【水】に切り替えた。
その状態で、もう一度『神コップ作製』のボタンを押してみる。
すると――
『幸福ポイント400を消費して【水】の神コップを作製しますか? はい・いいえ』
やはりだ。
どうやらポイントの消費量は品質改良と同じく、選択したものの種類によって変化するようだ。
そしてこの能力は、スキルボードで選択した液体の『神コップ』とやらを作ることができるらしい。
問題はその『神コップ』が何かということだ。
「こればかりは作ってみるしかないけど……水以外の消費ポイントも確認しておくか」
一応全ての液体を調べてみたが、やはり【水】が最も消費ポイントが低かった。
お試しとしては、一番ポイントが少ない【水】の『神コップ』を作製するのがいいのはわかっている。
だけど、せっかくポイントを使うのなら、他のものの方がいいのではないか。
あれこれと思案しつつ、スキルボードの『はい』の前で指をさまよわせていると、不意に誰かが僕の背中を叩いた。
軽くぽんっと叩かれただけだったのだが、考え事をしていた僕は、思いもよらない刺激にびくっと反応し――
「うわっ」
ぽちっ。
勢い余って思わず『はい』を押してしまった。
そして僕の脳内に、『幸福ポイントを400消費して【水】の神コップを作製しました』という声が流れる。
しまった!
そう思ったが、もう時既に遅し。
スキルボードに表示されている幸福ポイントの数字は、一気に400減って726になった。
「もう、誰だよ! 突然背中を叩いたのは!」
僕はつい大きな声でそう言って、振り返る。
そこにはシーヴァを抱っこしながら片手で前足を持ちながら、驚きの表情を浮かべた町娘のバタラと、その後ろでやや目を丸くしたメイドのラファムの姿があった。
今まで彼女たちに大声を上げたことはなかった。
だから僕がそんな態度を取ったことに驚いたのだろう。
スキルボードの見えない彼女たちには、僕はただぼーっとしているだけに見えたに違いない。
そんな僕を少しだけ驚かせようと、バタラは軽いイタズラのつもりでシーヴァの肉球を背中に軽く押しつけたようだ。
そう理解した時、彼女の瞳にじんわりと涙が浮かんだ。
『あーあ、泣かせたのじゃ』
シーヴァが念話を送りつつ、彼女の腕からするりと抜けて地面に下りる。
「あっ、あのっ私っ……シアン様と一緒に収穫祭に行こうと思って声をかけようと……」
震えた声で言って背中を向けた彼女の手を、僕は慌てて掴む。
「違うんだ。僕は別に怒ったわけじゃなくて、ただびっくりしただけで。だから泣かないでくれ」
「ごめんなさい、私も少し驚いてしまって……」
「いや、謝らなくていいんだ。むしろ僕の方こそ大声を出して本当にすまない……」
必死にバタラをなだめる僕を、シーヴァとラファムはフォローもせず、面白そうにニヤニヤと眺めている。
こいつらにはあとでじっくりと説教せねばなるまい。
「怒っていませんか?」
「ああ、怒ってないとも。本当に弾みで大声が出てしまっただけで」
新しい能力を確認するために、どうせ『神コップ作製』はやらなければならなかったことだ。
それをポイントを無駄にしたくないと長々と無駄に悩んでいた僕の方が悪い。
「だから涙を拭いてくれないか。君の泣き顔を見るのは、なんというかその……辛いからさ」
そう言って僕はハンカチを渡す。
「……はい」
バタラはそう答えると、目尻に浮かんだ涙を受け取ったハンカチで拭いて少し頬を赤らめつつ微笑んでくれた。
僕はなんとなく彼女を直視できず、少し顔を背けながら説明する。
「実は【コップ】の新しい力が開放されたから、それを試そうとしていたんだ」
「新しい力……ですか?」
「ああ。『神コップ作製』という能力らしいんだけど、それがなんなのかがわからなくてさ」
そういえば、先ほどの出来事で【水】の『神コップ』とやらは作製されたはずだけれど、一体どこにあるのだろう。
もしかしたら、作製と言っても実際に物質化するような能力ではなかったのだろうか。
確かめるためにもう一度スキルボードに変化がないか確認しようとした、その時。
「わふんっ!!」
足下からシーヴァの鳴き声がしたかと思うと、脳内へ『これか?』という念話が飛んでくる。
なんだと思って下を向くと、何かを口に咥えた状態でお座りしていた。
「それ、どこにあったんだ?」
形状からしてどうやらコップのようだったが、僕の【コップ】よりも見た目がかなり安っぽい。
『お主が情けない悲鳴を上げて跳び上がった時に、足下に落ちるのを見たのでな』
『悲鳴なんて上げてないだろ』
脳内でシーヴァに反論しつつ、コップを受け取って調べてみる。
重さはほとんど感じない。
強度は少し力を入れるとへこむほど柔らかく、質感からしてもこれは――
「紙?」
そう、それは紙で作られたコップであった。
だが、紙は水に弱い。濡れる可能性のある用途では普通、羊皮紙が使われる。
そんな素材でコップを作るとは……
「神の御業……ってやつか?」
しかしこれでは『神コップ』ではなく『紙コップ』じゃないか。それに、こう言ってはなんだが、見た目も貧相だ。
僕の【聖杯】もそうだけど、女神様はあまり見かけにはこだわらないのだろうか。
そんな風に思っていると、バタラが僕の手元を覗き込んで尋ねてきた。
「そのコップが新しい力なのですか?」
「たぶんね。僕の知る限り、紙製のコップなんて見たことも聞いたこともない。ラファムは知ってる?」
「いいえ。そもそも紙でコップを作ることに意味があるとは思えません。それなら普通に焼き物で作った方が安上がりですし、見かけも美しいでしょう」
「だよなぁ」
しかし、あれだけのポイントを消費して作製されたものが、意味のないものだとは思えない。
一体この『神コップ』とはなんなのか。
液体の指定があったからには、【水】に関する何かがあるのだとは思うが……
すると、バタラがこちらに手を差し出してきた。
「少しそのコップを見せていただいてもよろしいですか?」
「いいけど、結構柔らかくてあまり力を入れるとへこんでしまうから、一応注意してね」
「はい」
『神コップ』をバタラに手渡すと、彼女は不思議そうに眺め始めた。
「中には何も入っていませんね。裏に何かあるのでしょうか?」
そして彼女が『神コップ』を逆さにした時――
ザバーーーーーーッ。
「きゃあっ!」
「うわっ」
「シアン坊ちゃま!」
「ぎゃわんっ!!」
突如として『神コップ』から水が流れ出し、下で様子を見ていたシーヴァを直撃した。
傾けると水が出てくる――それは僕が【コップ】を使って水を出すのと同じような現象だった。
「あああっ、ごめんね、シーヴァちゃん」
バタラは、ぶるぶるぶるっと水を飛ばすシーヴァの横にしゃがみ込んで謝っている。
僕は今思ったことにもしやと思い、彼女に声をかけた。
「バタラ、もう一度だ」
「えっ?」
「もう一度そのコップを傾けてみてくれないか?」
バタラは僕を見上げて、きょとんとした。
「またシーヴァちゃんに水をかけるんですか?」
『お主、海より心の広い我でも、わざとぶっかけられたらさすがに許さぬぞ。といっても海なんて見たこともないのじゃがな』
そうか。
シーヴァは海を見たことがないのか。
いや、今はそんなことよりも『神コップ』だ。
「違う違う。シーヴァはどうでもいい」
「わふっ!!」
『どうでもいいとはなんという言い草じゃ!!』
抗議の念話を送ってくるシーヴァを無視し、僕はバタラの手に握られている『神コップ』を指さして言う。
「さっきのを見ただろ。その空っぽの『神コップ』から、僕の【コップ】と同じように水が出たのを」
「そういえばそうでしたね。シーヴァちゃんにばかり気を取られちゃいました」
『我の愛らしさは世界一じゃから、それも仕方ないのう』
自慢げに水に濡れたままの胸を張るシーヴァは、相手にしないでおこう。
僕はバタラの手を取って立ち上がるのを手伝い、その手ごと『神コップ』を傾けさせた。
すると、先ほどと同じく水が流れたのだ。
「これって本当に――」
「ああ、僕の【コップ】と同じ力だ……けれど、その『神コップ』からは【水】しか出ないはず」
「そうなのですか?」
「ああ、たぶんだけどね」
そうじゃなければ、種別ごとの『神コップ』が作れることに説明がつかない。
「ちょっと貸してくれるかい?」
僕はバタラから『神コップ』を受け取ると、元の【コップ】の方を消してから『神コップ』のスキルボードを開くつもりで意識を向ける。
すると、小さなメッセージボードが目の前に浮かんだ。
どうやら『神コップ』のステータスみたいだが……
『神コップ【水】 魔力 98』
魔力?
【コップ】のスキルボードにはなかった表示だ。
いや、もしかしたら隠れていて見えていないだけかもしれないが……まあ、そこは考慮しなくてもいいか。
「ちょっと待てよ? もしかして……」
独り言を呟き、僕は手に持った『神コップ』を傾けて、しばらく地面に水を流し続ける。
それからもう一度、同じように意識を『神コップ』に向け、ステータスを表示させた。
『神コップ【水】 魔力 95』
やはり思った通りだ。水を出した分だけ、魔力が減っている。
『神コップ』は、中に貯められた魔力を使って、作製する時に選択した液体を生み出すことができる道具なのか。
これはかなり便利である。
たとえば、これを持ち運べば狩りに出る際に重い水樽を運ぶ必要がなくなる。
先日の狩りでは、ほぼ無限に水を出せる僕が同行したことで水樽を輸送しなくて済んだが、毎回付いていけるわけではない。
しかし、今後は『神コップ』を渡しておけば、僕がいなくとも水の心配がなくなる。もちろん、出せる水の量には限界があるが、役に立つことには違いない。
他にも【サボエール】や【砂糖水飴】の『神コップ』だって、作製してドワーフたちやタージェルに渡せば喜ぶだろう。交易もこれだけでこと足りるかもしれない。
『幸福ポイント』との費用対効果も考えなければならないが、できることが一気に増えたのには間違いないな。
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