水しか出ない神具【コップ】を授かった僕は、不毛の領地で好きに生きる事にしました

長尾 隆生

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2巻

2-3

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  ◇     ◇     ◇


 シーヴァから女神様の像に関する興味深い話を聞いた数日後。
 僕は領主館の中にある医務室に来ていた。
 この部屋の主であるメディア先生は、基本的に地下の研究部屋にいるか試験農園に出かけているので、ほとんど留守にしている。
 特に最近は魔獣の血によって育った魔植物と共に、試験農園を整備することにご執心だ。
 どうやら彼女にとって魔肥料という研究素材はかなり魅力的なようで、買い取った魔獣の血のほとんどはメディア先生が実験用に使っているほどである。
 しかし、エリモス領に来るまでは外へ散歩に出ることすら嫌がっていた彼女が、こうも変わるとは思わなかった。
 以前は青白かったメディア先生の顔が今では血色よく見えるようになったのも、日の光を浴びるようになったおかげかもしれない。
 そんな主がいない部屋の、複数あるベッドの一つからゴホゴホとき込む音が聞こえる。僕はその人物のお見舞いに来たのだ。

「体の調子はどうかな?」

 ベッドを覗き込み、ひたいを水で濡らしたタオルで冷やして横になっている彼女にそう声をかける。

「ごほっ……随分と楽にはなったのですが、まだ……ごほっ……せきが止まらなくて」

 トレードマークの眼鏡を外し、苦しそうに返事をする彼女の名はエンティア。
 僕の専属教師である。

「せっかく魔獣の調査に……ごほっ……行けると聞いて色々用意していたのに……」
「きちんと寝もせずにそんなことをしていたせいで、風邪を引いたんじゃないか?」

 エンティア先生は、先日領民たちの狩りに同行し、遺跡で魔獣の生態を調査する予定だったが、当日になって体調を崩し、今も治っていない。
 はしゃぎすぎて風邪を引くなんて子供みたいだ、とも思ったが、口にするのはやめておいた。
 僕は額のタオルを手に取って水の入ったおけに浸け、よく絞ってから再び彼女の頭に載せる。


「とにかく、今は安静にしないと。遺跡は逃げないんだから、また今度行こう」
「無念です……ごほっ……」
「あっ、そういえばエンティア先生にお土産みやげがあるんだった」
「お土産? 一体なんの……ごほっ」

 僕は持ってきていたバッグから数冊のノートを取り出す。
 これは、僕とバタラが協力して作り上げた魔獣に関する資料だ。

「そのノートは?」
「僕が遺跡で見た魔獣の特徴を、覚えている範囲でまとめたんだ。わかりやすいように絵もつけたけど、それはバタラが描いたものだ」

 エンティア先生は上体を起こし、僕の手からノートを受け取ってパラパラとめくる。

「素晴らしい……ごほっ……とても詳細に描かれていますね。この絵をバタラ嬢が?」
「僕も最初見た時は驚いたよ。バタラってとても絵が上手なんだよな」
「これなら十分に魔獣の特徴や姿形がわかりますね……ごほっ……見事に特徴を掴んでいる、素晴らしい絵です」

 エンティア先生は青い顔ながら、にっこりと微笑む。
 実は最初、魔獣の絵も僕が描こうとしたんけど、完成した絵があまりにひどすぎると家臣のみんなに言われて、泣く泣くボツになったのだ。
 バタラにも見せたら、彼女は優しく微笑みながら僕の絵を「芸術的」と言ってくれた。だが、近くにいたラファムが小さな声で『坊ちゃまの絵の才能は昔からまったく進歩してませんね』と呟いていたことは忘れない。
 そんなことを思っていると、エンティア先生がページをめくっていた手を止めた。

「おや、このページの禍々まがまがしい魔獣の絵だけ、タッチが違いますね。非現実的な形をしていますが、これは一体なんでしょうか?」

 そう言ってこちらに見せてきたのは、せめてもの抵抗にと僕がこっそり描いておいた魔獣の絵だった。

「それは無視してくれ」

 僕が言うと、エンティア先生はハッとした顔になる。

「あっ、もしかしてこれは……わかりました……ごほっ……シアン様、ありがとうございます」

 色々と察したらしい。
 僕は微妙な空気を払うように咳払いをすると、「もう一つお土産があるんだけど」とその場にしゃがみ込む。
 そして病室に連れてきていたを持ち上げ、エンティア先生に紹介する。

「まったくそうは見えないだろうけど、があの遺跡を作った大魔獣。名前はシーヴァって言うんだ」
「まあ、この犬が魔獣? ただの動物にしか見えませんが……ごほっ……もしや、何かの冗談ですか?」

 エンティア先生はベッド脇に置いていた眼鏡をかけ直し、シーヴァに顔を近づける。

「やっぱり、どう見てもただの犬にしか思えないのですが」
「やっぱりそう思うよね。僕もを最初に見た時は信じられなかったよ」
『我のことを呼ばわりとは失敬な。我が本気を出せば、この町など一瞬で消し飛ばせるのじゃぞ』

 少し不満そうに念話を飛ばすシーヴァ。
 念話はエンティア先生にも飛ばしていたらしく、彼女は突然脳内に聞こえた言葉に驚きの表情で固まっている。
 シーヴァはエンティア先生に向けて、片方の前足を顔の横くらいまで上げて挨拶する。

『我が熱砂ねっさの大魔獣、シーヴァ様じゃ。恐怖のあまり口も利けぬようじゃな。まぁ、我という魔獣の王を目の前にしては致し方あるまい』

 なんだか大層な肩書きが増えているが、見た目が本来の姿からとんでもなくパワーダウンしているために、虚勢きょせいを張る子供の戯言ざれごとに聞こえてしまう。

「直接脳内に声が……ごほっ……まさかこれもシアン様のいたずらではないでしょうね?」

 にわかには信じられないらしく、エンティア先生は戸惑いつつ僕に問いかけてきた。
 彼女の気持ちもよくわかる。
 今のシーヴァはどう見ても普通の犬にしか見えないのだから。
 僕だって、実際にシーヴァがあの凶悪な姿からこの姿に変身したのを見ていなければ、信じられなかっただろう。
 信じてもらうにはどうすればいいかと考え、僕はシーヴァにお願いをすることにした。

「シーヴァ、少し魔獣らしいところを見せてやってくれないか?」
『ん? この屋敷を一瞬で破壊すればいいということかの』
「そんなことしたら討伐するよ」
『お主、ダンジョン最下層であれだけ我を守るとか言ったくせに、なんということを言うのじゃ。それに我を討伐するじゃと? お主らでは永遠に無理なことじゃわい』
「だったら町の人たちに、シーヴァへのモフり禁止令を出そうかな」
『なんじゃと!? それだけは……それだけは勘弁してくれなのじゃ。我はもうナデナデなしの生活は想像できんのじゃ』
「それじゃあ常識的な範囲内で力を見せてあげてくれるね」
『ぐぬぬ。わかったのじゃ』

 ぶつくさと言いながらも、シーヴァは『それでは普通のけものにはできないことをしてやるわい』と、空中にふわりと浮かんで部屋中を飛び回り始める。
 途中で無駄に体をうねらせたり空中で一回転したりと、文句を言っていた割にサービス満点である。

「た、確かにこれは普通ではないですね……ごほっ……では本当にこの犬が?」
『犬ではない。我は熱砂の支配者であり、最強大魔獣のシーヴァ様じゃ』

 また肩書きが微妙に変わっている。
 ツッコまずにスルーして、僕はエンティア先生に声をかける。

「そのノートとシーヴァを置いていくから、ゆっくりと休んでいてね、先生」
「ありがとうございます、シアン様。全快したあかつきにはお礼としてみっちりと魔獣についての講義を……ごほっ……」
「いや、それは遠慮させてもらうよ。それじゃ、お大事に」

 そう言って部屋を出ていこうとした僕の背中に、シーヴァの声がかかる。

『おいシアン。約束を忘れるでないぞ』
「わかってるって。ちゃんとおやつの時間にはポーヴァルに新作お菓子を用意しておいてもらうからさ」
『忘れてなければいい。期待しておるぞ』

 短い付き合いだが、シーヴァはポーヴァルが作った料理――特にお菓子がかなりのお気に入りらしい。
 そういえば、遺跡からシーヴァを連れて帰ってくる途中でも、おやつ用にと持っていったお菓子を半分以上食べられてしまったっけ。
 自分のダンジョンを一時的に放置してまで僕たちに付いてきたのは、女性陣にちやほやされたのが嬉しかったのもあるだろうが、ポーヴァルのお菓子が気に入ったのもあるのではないかと僕は思っていた。
 そこで、エンティア先生のもとにシーヴァを連れていく際、見返りとして新作お菓子を提供すると提案してみたら、あっさりと取引は成立したのである。

「さて、まずは厨房に寄ってポーヴァルにシーヴァのおやつ作りを頼んでから、ルゴスにの制作を頼みに行かなくちゃな」

 僕はこれからの予定を頭の中で反芻はんすうしながら医務室をあとにした。
 ――数時間後、僕は命からがらといった様子で戻ってきたシーヴァから『あいつと二人きりはもう絶対に嫌じゃ! 解剖かいぼうされそうになったぞ』との苦情を受けたので、謝っておいた。


     ◇     ◇     ◇


「坊ちゃん。俺がなんでも作れると思ったら大きな間違いですからね」

 ルゴスが無精髭ぶしょうひげを撫でながらそんなことを言ってくる。
 彼が見ているのは、少し前に僕が描いた女神様の絵だ。
 その絵は僕が神託の折に見た女神様の姿を思い出しながら描いたもので、我ながらよく描けていると思うのだけれど、どうやらルゴスにはそう見えないらしい。
 僕はその絵を指さしながら説明する。

「このシュッとした感じのあごとか、つつましやかな胸のラインとか、わかるでしょ?」
「わっかんねぇなぁ。大体俺には……前衛芸術? ってやつは理解できねぇんでさぁ」
「前衛芸術……」

 首をかしげながら言い放つルゴスに、僕は少なからずショックを受けた。
 ルゴスは絵から目を離し、困ったように言葉を続ける。

「王都にあった女神像の複製じゃいけねぇんですかい? あれなら何度も見てるし、俺にもすぐに作れると思うんですがね」
「あれはだめだよ。だって女神様本人と似ても似つかない姿だもの。僕が作ってほしいのは本物の女神像なんだ」
「本物ねぇ」

 女神信仰が盛んな我が国では、そこら中に女神様の像が建てられている。
 しかし僕の知る限り、本物の女神様の姿を模した像は、貴族関係者以外は立ち入りを禁じられている成人の儀の間にあるものだけだった。
 それ以外は全て『偽物の女神像』で、女神様とは似ても似つかない像がそこら中に建てられているのである。
 つまり、本物の女神様の姿を知る者は、成人の儀を行えるごく一部の階級にしかいないということだ。 
 なぜそんなことになっているのかは、僕にはわからない。
 だけどこれから僕が試そうとしていることには、成人の儀の間にあったのと同じ本物の女神像が必要だという、確信めいた予感があった。

「そういや坊ちゃんは、女神様に会ったことがあるんでしたね」
「ああ。今まで二度かな」

 どちらも、魔力切れを起こして死にかけた時だ。
 おそらくだが、女神様と会うためには生死のさかいをさまよわないといけないのだろう。
 魔力切れをわざと起こすことは簡単だ。
 だが、さすがに命をかけてまで試す気にはなれない。
 その後もしばらくルゴスと問答を続けたが、結局この絵を元にしても僕が望むような女神像は作れないと却下されてしまった。
 がっかりしたが、こればかりは仕方ない。
 今日はあきらめ、とりあえず日課であるオアシスの泉への注水作業に出かけることにした。
 領主館を出てとぼとぼと泉へ続く坂を下りていくと、そこにはいつもの少女が待っていてくれた。

「あっ、シアン様!」
「バタラか。今日の仕事はもう終わったのかい?」
「はい。朝から頑張って終わらせました」

 バタラはそう言いながら、きょろきょろと僕の足下を見回す。

「ああ、シーヴァならいないよ」

 今頃は、エンティア先生と魔獣談義を繰り広げているだろう。
 シーヴァは結構お喋りだからな。意外と盛り上がっていたりして。
 少し残念そうな表情を浮かべたバタラの顔を見て、僕は今朝のエンティア先生との会話を思い出す。

「あっ、そういえばバタラが描いてくれた魔獣に関するノートなんだけど、エンティア先生に渡してきたよ」
「ど、どうでしたでしょうか? あんな絵でも問題ありませんでしたか? なるべくわかりやすく描いたつもりですけど」
謙遜けんそんしないでくれ。エンティア先生も『素晴らしくわかりやすい絵だ』って喜んでたよ」
「よかったぁ。絵の描き方は昔、お父さんから教えてもらったんですけど、最近はなかなか描く機会もなくて久々でしたから」

 バタラのお父さんか。
 そういえば前に家を訪ねた時はお母さんしかいなかったな。
 個人の家庭事情をあれこれ聞くのはよくないだろうし、質問はしないが……
 その時、バタラが尋ねてくる。

「でも、本当によかったのですか?」
「何がだい?」
「あんな高級なノートと鉛筆をいただいてしまって」

 ああ、そのことか。
 先日、僕は彼女にバードライ家から持ち出してきたノートと鉛筆をプレゼントしたのだ。僕の代わりに魔獣の絵を描いてくれたお礼としてであり、他意はない。
 確かにバタラの言う通り、貴族用だからノートと鉛筆といっても一般に出回っているものより高価ではある。
 とはいえ余らせていたものだから、バタラが恐縮する必要はない。
 ちなみに、バードライ家から持ってきたのは十数冊程度。
 いずれ使い切ったら、買い足さないとな。

「大丈夫さ。うちにはまだ何冊かあるし、なくなったらタージェルに頼んで買ってきてもらえばいいだけだから」

 バタラが遠慮してしまわないよう、僕は明るく言った。

「……わかりました。大事にしますね」
「大事にといっても、ノートや鉛筆は使わなきゃ意味がないからどんどん使ってほしい。それに、僕もバタラの絵をもっと見たいしね」
「私の絵を……ですか」

 バタラはしばらく黙り込み、やがて意を決したように顔を上げると僕の手を取る。

「じゃ、じゃあ……もし今からお時間がありましたら、私の絵のモ……モデルになってもらえませんか!? ノートと鉛筆を今から持ってくるので!」
「え? かまわないけど……僕なんかでいいの?」
「はいっ。むしろシアン様がいいんですっ!」

 そう言ってぎゅっと手を握ってくる彼女の握力はかなり強く、僕は少し驚いた。
 もしかしたら、バタラは僕より力が強いのではなかろうか。

「わ、わかった。それじゃあ泉への注水が終わってからでいいかな?」
「もちろんです。じゃあ注ぎ終わったら、あそこのベンチで待っていてください」

 バタラは泉の近くにあるベンチを指さした。

「あそこで描くの?」
「シアン様のお姿はオアシスの泉を背景に描くのが一番合ってると私は思うんです」
「そ、そうなのかな。よくわからないけど」
「それじゃあ私、急いでノートと鉛筆を持ってきますね」

 元気よく走り去っていくバタラの背中を、僕は少し痛む手を振りながら見送る。
 そして僕はコップを出現させ、泉の岸に向かった。

「さて。バタラが戻ってくるまで、今日も魔力切れを起こさない程度に頑張るぞ」

 先ほどまでは落ち込んでいたけれど、不思議と今の僕は晴れやかな気分になっていたのだった。


     ◇     ◇     ◇


「も、もういいかな?」
「まだだめです。もう少しそのまま……あっ、顔も動かさないでください」
「モデルって結構大変だな。屋敷にいた頃に肖像画しょうぞうがを描いてもらったことがあったけど、その時も肩が凝ったのを思い出すよ」

 僕は今バタラの絵のモデルとして、彼女に指示されたポーズを長時間にわたって維持していた。
 ベンチに座って、立てた右膝に右肘で頬杖をつく。シンプルなポーズであったが、長時間維持するのはきつい。

「……」

 バタラは僕のプレゼントしたノートと鉛筆を使い、少し描いては僕を見て、視線を戻してまた何かを描くということをかなりの時間繰り返している。
 僕も疲れてきたが、彼女はもっと大変だろう。
 僕のいる位置は日陰なので、まだいい。
 一方、バタラは日向ひなたに座り込んで描いている。褐色かっしょくの額からは滝のように汗がしたたり落ち、地面に大きな染みを作っていた。
 いくら彼女がこの地の気候に慣れているとはいえ、さすがに限界も近いだろう。
 集中力は途切れていないようだが、このままでは熱や脱水症状で倒れてしまうかもしれない。

「バタラ。そろそろ一度休憩を取ろう」
「……もう少しだけ」
「いや、これ以上無茶したら絵を描くどころじゃなくなるよ」

 僕はバタラの返答に首を横に振って立ち上がり、彼女のそばに歩み寄ってその手を取る。
 そしてそのまま、日陰のベンチへ連れていって座らせた。
 僕はスキルボードからラファムのれたものを複製した【紅茶】を選択し、【コップ】の中を満たして彼女の正面に差し出す。

「とりあえず飲んで」

 本当は【水】の方がいいのかもしれないが、ラファムの紅茶には疲労を回復させる様々な成分が含まれている。
 そのため、今のバタラにはこちらの方がいいと判断して【紅茶】を選択したのだ。
 バタラは差し出された【コップ】を見て、オロオロとしだす。

「えっ、でも……直接口をつけてしまってもいいんでしょうか?」
「今日はティーカップを持ってきてないから、申し訳ないけど我慢してほしい。それとも、やっぱり嫌かな?」
「嫌じゃありません! で、ではいただきますっ」

 がしっと、相変わらず強い力でバタラは僕の手ごと【コップ】を握った。
 そのまま、ゆっくりと紅茶を飲む。

「はぁ、生き返りました」
「平気かい?」
「はい。知らないうちに私、かなり消耗していたんですね……ありがとうございます」

 バタラはそう言って、【コップ】から手を放して額の汗をぬぐう。
 彼女の横に僕も座ると、今度は自分の口にコップを持っていく。

「じゃあ僕も一息入れさせてもらうよ」
「あっ」

 バタラが僕の方を見て小さく声を上げた。
 何かと思ってちらっと見たが、固まって何も言わなかったので、僕はそのままコップに口をつけ魔力を流し込み、一気に【紅茶】を飲み干す。
 自分の魔力で出したものを自分で飲むというのは不思議な気分だなと思っていると、バタラが顔を赤くして口をパクパクさせていた。
 やはり、かなり体に熱が溜まっていたのかもしれないな。
 もう少し早く休憩を入れるべきだった。
 今日はこの辺にして帰らせるべきだろうか。
 僕はそう考えて彼女に声をかけた。


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