水しか出ない神具【コップ】を授かった僕は、不毛の領地で好きに生きる事にしました

長尾 隆生

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4巻

4-1

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 第一章 魔晶石ましょうせきと女神像と


 僕、シアン=バードライは女神様から水しか出ない神具【コップ】を授かり、実家の大貴族家に見放されて不毛の領地、エリモス領に追放されてしまった。
 失意のなかにいた僕だったが、領民たちの笑顔を守るため、癖はあるけど有能な家臣たちと共に不毛の大地に恵みを取り戻すことを決意する。
 魔獣まじゅうシーヴァやドワーフ、そして伝説の種族である大エルフも仲間に加え、僕たちは砂漠の領地を緑溢れる地にするために様々な計画を進めていった。
 そして根本的な水不足を解決するべく、大陸を二つにく巨大な渓谷けいこくぬしであるセーニャに会いに行き、彼女の力を借りて水源を取り戻すことに成功したのだった。
 その後町へ帰った僕は、待ち構えていた元婚約者のヘレンやモーティナ師匠に驚きながらも、この領地に住む人々を幸せにするため新たな計画を考え続けている。


     ◇     ◇     ◇


「というわけで、久々にシーヴァのダンジョンにやってきたわけだが」

 僕は現在、僕の婚約者であるヘレンとハーフドワーフで家臣のルゴス、数人のドワーフやデゼルトの町民たちと共に、魔獣シーヴァが作ったダンジョンを訪れていた。

「何が『というわけで』なのかまったくわかりませんわ」

 ヘレンが呆れたような視線を向けてくるが、気にしない。
 今日、僕たちがダンジョンにやってきた理由。それは獣人じゅうじん族の結婚式と町娘であるバタラの成人のに使う、新しい女神像の素材を集めるためだ。

「そういえば大渓谷の帰り道から、シーヴァの姿を見ていないな」

 僕はふと思い出し、そうつぶやいた。
 大渓谷の主であるセーニャを訪ねて帰る途中、デゼルトの町が見える頃までは一緒にいたはずなのだが。もしかすると僕たちと町に向かわず、直接このダンジョンに向かったのかもしれない。
 なんせデゼルトに着いてからは、突然やってきたヘレンや僕の恩師であるモーティナ師匠のことでいっぱいいっぱいだったから、シーヴァのことを考えている余裕がなかった。

「それで、シーヴァさんは本当にこんなところにいらっしゃるのですか?」

 ヘレンはそう言いながら周りを見回し首を傾げる。
 本来のシーヴァは恐ろしい姿をした強力な魔獣だが、町の人たちに可愛がってもらうため、デゼルトではデザートドッグという動物のふりをしている。僕を待っている間、町のみんなからシーヴァの話を聞いていたヘレンも、例外なく彼をデザートドッグだと思っているはずだ。
 そんな子犬のような可愛らしいシーヴァが、この危険なダンジョンにいることが信じられなくても仕方がない。

「ここがシーヴァの育った場所だからね。たまにふらっと帰っちゃうんだよ。だから今回もここにいるとは思うんだけど……」

 僕はヘレンに彼の正体が悟られないよう、苦しまぎれの嘘をついた。

「そうなのですね。小さくても魔獣ですから、やはり普通の子犬とは違うのですわね」

 ヘレンは、少し疑問に思いながらも納得してくれたようである。
 お嬢様育ちで、あまり外の世界を知らないことが幸いしたようだ。
 僕はシーヴァととある約束を交わしている。それは、女性には絶対に彼の正体を明かさないというものである。なぜ、彼がデゼルトの町でそこまでして自分の正体をひた隠しにしているのかというと、結局のところ女の子にチヤホヤしてほしいからに他ならない。

「ただ単に女の子たちにナデナデしてもらいたいだけなんだろうなぁ」

 思わずそう声に出すと、隣にいたヘレンが恥ずかしそうに答えた。

「シアン様……もしかして私にナデナデしてほしいですの? そ、それでしたら今から膝枕ひざまくらをして……」

 僕の呟きの一部を聞いて勘違いしたのか、ヘレンは顔を赤らめてもじもじしながら、ほおに手を当てている。ヘレンの申し出は嬉しくないわけではないけれど、今この場には僕と彼女だけではなく、ルゴスやドワーフのティンとタッシュ、そして狩りのためにやってきた数人の町人がいる。
 この衆人環視しゅうじんかんしの中では、さすがにうなずくわけにはいかない。
 一部の者たちは、露骨ろこつにこちらから目をそらして気をかせているつもりらしい。
 よけいな気遣きづかいである。

「いや、ほら今はみんなが見てるから。それにでてほしがっているっていうのはシーヴァだよ」
「では屋敷でならよいのですね?」
「いやいやいやいや、そういう意味じゃなくて」

 周りからの視線に耐えながら、彼女の勘違いを正すためにシーヴァの習性について説明する。
 その間も後ろからはやし立てるような声が聞こえてくる。
 全員わかっていて、面白半分にあおっているのだからたちが悪い。先頭になってからかいの声を上げているのはルゴスだ。僕はその一団に目を向けると、大きな声で彼の名を呼んだ。

「ルゴス!」
「なんですかいぼっちゃん。我々は少し席を外した方がいいですかね?」
「ルゴスは今回の仕事のあとの打ち上げで飲酒禁止だ」
「そりゃないですぜ坊ちゃん」

 ハーフドワーフで酒好きの彼は、その一言に目に見えて狼狽ろうばいする。

「禁止されたくなかったら、さっさと女神像の素材を集める準備をするように」

 すでに馬車から必要な機材は降ろしてある。あとはそれを所定の位置に持っていけば準備完了だ。

「用意ができ次第、すぐにでもシーヴァのところに行くからね」

 その言葉を聞いて、ルゴスは慌ててダンジョンの入り口近くに仕事道具を持って走っていく。
 そのあとをドワーフたちと数人の町人が追いかけた。
 僕がこの地にやってきたのは、いつまでもデゼルトに帰ってこないシーヴァを探すためではなく、ここでしか手に入らない素材を入手するため。女神像の素材のうち、デゼルトの町周辺や、タージェルを通した交易こうえきでは、どうしても手に入らないものがある。
 かつて僕が、実際に会った女神様をしてルゴスに作ってもらった『本物の女神像』は、確かに素晴らしい出来ではあったが、あれと同じものでは成人の儀には使えない。
 なぜなら――

「特殊な素材が必要なんですの?」

 僕の説明に対し、ヘレンが不思議そうに首をかしげる。

「うん。僕たちが成人の儀の時に祈りをささげた特別な女神像があったろ」
「王都の『大聖堂だいせいどう』にある女神像ですわね。確かに他のものとは違うように感じましたけれど」
「あれはね。実は国中にある『偽物の女神像』とは違う素材で作られているんだ」
「それは気がつきませんでしたわ」
「わからなくても仕方ないよ。僕も王都の図書館にある、王族と大貴族のみが閲覧えつらんできる書物で偶然知ったんだけどね」

 あの頃の僕は大貴族家の跡取りとして、書庫の本を読むことができる権利を持っていた。
 追放され辺境の地の領主となった今では、書庫どころか王立図書館すら門前払いされるかもしれないけれど。厳重に管理されていた書庫には、世には出回らない様々な記録が残されていた。

「そんな場所があることすら私は知りませんでしたわ」
「だろうね。僕も父上に教えてもらうまで存在を知らなかったから」
「お父様が……それでその書物にはなんと?」

 僕はその時の記憶を思い出しながら、儀式の間にある女神像に使われている特殊な素材についての記述を教えた。

「成人の儀で使用する女神像は、普通の石膏せっこうや木材じゃなく、今では王国内で採ることができないによって作られていると書かれてたんだ」
「そんな特殊な素材がこのダンジョンにはあると?」
「ああ、むしろ今じゃここにしかないんじゃないかな。なぜならそれは大型の魔獣から採らないといけないからね」
「大型の魔獣から?」

 この国ではかつて、魔獣の大討伐が行われ、大型の魔獣は王国内から一掃いっそうされてしまった。
 しかし、例外が存在する。それがこのダンジョンの最下層だ。
 シーヴァが言うことには、このダンジョンのコアには龍玉りゅうぎょくが使われていて、最下層にある彼の部屋に置かれているという。
 大渓谷の主であるセーニャが、自らの暴走を食い止めるために吐き出した魔素のかたまり、龍玉。それは常に周囲に魔力を放出している。ダンジョンには、その魔力にひかれてみついた魔獣や、漏れ出した魔力によって生み出された魔獣が多く存在するらしい。
 そして下層に行けば行くほど魔力は濃くなり、棲みつく魔獣も大きく、屈強くっきょうなものになる。
 強力な大型魔獣が数多く棲息せいそくしているこのダンジョンの最下層は、まさに今回僕たちが手に入れたい素材を集めるのにうってつけの場所というわけだ。

「その大型の魔獣から採らないといけない素材って一体なんですの?」

 僕の説明にしびれを切らしたヘレンが先をうながすように問いかける。

「ヘレンも聞いたことはあるはずさ――『魔晶石』という名前をね」

 僕はヘレンの質問にそう答えた。
 魔晶石。それは魔獣のような、主に魔素まそをエネルギーとする魔生物ませいぶつの体内で作り出される結晶体である。
 この世界には、魔力のみなもととなる魔素という目に見えない物質が空気中に存在している。
 魔晶石は全ての魔生物の体内にあり、空気中の魔素を体内で結晶化し蓄積することで、本来であれば霧散むさんしてしまう魔素を長期間保存することができる。
 魔生物はそれを少しずつ使用することで、魔法を発動させているのだ。
 書物によると、魔晶石についてこのように書かれているが、実際のところそのメカニズムはよくわかっていない。魔生物の研究は危険性が高く、王国でもほとんど進んでいなかった。
 さらに、大討伐によって国内の大型魔獣がほとんど狩り尽くされてしまったため、現在では研究が止まってしまっている。魔晶石について知ろうにも、今となっては過去の調査で得られた結果を元に推測するしかない状況だ。
 魔晶石がなぜ大型の魔獣からしか採取できないのかは、簡単な話だ。通常、小型の魔生物は少量の魔晶石しか体内に持てない。更に、魔晶石は魔獣の体内から取り出され空気にれると元の魔素に戻っていってしまうため、少量の魔晶石だと、加工する前に全て魔素に戻ってしまうのだ。そういうわけで、女神像が作れるほどの大きさの結晶を手に入れようとすると、ある程度大きな魔獣を討伐する必要がある。
 そのままでは空中に霧散してしまう魔晶石だが、適切な処理をすれば大気中に溶ける前に保管することができる。その保管方法も、書庫の奥で読んだ女神像製作秘話に書かれていた。

「坊ちゃん、準備ができましたぜ」

 ダンジョンの入り口近くから、大きな声でルゴスが僕を呼ぶ声が聞こえてきた。
 少し息切れしているのは、僕がかしたせいだろうか。
 ドワーフの血を引く彼にとって、やはり禁酒は絶対に避けたいことだったのだろう。

「すぐ行くよ」
「それでは、私もお供します」
「いや、この先は危険だからヘレンは地上で待っていてくれないか」

 前回シーヴァに初めて会いに行った時はダンジョンに穴を開け、最下層まで一気に降りることができた。だが今回も上手くいくとは限らない。最悪、下降中に強力な魔獣と戦うことになるかもしれないのだ。そんな危険な場所に、ヘレンを連れていくことはできない。

「あら。私、シアン様より強いですわよ」
「……確かに君が女神様から授かった力は、僕よりも戦闘向きかもしれないけど」

 ヘレンが女神様から与えられた加護【螺旋らせん】は、風の力を操り、小さなうずを空気中に作ることができる。でも僕の記憶にある彼女の能力は、近くにいる人の足元をからって転ばせる程度の威力しかなかったはずだ。

「自分の身くらい自分で守れますわ。それに、この土地に来てからというもの、なぜか女神様からいただいた力が強くなっていますの」
「力が強く?」
「ええ。今までも女神様からいただいた加護は、私の成長と共に少しずつ強くはなっていたのですけれど」

 そう言って、ヘレンはしなやかな指をゆっくりと前方の地面に差し向ける。

「見ていてくださいまし」

 彼女がそう口にすると、地面の砂が舞い上がり、渦を創り出した。
 渦は徐々に大きくなり、やがて上に向かって円錐状えんすいじょう竜巻たつまきと化した。
 僕の知る限り、彼女の【螺旋】はこれほど強力ではなかったはずだ。

「確かに昔とは見違えるようだね」
「でしょう? 更にこうすれば」

 ヘレンは指先を僕の足元に向け、「えいっ」と可愛らしいかけ声をあげた。

「うわっ」

 彼女のかけ声に合わせるように、僕の足元から砂が螺旋状に巻き上がる――

「ぐっ……なんだこれ。動けない」

 砂の渦は一瞬で僕を包み込み、そのまま拘束するように身体を締め上げた。

「シアン様が戻ってくるまでの間にみ出した技です。命名するとすれば【拘束螺旋こうそくらせん】ですわね」

 足元を搦め捕る程度だった力が、しばらく会わないうちにここまでになっていたとは。
 ヘレンが先ほど言ったことが本当ならば、この地にやってきてから加護の力は更に強まったらしいけれど、一体どういうことなのだろうか。

「君の力はわかったから、もうそろそろこの拘束を解いてくれないか」

 ヘレンの【拘束螺旋】は動きを封じるだけでなく、回転が常に加えられているため地味に痛い。この状態を延々と続けられたら、最悪の場合服が破れ皮膚ひふが裂けてしまうだろう。

「あら。ごめんなさい。それでどうです? 私も一緒に連れていってくださいますわよね?」
「いやそれは……って、ぐっ。ちょっと今締めつけをきつくしなかった?」
「あら、ごめんなさい。つい力が入ってしまったようですわ」

 絶対わざとだ。だけど、どうして彼女はそこまでしてついてきたがるのだろう。
 このダンジョンへ来る時に、バタラやラファムたちと一緒に町で待っていてくれと頼んだが、無理やり押し切られる形で同行を許すことになった。
 結婚式と成人の儀の準備があるからその手伝いをお願いしようとも思ったのだが、なぜかラファムとバタラにまでヘレンを連れていくようにと説得されたのだ。
 砂上馬蹄さじょうばていと馬車用の砂上車輪さじょうしゃりんが完成していたおかげで、道中は今までより格段に楽になったし、早く到着することができたものの、馬車の乗り心地は悪く、お嬢様育ちのヘレンにとってはかなりつらかったはずである。現に時々「お尻が痛いですわ」と呟いて、座る場所を変えたり、ラファムからもらった特製クッションを何重にも敷いたりして過ごしていたわけで。
 僕は改めて、ヘレンがここまで意固地いこじになる理由を問うことにした。

「ヘレン。君はどうして今回の危険な素材回収にそこまでこだわるんだ?」
「……それは……」
「バタラたちに根回しまでしてさ。そこまでする理由があったんだろ? それを教えてくれないか?」

 僕が問いかけると、なぜか彼女は急に頬を染め、もじもじと僕から視線をそらす。
 彼女の心情に反応してか、僕の体を拘束していた螺旋の渦が不安定になり消えた。

「ふぅ、助かった。それでヘレン、理由は教えてもらえないのかな?」
「……ですわ」
「えっ?」
「シアン様と一緒にいたかったからですわ」
「そんなの、大渓谷から帰ってきてからずっと一緒にいたじゃないか」

 僕と一緒にいたいと思ってくれていることは、素直に嬉しい。
 けれど、こんな危険な場所にまで同行したがる理由としては弱い気がする。

「そういうことではございません」

 ヘレンは意を決したように語りだした。

「私、あのデゼルトの町でシアン様が帰ってくるまでの間、バタラさんやラファムさん、そして町の皆さんに色々とシアン様の話を聞いて回ったのです。そして、あることに気がついたのです」
「何に気がついたんだい?」
「私は皆さんと比べ、シアン様との思い出があまりに少ないということにです」

 思い返せば、確かに僕とヘレンが直接会ったことは今までほとんどなかった。
 貴族同士の許嫁いいなずけというのは、結婚するその時までほとんど顔を合わせることがないのが王国の通例である。僕とヘレンが続けていた文通ですら、こんなに頻繁ひんぱんに連絡を取り合う貴族はいないと、ラファムにからかわれたくらいだ。だから、今まで彼女と過ごす時間が短いのを疑問に思ったことはなかった。だが、そうか。
 僕はこの町に来てバタラと出会い、町の人々や家臣団のみんなと多くの時間を過ごした。楽しいことも苦しいことも、その時間の中でたくさんの思い出が積み重なり、かけがえのないものとなっている。
 彼らの『思い出話』を聞いたヘレンは、自分にはそのような積み重ねがないと思ったのだろう。
 バタラやラファムに自身の悩みを相談し、彼女たちの後押しを受けて今回の強行となったわけだ。
 バタラたちが心配すると思って、魔晶石を手に入れるためとしか伝えてなかったのが失敗だった。
 ダンジョンの最下層まで降りるだけでなく、そこに棲む強力な魔獣を倒しにいくなんて言ったら、彼女たちは僕の身を案じて大騒ぎしただろう。
 この前ダンジョンを訪れた時はまったく危険はなかったから、観光旅行程度に思ったのかも。
 それでもどうしてもついてくると聞かないヘレンを連れてきたのは、さすがに暗く深いダンジョンの中まではついてこないと思ったからだ。
 この地で育ちダンジョンに親しみのあるバタラや、何が起きても顔色一つ変えないラファムならまだしも、お嬢様であるヘレンは危険なダンジョンを怖がるだろうとんでいた。
 しかし、その読みは甘かったようだ。まさか彼女が、ここまで食い下がるなんて。
 ヘレンをこの場所に無理矢理置いていくことはできる。けれどそれは、これほどまでに僕への想いをぶつけてくれた彼女に心の傷を残してしまうかもしれない。
 僕は、少し離れたところで狩りの準備をしている町民たちと、下手に口出しできず困っているルゴス、そしてダンジョンの入り口で待っている二人のドワーフを見て、視線をヘレンに戻した。

「わかったよ。だけどこれだけは約束してほしい。地下に入ったら僕の指示を絶対に守ること。そして僕が危険だと判断したら君だけでも強制的に地上に戻す。いいね」

 僕の言葉に無言で頷き、ヘレンは泣き笑いのような表情を浮かべる。
 僕は彼女の手をそっと握った。

「それじゃあ二人の思い出を作りにいこうか。これからたくさん一緒に時間を過ごして、これまでの分を取り返そう。今日は記念すべき、その第一歩だ」
「はい」

 ヘレンの手を優しく引っ張り、ルゴスたちが待っている場所に走りだす。

「ルゴス、早速始めよう!」

 僕の合図に頷き、ドワーフたちが最初にシーヴァの部屋へ行った時と同じように、地面に手をつける。ここから最下層まで穴を開け、一直線に下降する。

「また怒られるかもしれないけど。他に方法はないからね」

 僕はシーヴァに内心で謝りながら、手の中に【コップ】を出現させる。

「それじゃあ作戦開始だ!」

 そしてルゴスやドワーフたち、僕の手を握りしめたままのヘレンに向かって、そう宣言したのだった。

    
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