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徹底的にやります
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フォルスト辺境伯領に帰り着いた私は、早速王国軍を迎え撃つ準備を始めました。
といっても既にイザベルたちによってあの出来事がお父様に届いていたらしく、私がすることはほとんどございませんでした。
本当に手際が良すぎて私のやることが減って困ってしまいますわね。
「それではお父様、行ってまいります」
「ああ、好きにしろ。後の事は私たち大人がなんとかする」
お父様はそう微笑むと、机の上に広げられた書類を指先で叩きます。
その書類にはこの国をずっと外敵から守ってきた四大辺境伯全ての血判が押されていました。
さすがお父様。
イザベルたちを鍛えた本人だけはありますわね。
「我々と民が命をかけて長い間国を守ってきたというのに、中央の奴らはそれに全く報いようとはせず私腹を肥やし続けてきた」
四大辺境伯だけでは無く、中央に搾取されるだけの中小貴族たち。
彼らの訴えは王族にも届いていたはず。
でも彼らの取った行動はその是正ではなく、力を持った貴族の娘を人質の様に差し出せという命令でした。
私のように王子の婚約者にさせられた者はまだマシで。
中小の貴族の娘たちは、王都で私腹を肥やす商人や諸侯に強制的に嫁がされたりもしていたのです。
「徹底的にやってもよろしいのですわよね?」
扇で口元の笑みを隠すように私がそう尋ねると、お父様は静かに頷きました。
「ではお任せくださいまし」
『領主の許可』が出た所で私はお父様の執務室を後にします。
「イザベル」
「はい」
部屋を出て廊下を歩いていると、いつの間にかイザベルが私の後ろをついてきていました。
私ですら油断していると彼女の気配に気がつかないこともあります。
もし彼女が私の暗殺計画に関わっていれば、すでに私の命は無かったことでしょう。
「お父様から許可が出ましたわ」
「それでは」
「ええ、徹底的にやりますわよ」
「ですが、王国軍は無理やり徴収された民がほとんどです」
「わかってますわ。きちんと区別して潰しますから」
私はそうイザベルに告げると、出陣の準備をするために侍女たちが待つ私専用のドレッサールームに向かうのでした。
といっても既にイザベルたちによってあの出来事がお父様に届いていたらしく、私がすることはほとんどございませんでした。
本当に手際が良すぎて私のやることが減って困ってしまいますわね。
「それではお父様、行ってまいります」
「ああ、好きにしろ。後の事は私たち大人がなんとかする」
お父様はそう微笑むと、机の上に広げられた書類を指先で叩きます。
その書類にはこの国をずっと外敵から守ってきた四大辺境伯全ての血判が押されていました。
さすがお父様。
イザベルたちを鍛えた本人だけはありますわね。
「我々と民が命をかけて長い間国を守ってきたというのに、中央の奴らはそれに全く報いようとはせず私腹を肥やし続けてきた」
四大辺境伯だけでは無く、中央に搾取されるだけの中小貴族たち。
彼らの訴えは王族にも届いていたはず。
でも彼らの取った行動はその是正ではなく、力を持った貴族の娘を人質の様に差し出せという命令でした。
私のように王子の婚約者にさせられた者はまだマシで。
中小の貴族の娘たちは、王都で私腹を肥やす商人や諸侯に強制的に嫁がされたりもしていたのです。
「徹底的にやってもよろしいのですわよね?」
扇で口元の笑みを隠すように私がそう尋ねると、お父様は静かに頷きました。
「ではお任せくださいまし」
『領主の許可』が出た所で私はお父様の執務室を後にします。
「イザベル」
「はい」
部屋を出て廊下を歩いていると、いつの間にかイザベルが私の後ろをついてきていました。
私ですら油断していると彼女の気配に気がつかないこともあります。
もし彼女が私の暗殺計画に関わっていれば、すでに私の命は無かったことでしょう。
「お父様から許可が出ましたわ」
「それでは」
「ええ、徹底的にやりますわよ」
「ですが、王国軍は無理やり徴収された民がほとんどです」
「わかってますわ。きちんと区別して潰しますから」
私はそうイザベルに告げると、出陣の準備をするために侍女たちが待つ私専用のドレッサールームに向かうのでした。
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