とある少女の日常 ー朝議薫子の場合ー

如月圭

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 私が五、六時限の授業を終えた頃に、修一君からラインがあった。

 『四時頃に学校に、着きますので、旧図書館で待っていて下さい』

 という内容で、私は、

 『わかったよ』

 と返信して、旧図書館に向かった。

 

 私が旧図書館で本を読んでいた。一方で、修一君は、バスに乗り、

 (もうすぐ学校ですね)

 と思いながら、生八ツ橋が入っている袋を見て、顔が緩んだるんだ。

 (早く会って、話がしたいです)

 考えながら、いると、バスが学校の校門まで着く、修一君は、バスの荷物置きから自分の荷物を持つと、足早に校門から森の方面へ走り出し、けもの道をズンズン進んで行く。旧図書館が見えると、

 (もう少し、もう少しです)

 そう思いながら、旧図書館のドアに手をかけた。




 私は、ドアのギィーという音がしたので、その方向を見るとドアの前に修一君が立っていた。私は、微笑み、

 「お帰り修一君」

 と言った。修一君は、どこかホッとしたように、

 「はい……ただいま戻りました」

 と言う。私が不思議そうに、

 「修一君?どうしたの?」

 問うと、

 「いえ、薫子さんに会ったら少しホッとして、……薫子さん、お土産に生八ツ橋を買ってきました!」

 と生八ツ橋の入った袋を見せた。

 「うん、ありがとう!修一君」

 私は、差し出された袋を受け取り、お礼を言った。

 「あのッ!……」

 修一君が、何か言いたそうにしていたので、

 「何?」

 と聞く、すると、修一君は苦笑して、

 「いえ、薫子さんに伝えなくてはいけないことが、多くありましたが、全部吹き飛んでしまいました」

 と頭をかいた。

 「そっか、じゃあ、思い出したら教えてね。修一君、修学旅行どうだった?」

 私がそう聞くと、修一君は、ドヨンとした顔をして、

 「はい、色々見たのですが楽しくなかったです」

 と私に報告した。

 「どうして楽しくなかったの?普通、楽しかったって言わない?」

 疑問をぶつけると、

 「色々ありまして……」

 とさらに、ドヨンとした顔になった。

 「色々か……。私には、言えない話?」

 と持っていた本を机の上に置いた。

  「わかりません」

 と不安そうに、私を見る修一君に、こう提案した。

 「よし、じゃあ、生八ツ橋食べよう」

 修一君は驚いて、

 「今ですか?」

 私に聞く、

 「うん、今!……とにかく精神的に辛いなら、少しホッと出来る時間も大切かなって、お茶はないけど、まぁ、いっか。食べよう」

 そう言って、私は、修一君から貰った生八ツ橋の、箱の包装紙を取って、箱を開く、私が修一君に生八ツ橋を取るように、箱の中に付いていた、楊枝を渡すと、修一君は楊枝に、生八ツ橋をさした。それを見て、私も生八ツ橋を楊枝でさして、

 「「いただきます」」

 をして、一口食べた。私が修一君の方を見ると、彼も私の方を見ていたので、自然に目が合う、私は、

 「美味しいね、生八ツ橋、買ってきてくれて、ありがとう、ほら、修一君、もっと食べて!辛い時は甘い物だよ!」

 と笑った。修一君は、二個目を食べてから、

 「薫子さん、僕が居ない間、どうしてたんですか?」

 と口にした。私は、

 「何時も通りだよ!でも、つまらなかった。修一君、全然、電話もラインも、して来ないんだもん。てっきり、修学旅行が楽しくて、私のことなんか忘れてるのかなと思ったよ」

 正直な感想を話した。修一君は少し笑い、

 「僕も薫子さんと一緒の方が楽しいです」

 と三つ目の生八ツ橋を食べる。

 「そっか、私も、修一君と一緒の方が楽しいよ。さて、八つ橋も食べた事だし、帰ろう、家に人も心配するんじゃないの?」

 と生八ツ橋の残骸を袋に詰めると、

 「大丈夫です!薫子さん、あのッ…一緒に帰りませんか?」

 誘われた。私は、

 「うん、元々そのつもりだった」

 ニヤリッとした顔で、修一君の顔を見ると、彼は嬉しそうに、

 「そうですか、良かったです」

 と自分の荷物を持った。

 「じゃあ、帰ろう……っと待った!チョビ達にエサと水、与えてない」

 急いで、キャットフードと水を与えて、私達は、けもの道を戻って行った。修一君の顔色は、来た時よりも、大分、明るくなっていた。

 

 
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