とある伯爵の憂鬱

如月圭

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 アイリーン王女がジルに会いに近衛騎士の暮らす、寄宿舎に侍女を伴って来た。アイリーン王女に近衛騎士達は、動揺していた。アイリーン王女に何かあっては、自分達の首が飛ぶ。騎士達は急いで副団長の部屋に行き、ジルを呼んだ。ジルは、マリアに送る手紙と花を用意している途中で、邪魔されたと思い、不機嫌そうに扉を開いた。

 「何かあったのか?」

 と部下達に聞くと、話し難そうに、部下の一人が、

 「副団長!アイリーン王女殿下がいらしたようですが……、どうされますか?」

 とジルに聞く、ジルは疲れたような顔で、

 「王女殿下には、今忙しいので、後から参りますと伝えてくれ」

 と言って、扉を閉めると、マリアに宛てた手紙と花を用意して、マリアに送るように自分の従者にそれを渡した。従者のノアは、

 「任せて下さい!必ずマリア様にお渡しします!」

 と言って、近衛騎士の暮らす、寄宿舎を出ていった。ジルは面倒だと思いながら、アイリーン王女の居る、寄宿舎の玄関に行った。すると、アイリーン王女はジルを見つけると、ジルに抱きついた。ジルは笑顔でアイリーン王女を自分から離すと、

 「王女殿下、どうされたのですか?ここへは、来てはいけないと、何度も、申し上げたではありませんか!ここは男所帯です。何かあってからでは遅いのですよ!」

 と言った。アイリーン王女は、嬉しそうな顔をして、

 「ジル、お父様に言って、スチュワート伯爵家との縁談を断れそうよ!そうしたら、私と婚約出来るわよ!嬉しいでしょう?あんな……」

 「今、何と仰いました?マリアとの婚約を解消する?」

 ジルは真顔でアイリーン王女をに言った。アイリーン王女は喜んでいるのは、自分だけだと気づかずに、ジルに、

 「そうよ!あんな平凡な女にジルは勿体ないのよ!私と結婚して、コーナー伯爵家を盛り上げて行きましょうね!」

 とジルの顔を見ると、ジルは笑ってはいなかった。アイリーン王女は、不思議に思いながら、

 「ジル?安心して頂戴、スチュワート伯爵家なんかに大きな顔はさせないわ!お父様の命令に従わなかったら、不敬罪で処刑してしまえば良いのよ!」

 と残酷な事を笑顔で言う、アイリーン王女にジルは怒りが湧き、冷たい目で、

 「アイリーン王女殿下、私の……、コーナー伯爵家を継ぐのは、弟のビーバーです。私はスチュワート伯爵家に、婿入りをして、マリアの仕事を手伝いながら、暮らして行くのです。私には、爵位が無くなるのです。それでも、貴方様は、私との結婚を望まれるのですか?」

 とアイリーン王女を睨む、アイリーン王女は、ジルの言っている意味がわからず、

 「爵位なら、私が降嫁したら、侯爵に昇格するのよ!お父様がそう仰っていたわ!」

 と言っていた。ジルは話にならないと思いながら、アイリーン王女を構わず、陛下に会いに王宮の玉座の間へ行く前に、上司のサンガー公爵に、この話を通すと、サンガー公爵はカラカラと笑いながら、

 「いつか、こんな事になるんじゃないかと 思っていたが、陛下もアイリーン王女殿下が可愛いのだな。だが、いくら可愛い娘でも、して良い事と、悪い事がある。わかった、ジル。陛下には、私から、話を通そう!直ぐに謁見の約束を取る。行くか?ジル?」

 という上司に、

 「はい、お願いします。団長」

 と言って、団長について行った。

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