とある伯爵の憂鬱

如月圭

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 その頃、マリアの所に来たノアは、ジルの代わりに、マリアへ手紙と花束を渡していた。マリアは嬉しそうに、手紙を見ると、

 『サンドイッチが美味しかった。ありがとうマリア、愛している』

 という文面に、顔を赤らめて、返事を書いた。

 『マフィンを差し入れますので、食べて下さいね。私も愛していますわ、お体に気を付けてお仕事を頑張って下さいませ』

 と言うような内容の手紙とマフィンをラッピングした袋を、返事を待っているノアに渡すと、マリアは、ノアにマフィンを持たせて、

 「いつもありがとう。ノア、どうか気を付けて」

 と父には内緒の文通に毎回、ドキドキした気持ちでいるマリアに、アーシャは、

 「お嬢様は、何時までも初々しいですわね。ノア!しっかりと伯爵にお渡しして下さいね」

と言ってノアを見送った。

 ノアが帰ってきた頃には、夜も遅く、ジルも疲れていた。ジルがベットに横になっていると、ノアが、

 「ジル様マリア嬢からの返答と差し入れです。マフィンを焼いたそうで、私にも下さいました。とても美味しいですよ!」

 と明るく振る舞うと、ジルは、

 「そうか、ありがとうノア。私も頂こう」

 そう言って、マリアの手紙の返事を読みながら、マフィンを一口食べた。愛してるという言葉に嬉しく思いながら、美味しいマフィンで機嫌も良くなり、明日も頑張ろうと思って、入浴を済ませて、眠りに就いた。

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