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第四章 蠢く闇を打ち砕け
第48話 謎めいた女神の加護
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「なんだって!」
——ザックの仇。
イリーナの口から出た言葉を聞き、背筋に悪寒が走った。
ザックが死んだ? 一週間前には元気に笑っていたあいつが?
いや、冒険者の仕事に危険がつきまとうことは、頭では分かっている。
俺もここに来るまで、ザックが命を落とす事態を想定してなかったわでじゃない。だがイリーナから発せられた生々しい言葉は、俺を動揺させた。
「エイジ、危ない!」
俺の耳をジールの金切り声が打つ。
ハッと我に返ると、禿頭の男が少し離れた場所から、両手を俺のほうに向けている。しまった、武器を破壊したので油断していた!
「〈我が神よ。御身の忠実なる僕、翼ある蛇の力を貸したまえ。我、その力もて、御身に仇なす敵を討たん〉」
祈りの言葉とともに、男の背中から紫紺のオーラが立ち上る。
魔法攻撃か!
「〈ゆけ、蛇よ! やつの魂を食らい尽くせ!〉」
紫紺のオーラは数条の光の矢となり、蛇のようにうねりながら俺の胸めがけて飛んでくる!
とっさに炎の剣を振るい、何本かは叩き落としたが、残った矢が俺の身体に突き刺さった。
「ん……?」
しかし、予想に反して俺の身体にはなんの痛みも変調もなかった。
確認のために自分の胸に触れてみるが、やはり何もない。
「いまのはなんだったんだ……?」
頭の中に自分のステータス画面を表示させると、特殊スキルの〈女神の加護(アルザード)=10〉が赤く輝いている。
このスキルが何かやったのか……?
禿頭の男の顔を見ると、呆然とした表情を浮かべていた。
どうやら奴にとっても予想外の出来事らしい。
一瞬の間をおいて、男の顔が朱に染まり、唇の片端が吊り上がった。
歯ぎしりの音すら聞こえてきそうな、憤怒の表情だった。
「〈魂喰らいの蛇〉を打ち消すとは……! 貴様、さてはあの忌々しい女神の眷属か!」
目を血走らせながら、男が叫んだ。
今度は俺が驚く番だった。あの男は、確かに「女神の眷属」と言った。
どういう理屈かは分からないが、俺の正体に気がついたということか!?
「アルザードの眷属が、なぜ竜の娘とともにいる!」
男が裏返った叫び声をあげる。
「知らねえよ、バカヤロー!」
俺は怒鳴り返しながら、この男を必ず生きて捕らえようと思った。
こいつにはいろんなことを喋ってもらわなければならない。
まず、この遺跡で何をしようとしていたか。
古代文明の魔獣を使役し、邪神に生け贄を捧げ、なんの儀式をやっていたのか。
そして、俺たちのことをどこまで知っているのか。
こいつは俺の正体を言い当て、リリアを竜の娘と呼んだ。
竜の娘というのがなんなのかは分からないが、リリアの身にかけられた呪いについて、こいつは何か知っているかもしれない。
もしリリアに呪いをかけたのがこいつらの仲間なら、呪いの解除方法も聞けるかもしれない。
——ザックの仇。
イリーナの口から出た言葉を聞き、背筋に悪寒が走った。
ザックが死んだ? 一週間前には元気に笑っていたあいつが?
いや、冒険者の仕事に危険がつきまとうことは、頭では分かっている。
俺もここに来るまで、ザックが命を落とす事態を想定してなかったわでじゃない。だがイリーナから発せられた生々しい言葉は、俺を動揺させた。
「エイジ、危ない!」
俺の耳をジールの金切り声が打つ。
ハッと我に返ると、禿頭の男が少し離れた場所から、両手を俺のほうに向けている。しまった、武器を破壊したので油断していた!
「〈我が神よ。御身の忠実なる僕、翼ある蛇の力を貸したまえ。我、その力もて、御身に仇なす敵を討たん〉」
祈りの言葉とともに、男の背中から紫紺のオーラが立ち上る。
魔法攻撃か!
「〈ゆけ、蛇よ! やつの魂を食らい尽くせ!〉」
紫紺のオーラは数条の光の矢となり、蛇のようにうねりながら俺の胸めがけて飛んでくる!
とっさに炎の剣を振るい、何本かは叩き落としたが、残った矢が俺の身体に突き刺さった。
「ん……?」
しかし、予想に反して俺の身体にはなんの痛みも変調もなかった。
確認のために自分の胸に触れてみるが、やはり何もない。
「いまのはなんだったんだ……?」
頭の中に自分のステータス画面を表示させると、特殊スキルの〈女神の加護(アルザード)=10〉が赤く輝いている。
このスキルが何かやったのか……?
禿頭の男の顔を見ると、呆然とした表情を浮かべていた。
どうやら奴にとっても予想外の出来事らしい。
一瞬の間をおいて、男の顔が朱に染まり、唇の片端が吊り上がった。
歯ぎしりの音すら聞こえてきそうな、憤怒の表情だった。
「〈魂喰らいの蛇〉を打ち消すとは……! 貴様、さてはあの忌々しい女神の眷属か!」
目を血走らせながら、男が叫んだ。
今度は俺が驚く番だった。あの男は、確かに「女神の眷属」と言った。
どういう理屈かは分からないが、俺の正体に気がついたということか!?
「アルザードの眷属が、なぜ竜の娘とともにいる!」
男が裏返った叫び声をあげる。
「知らねえよ、バカヤロー!」
俺は怒鳴り返しながら、この男を必ず生きて捕らえようと思った。
こいつにはいろんなことを喋ってもらわなければならない。
まず、この遺跡で何をしようとしていたか。
古代文明の魔獣を使役し、邪神に生け贄を捧げ、なんの儀式をやっていたのか。
そして、俺たちのことをどこまで知っているのか。
こいつは俺の正体を言い当て、リリアを竜の娘と呼んだ。
竜の娘というのがなんなのかは分からないが、リリアの身にかけられた呪いについて、こいつは何か知っているかもしれない。
もしリリアに呪いをかけたのがこいつらの仲間なら、呪いの解除方法も聞けるかもしれない。
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