【完結】誰が母を殺したの?【R18 】

仲 奈華 (nakanaka)

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夏季休暇

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アンは馬車を乗り継ぎ、ロータス公爵領についた。
待ち合わせをしている店へ入ると、談笑していたイザベラとリリアンヌがすぐにアンに気がつく。

「アン!こっちよ。」

「いらっしゃい。アン。」

イザベラとリリアンヌが嬉しそうに笑って迎えてくれた。

リリアンヌの笑顔を見てザックとの事を思い出し胸が痛む。

(大丈夫。あれは、終わった事だわ。)


「お待たせしました。イザベラ様、リリアンヌ様。」


イザベラが言う。
「アン。もう貴方は家の使用人じゃ無いんだから、敬語はいらないわ。」

リリアンヌも言う。
「そうよ。友達として招いたのよ。みんなで楽しみましょう。」

「ふふふ。ありがとう。じゃあ。そうさせて貰いますね。」

アンも嬉しくなって笑った。




リリアンヌが黒の鬘を取り出して言う。
「さっそくだけど、ロータス公爵家に招く前にお願いがあるの。

ちょっと我が家は変わっていてね。ロータス公爵家は、先代に前王の妹のクロネ王女が嫁いで、今も本邸に住まわれているの。私とお父様は離れの屋敷を使っているわ。」


イザベラが言う。
「まあ、ロータス公爵が離れを使われているの?」

「そうなの。父は隣国との戦争に備えて国境にいる事が多いからほとんど公爵領にはいないけどね。

本邸のクロネ様にも息子がいるんだけど、先代から公爵に指名されたのは、庶子の私の父だったの。それから本邸の人達とは折り合いが悪いみたいで、ずっと離れに住んでいるのよ。」

「まあ、嫡子がいるのに庶子が公爵に選ばれるなんて聞いたことがありませんわ。」

「ええ、あまり公にしていなくて、王も認めたらしいけど、、、

それでね。離れに本邸の方々が来る事は無いんだけど、クロネ様ってとっても気難しくて赤毛の女が大嫌いみたいなの。この前も赤色がかった金髪の使用人を痛めつけたって聞いたわ。アンには申し訳ないんだけど、ロータス家に出入りする時はこの鬘を被って貰えないかしら。」

「ええ、いいわよ。でも、どうして赤毛なの?」

「うーん、私もクロネ様とは話した事がほとんど無くて理由までは知らないの。でも、私も今は落ち着いた暗い茶髪だけど、小さい頃は色が明るかったみたいで、使用人はクロネ様から私を守るのが大変だったって言っていたわ。」

(私は茶髪から赤毛になったから、逆ね。
貴族って想像以上に大変みたい。)


「あの、リリアンヌ。私からもいい?この指輪に見覚えは無いかしら。持ち主をずっと探しているの。」

「まあ、中に素敵な模様があるのね。どこかで見た事がある気もするけど分からないわ。これどうしたの?」

「あの、男の人が落としたのを拾って持ち主を探しているの。」


イザベラが興奮したように言ってきた。
「それって、アン。もしかして、その人が好きなの?」
最近恋愛話にハマっているイザベラはなんでも恋に繋げたがる。

リリアンヌも言う。
「まあ、素敵。落とし物を拾って恋が始まるなんてロマンティックだわ。是非探すのを協力させて。」


アンは戸惑う。
(違うけど、母の仇に復讐したいって伝えるよりいいかしら。リリアンヌの親戚かもしれないし。)


にっこり笑ってアンは返事をした。
「うん。ありがとう。二人とも期待しているわ。何か気がついたら教えてね。」








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