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26.王城
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メイナはジークに協力する事にした。
ジークに連れられて、酒場を出て移動する。ジークは建物の裏道に入って行き、周囲が誰もいない事を確認して、地面の大きなマンホールを、鉄の棒で押し上げ、言った。
「こっちだ。」
マンホールの下には梯子があった。どうやら地下へ続いているようだ。
ジークに続き、中に入り、蓋を閉める。メイナは梯子を下りて行った。
しばらく降りると、巨大な水路にたどり着く。元々は水が通っていたようだが、今は何もない。薄汚れ砂っぽくしばらく使われていない様子だった。
干からびた水路を歩きながら、ジークが言う。
「ここは、昔は地下水路だったんだ。キーベルデルク神国の生命線で、どの家もここからくみ上げる水を無料で使っていた。だが、今はこの通り干乾びている。水は高額な値段を払って水道局へ買いに行っているんだよ。」
メイナは尋ねた。
「すごい立派な施設なのに、使わないの?」
ジークはうんざりしたような声で言う。
「使いたくても使えない。水がないんだ。ここに住む者は水魔術を使う者が多い。だが、その魔術がマロイ王が死んでから急に使えなくなった。だれも水に困るなんて思っていなかったんだよ。ここだ。入ってくれ。」
メイナが誘導されたのは、金属製の扉だった。ジークが開き、メイナも続いて中に入る。
そこには沢山の人間が集まっていた。
ジークが中に入り言った。
「皆聞いてくれ。ブランの兄弟だ。暗殺者らしい。俺たちに協力してくれるそうだ。」
一斉に50人ほどの人間がメイナを見た。
「悪いが、フードを取って自己紹介してくれないか?」
メイナは、フードを取り、言った。
「メイナです。ブランの妹よ。」
ジークは少し驚いた表情をした。メイナの前にいる藍色の髪の男性が言ってくる。
「ヘル国出身の暗殺者か。信用できるのか?それにその色だと目立つ。」
メイナは言った。
「ええ、暗殺者よ。色は問題ない。」
メイナは、腕輪の魔石を取り出した。するとすぐに色が白に変化する。
「私は、魔力なしだからね。魔石があれば、色はいくらでも変えれるの。私はマイサー国王さえ殺せたらいい。依頼は、もう受けているから依頼料もいらないわ。」
メイナは笑った。
挨拶が終わると、話し合いが始まった。
「北の町で久しぶりに雨が降ったらしい。水神の加護が戻ったかもいう噂だ。王は魔術師や近衛兵を調査へ送るみたいだ。」
「それは俺も聞いた?王都でも、しばらく降っていないのに。なぜ、地方で雨が降る。」
「調査にしては兵が多すぎる。誰かを探しているのかもしれない。」
「ランドルフ帝国の首都でも、季節外れの大雪に襲われたとも聞いた。」
「それに、ヘル闇国の城が崩れたって話も聞いたぞ。」
「何にせよ。好機だ。王城が手薄な今、マイサー王を殺すしかない。」
「決行は明日の夜だ。王城の中への侵入は、門番に話を通している。これは中の見取り図だ。マロイ王の襲撃班と、人質の解放班に分かれて行動する。必ず王を殺せ。呪われた王を殺して水神の加護を取り戻すのだ。」
「「おう」」
ジークに連れられて、酒場を出て移動する。ジークは建物の裏道に入って行き、周囲が誰もいない事を確認して、地面の大きなマンホールを、鉄の棒で押し上げ、言った。
「こっちだ。」
マンホールの下には梯子があった。どうやら地下へ続いているようだ。
ジークに続き、中に入り、蓋を閉める。メイナは梯子を下りて行った。
しばらく降りると、巨大な水路にたどり着く。元々は水が通っていたようだが、今は何もない。薄汚れ砂っぽくしばらく使われていない様子だった。
干からびた水路を歩きながら、ジークが言う。
「ここは、昔は地下水路だったんだ。キーベルデルク神国の生命線で、どの家もここからくみ上げる水を無料で使っていた。だが、今はこの通り干乾びている。水は高額な値段を払って水道局へ買いに行っているんだよ。」
メイナは尋ねた。
「すごい立派な施設なのに、使わないの?」
ジークはうんざりしたような声で言う。
「使いたくても使えない。水がないんだ。ここに住む者は水魔術を使う者が多い。だが、その魔術がマロイ王が死んでから急に使えなくなった。だれも水に困るなんて思っていなかったんだよ。ここだ。入ってくれ。」
メイナが誘導されたのは、金属製の扉だった。ジークが開き、メイナも続いて中に入る。
そこには沢山の人間が集まっていた。
ジークが中に入り言った。
「皆聞いてくれ。ブランの兄弟だ。暗殺者らしい。俺たちに協力してくれるそうだ。」
一斉に50人ほどの人間がメイナを見た。
「悪いが、フードを取って自己紹介してくれないか?」
メイナは、フードを取り、言った。
「メイナです。ブランの妹よ。」
ジークは少し驚いた表情をした。メイナの前にいる藍色の髪の男性が言ってくる。
「ヘル国出身の暗殺者か。信用できるのか?それにその色だと目立つ。」
メイナは言った。
「ええ、暗殺者よ。色は問題ない。」
メイナは、腕輪の魔石を取り出した。するとすぐに色が白に変化する。
「私は、魔力なしだからね。魔石があれば、色はいくらでも変えれるの。私はマイサー国王さえ殺せたらいい。依頼は、もう受けているから依頼料もいらないわ。」
メイナは笑った。
挨拶が終わると、話し合いが始まった。
「北の町で久しぶりに雨が降ったらしい。水神の加護が戻ったかもいう噂だ。王は魔術師や近衛兵を調査へ送るみたいだ。」
「それは俺も聞いた?王都でも、しばらく降っていないのに。なぜ、地方で雨が降る。」
「調査にしては兵が多すぎる。誰かを探しているのかもしれない。」
「ランドルフ帝国の首都でも、季節外れの大雪に襲われたとも聞いた。」
「それに、ヘル闇国の城が崩れたって話も聞いたぞ。」
「何にせよ。好機だ。王城が手薄な今、マイサー王を殺すしかない。」
「決行は明日の夜だ。王城の中への侵入は、門番に話を通している。これは中の見取り図だ。マロイ王の襲撃班と、人質の解放班に分かれて行動する。必ず王を殺せ。呪われた王を殺して水神の加護を取り戻すのだ。」
「「おう」」
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