殺めてもいいでしょうか?

仲 奈華 (nakanaka)

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アヤメ

6.名刺

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車に乗り込もうとした時、息を切らしながら駆け寄ってきたマサキに声をかけられた。

「カエデ君、アヤメさん待ってください。」

カエデは既に車に乗り込んでおり、私の側にマサキが近寄ってくる。

「妻のウメには、プライドが高い所があって、本当はカエデ君に鬼柳家に入ってもらいたいのに、彼女は上手く伝える事ができない。私達には子供がいない。カエデ君が我々の元に来てくれるのを待っています。これは私の名刺です。私は鬼柳株式会社の専務をしています。なにかあれば連絡してください。」

押し付けられるように差し出された名刺をアヤメは受け取った。
名刺には、手書きで携帯電話番号が書き加えられていた。

「分かりました。夫に渡します」

私は、車に乗り込んだ。
運転席のカエデは、無表情で何かを考えこんでいるようだった。

「あなた。これ、マサキさんから頂いたのだけど」

「俺には必要ない。捨てていいよ」

ドアの外から、カエデを伺うように佇んでいるマサキを残して、無数の新緑の葉が揺れる並木の中をカエデは車を発進させた。



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