殺めてもいいでしょうか?

仲 奈華 (nakanaka)

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アヤメ

14.容疑

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ピポピポーン、ピポピポーン。

インターホンが鳴り響いた。

アヤメの体が硬直した。

(何をしているのだろう。なんて馬鹿な事を私は)

目の前のカエデの端整な顔が僅かに歪み、瞳が薄く開かれる。

「アヤメ?」

アヤメは、彼の首から手を離し、思わず流れた涙を隠すように両手で目を覆った。

「ごめんなさい」

震えるアヤメを、カエデが力強く抱きしめてくる。

「アヤメ?どうして泣いている?」

彼は頭を撫でながら心配そうに話しかけてくる。

アヤメは、彼を問い詰めたかった。でも、言葉は音にならず、ただただ震える事しかできなかった。







ピポピポーン、ピポピポーン

インターホンが鳴りやまない。何度も何度も鳴り続ける。

アヤメは、ベッドからゆっくり離れ、リビングに設置されているインターホンに向かった。画面には警察官らしき人物が映りこんでいる。

訝しげに思いながら通話ボタンを押す。

「はい。」

「阿地さんのお宅でしょうか?伺いたい事があります。ドアを開けていただいてもよろしいでしょうか?」

アヤメは解錠ボタンを押した。

寝室から、衣擦れ音が聞こえてくる。夫が服を着替えているらしい。

彼と話したい事が沢山ある。でも、自分の行動に自信が持てない。

もし、また衝動的に彼を傷つけようとしてしまったら?

彼の事を愛している。

誰にも奪われたくない程に。そんな感情が自分の中にあるなんて知らなかった。


ピンポーン



玄関から呼び出し音が鳴り響き、アヤメはまとまらない想いを抱えたまま玄関ドアを開けた。


二人の警察官が、警察手帳を見せながら、アヤメに言った。


「阿地アヤメさんですね。貴方には殺人未遂容疑がかかっています。警察署まで同行してください」


アヤメは、呆然とその場に立ち尽くした。
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