とある聖者と魔王の攻防

三冬月マヨ

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ほんぺん

じゅう

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 サクッと魔王にキスをして、スンフォエは転移して行った。転移に伴う魔力の操作とか、そんな予備動作など何も感じさせずに『ちょっと散歩して来ます』と、そんな軽くあっさりとしたノリで。
 
「…あんなの…事前に察知など出来る筈もなかろうが…」

 そう呟いて、魔王は動いた自分の唇に指をあてた。
 そこにあるのは、何の変哲も無い、己の薄い唇だ。これは、言葉を発する物であり、食べ物を…腹を満たす為にあるだけの物だ。
 ただ、それだけの物だ。
 それなのに。
 スンフォエは、これに何をした?
 そして、その後に、何と言った?

「…す、き…?」

 魔族を。
 魔王を。

「そんな私を好きだと言ったのか?」

 改めて言葉にした魔王の顔がぶわっと、一瞬で赤くなった。

「わっ、解らんっ! 何だこれはっ!!」

 勢い良く魔王は頭を…長い髪をポニーテールにしていたら、死傷者が出る程の勢いで振って、両手でぐしゃぐしゃと掻き回してから、ローテーブルに置いていた水晶を手に取って、柔らかいベッドへと身を投げた。

「ば、番犬として役に立つかどうか見るだけだ!」

 と、誰にともなく言い訳をして、枕の上に水晶を乗せて、うつ伏せになって、それを見た。

「…は…?」

 そして、魔王の目は点になった。

『あ"、あ"あ"、あ"あ"あ"~!』

『おう、おう、おう!』

『そ、そこは駄目じゃ!!』

『くっ、殺せっ!!』

『あぁ~、も、もう、イ、イク~!!』

 おっさんのだみ声やら、若い男の喘ぎ声やら、老人まで…とにかく、老若男男達が海上に浮かび、皆全裸で蔓やら蔦やらに身体を拘束され、M字開脚させられ、その蔓やら蔦やらにペニスをせっせこと扱かれていたからだ。

「…な、何だ…この地獄絵図は…? 私は何を見せられておるのだ…?」

 じわりと魔王の額に汗が浮かび、たらりと流れ、顎から零れ落ち、ややもせず、だらだらとした物になった。

「…こ、これは、尻穴の中にまで入りこんで…? と、云うか…この蔓共…皆、根元を縛っていまいか…? これでは、達したくとも達せられまい…」

 そう云えば、スンフォエは『趣向を凝らす』と言っていたなと、魔王は思い出した。

 …趣向とは…?

 もしかして、もしかしなくとも、自分は、とんでもない番犬を手にしてしまったのでは? と、魔王は思った。

『あ。おじいさん、そろそろイきそうですか? やはり、現役ではありませんから時間が掛かりましたね』

 だらだらと流れる嫌な汗を拭う魔王の耳に、朗らかなスンフォエの声が届いた。
 スンフォエの顔は見えないが、恐らくは笑顔でいるのだろう。ニコニコと邪気の無い笑顔を浮かべながら、この地獄を作り出しているのだろう。
 スンフォエの言葉に、周りから『頼む』とか『早くイけ』とか期待に満ちた、それでいて悲壮で切実な声が掛かる。そう頼み込む皆は、アヘ顔で涙やら鼻水やらよだれやらを垂らしまくっている。

 何か、途轍もなく嫌な予感がする。
 いや、これは確信だ。
 この先の地獄を見てはいけない。
 そう思うのに、水晶から魔王は目が離せなかった。

『はい。イきますね? イけますよね? それでは、皆さんご一緒に!』

 スンフォエのご機嫌な声と共に、男達のペニスの根元を縛っていた蔓が解けた。
 そして。
 海は、聖女や聖女の侍女を除く、四桁に近い数の男達の欲望の一斉射出フルバーストを受けた。
 バシャバシャと物凄い量の水飛沫ミルク・クラウンに、魔王はそっと遠くを見る。
 因みに聖女達、女性陣は互いに身体を寄せ合って、必死にそれから目を逸していた。トラウマにならない事を祈るしかない。

「どうしてこうなった…」

 そして、魔王は両手で頭を抱えたのだった。
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