泡沫の夢

三冬月マヨ

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本編

六話

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「ほあ…あ…ぎゃ…」

 ねちょねちょと、ねっちょりとした音が寝所に響いていました。
 湯に浸かっていた筈が、気付いたら柔らかな布団の上に居て、しかも濡れていた身体はサラサラに乾いていたのに驚いたのも束の間の事でした。

「あ、ぎゃ…っ…」

 今現在、青年は布団に顔を押し付け、敷布を両手できつく掴み、腰を高く上げていました。いえ、正確には上げさせられていました。
 何故って、神様が片手で青年の腰を持ち上げているからです。
 神様は片手で青年の腰を掴み、もう片方の手では、その長い指を青年のお尻の穴に突っ込んでいました。
 どうして、この様な事になったのでしょう?
 青年は顔を赤くして目尻から涙を零し、口から涎を垂らしながら考えます。
 神様は責任を取ると言いました。
 それは、青年が夢精をした事に対してです。

『我が常に傍に居るから、手淫もままならなかったのだろう?』

 との神様の言葉に、青年は両手で顔を押さえ、身体を丸めて布団の上をゴロゴロと転がりました。
 確かにその通りです。その通りなのですが。

『お、おらぁ…! こ、こげに出る方じゃなか…っ…! ここに来る前は、もぞっとしたら、ささっと扱いちまえば、それですっきりしてたんがや! そ、それに、そんな頻繫にじゃねがっだしっ!!』

 言い訳なのか何だか解らない事を青年は口走りました。
 とにかく神様にずばりとさらりと言われた事も恥ずかしかったし、常に、これ程にどろりとした物と量を出していると思われるのも嫌だったのです。

『それは、身体に栄養が行き届いて無かったからであるし、そちらを気に掛ける程、身体にも心にも余裕が無かったからだ』

『よ…ゆう…』

 神様のその言葉に、ぴたりと青年は転がるのをやめて、顔から手を離し、傍らにて胡坐をかいて座る神様を見上げました。

『そうだ。お主は常に餓え渇き、身も心も疲れ果てていた。それが、今はそれらが満たされ、余裕が出来たと云う事だ。何、正常になったと云うだけ。恥じる必要なぞ、何処にも無い』

『せ、いじょう…普通…って事がや? それは…おらが幸せって事がや? 美味になってるがや?』

『そうだ。お主は此処に来た頃より、美味になっておる』

『んなら!』

『だが、まだ足りぬ』

 おらを喰ってけろ! と、青年が口を開く前に神様は言いました。

『三大欲求の一つである性欲。お主は、それを未だ満たしてはおらぬ。手淫も良いが、それよりも良い物がある。お主の欲も満たされるし、我も喜ぶ。試してみるか?』

 神様の言葉は絶対です。
 神様が喜べば、自分はもっと美味しくなれるのだと青年は思いました。

『んなら、それでええがや!』

 そう答えた青年は、神様の指が何やら液体を纏ってお尻の穴に触れた時に、滅茶苦茶後悔しました。が、後の祭りです。
 ぷにぷにと縁をなぞられながら、自身の男根をゆるゆると扱かれ、皮を捲られ、その先端に舌を這わされた時には、もう絶頂を迎えていましたので。

『あ…へぁ…』

 と、真っ白になった頭でしたが、それでも青年は懇願しました。

『顔を見ないで』

 と。
 途轍もなく情けない顔を晒している自覚が、辛うじて残っていたので。
 その願いを了承した神様は、青年を仰向けから俯せの体勢へと変えて後ろから組み敷くと云う、今の体勢に至るのでした。
 ですが、顔を隠せても、漏れ出る声を抑える事は出来ません。
 だって、気持ちが良過ぎたのです。
 一人では、こんな気持ちの良さなんて味わえませんでしたので。
 他人の手に触れられる事が。
 他人の手の熱が、こんなに心地良い物だったなんて青年は知りませんでした。

「そ、こは…便が出るとこだべ…なして…そ、こを弄るがゃ…」

 すっかり馬鹿になってしまった頭で青年は神様に尋ねます。
 本能では、何となく察してはいました。
 でも、まさかと云う思いが強かったので。
 だって、自分達はおのこです。
 男と女子おなごではありません。
 まぐわった処で、赤子等出来よう筈がありませんから。

「お主は知らぬのか。まぐわうのは、子を成す為だけでは無い。愛しい者と熱を分かち合いたいから、まぐわうのだ」

「ほげ…?」

 愛しいとは何ぞや? と、目を瞬かせる青年に神様は続けます。

「我は、お主を愛しいと思う。だから、お主の中に入る」

「ほぎゃあああっ!?」
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