星の守護龍 ~覚醒と混沌へのカウントダウン~

雪月 光

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1章~石版の伝承~

33.~聖なる神域支柱の森~

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一面明るい緑に覆われた世界だった。大きな木々の間からは暖かな日差しが流れ込んでいる。
見た事もないほど静かで穏やかなときを刻む。

「此処は?」

『ようこそ…美しき白銀の幻龍…』

「誰だ?!」

慌てて声のするほうに視線を向け警戒するように身を少しかがめる。

『主に危害を加えるつもりは無い…安心するがいい……名は…”ジン”だったか?』

「貴方は?」

紅い鱗を持った巨大な龍。額には青く輝く石を持ち黒く長い2本の角をもつ、気高き神龍。

『我はベルゼアス…世界を創造した3匹の神龍の1匹…まあ…その神龍を作ったのも主達だったな』

『主は幻龍だ。…世界と命を生み出す星を守護する龍だ。我は此処で支柱の守人をしている…』

空を仰ぎ金色の目をジン向けた。

『……神樹である支柱をみせてやろう…全ての命がかえる樹、とはいえ、その樹を創造したのも幻龍だがな…』

ベルゼアスは静かに森の奥へと足を運ぶ。その後をジンも着いていく。
暫くすると木々が開けた場所に出た。足下には青々とした短い芝生。目の前には青く澄んだ湖。

「!!」

白い光を幾つも身に纏った巨大な樹の根と幹が目に入った。大きすぎてとても全貌は見えないけれど、葉も光を纏い白っぽく煌めいている。

『全ての命が生まれ、かえる木…生死を転生を司るものだ…』

見惚れてしまいそうになるほどそれは綺麗で…神々しい。

ふと別のほうに視線を向けてジンそれを見据えた。
青い水晶が2つ。
中に人が両方とも入っている。

「……」

ジンはそれに近付き、水晶に触れてみた。
硬くて冷たい。

『それは望んで此処へ来た…互いに思いながらもすれ違って…』

「…それは…寂しいな…」

静かに眠ったように瞼を閉じている男女の体。

『かつて3000千年前の英雄達だ…』

懐かしむようにベルゼアスは口にする。

「…貴方にとっても…大切な者だったんだな?」

『そうかもしれない…』

「み…」

「!!」

小さな体を震わせてリアンが目を覚ました。

「リアン!」

「みぅ…」

『おや…これは…光龍……』

ベルゼアスは小さく呟いた。

「みぅう」

羽根を羽ばたかせてリアンは嬉しそうにジンの周りを飛び回る。

「いつも本当に孤独を埋めてくれる」

苦笑してジンはリアンの頭を優しく撫でた。

『その出会いもまた必然なのだろうな……』

光龍、かつて3000年前ともに戦った勇敢なる神龍。

「?」

『主はこれからどうするのだ?』

確信的なところにいきなり触れられてジンは困惑した表情をベルゼアスに向けた。

「……どうしたらいいのか…正直分からない」

『…どこか世界の果ての辺境の地で静かに暮らすもいいだろう…』

「世界の果て?」

『此処で眠るのもいいだろう…主の望みを…言うがいい』

ベルゼアスは静かに語る。

「俺の望み……」

「みぅ?」

ジンは2つの水晶に目を向ける。
彼らのような互いに思い支えあえるような存在が…世界のどこかに居るのなら…
ベルゼアスは僅かに微笑んだ。

『それも良かろう…』

「!」

心を見透かされジンは驚いてベルゼアスを見詰めた。

『失った係わり…補うように…新たな係わりを結ぶ…難しいことだけど…』

「ん…分かっている…」

色んな世界を見てみたいというのも事実だから。

『では、行くがいい…ジン』

導かれるままに異界への扉をくぐった。

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