私は異世界で魔王に餌付けをする!?

キツネバレー

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異世界召喚

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「殺す」

そう淡々の呟いた少女は私に向かって手のひらを向けた。


「ひぃ…」
私はわけも分からず怯えるしかない。

周りには露出の多い女性がチラホラ。髪の色も随分とカラフルである。

それにクソでかい武器を持ったりわけわからない人形を持ったりやばい人だらけである。

なんでこうなったんだろう。

そう思った私はこうなった経緯を思いだす。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



料理好きのOLである私は未来みほ。

学生の時は名字と名前の頭文字をとってミミと呼ばれていた。

仕事から帰り家に着きお気に入りのチョコを食べようとチョコに手を伸ばした瞬間足元から召喚陣が現れた。

「え?なにこれ?」

目の前が真っ白になり気がつくと知らない場所へと飛んでいた。


ぽかんとなった私は周りをキョロキョロと見回す。

カラフルな頭の女性がチラホラ。とても可愛い女性達だ。

コスプレかなんかかな?リアルな武器とか持ってるし。

「何者だ貴様!」

急に声を上げた青色の髪で眼鏡をかけた女性はこちらを睨んでいる。

「ひぃ…み…みほです」

ビビった私は声が震えつつも名前を言った。
偉いでしょ…褒めて褒めて…?

「ミホだと?胡散臭い名前だ。どこから来た」

訝しげな表情のメガネの女性はすっとスカートをたくし上げ太ももからナイフと取り出した。

えちえちじゃん!えちえち!

それどころじゃない。あのナイフ本物かもしれない。

「と…東京です…気づいたらここにいて…信じてもらえますー?なんつってーハハハ…」

シン…と静まった部屋に私の乾いた笑いだけが響き渡った。

きついよ…きついって…


ナイフを構えた眼鏡の女性は私から視線を話さず喋り始めた。


「魔王様。この怪しい奴どう致しましょう」


魔王様?…


魔王様っぽい人を探してみる。


直ぐ見つかった。玉座に座っている白髪で白い肌のお人形みたいな子だ。
多分そうだ。なんとなくわかる。


魔王様っぽい人はこちらをチラッと見たあと興味なさそうに自分の髪をいじり始めた。


え?やばそうなんですけど……


1分ぐらい経っただろうか…もしかしたらもっと短かったかもしれない。



「殺す」


そう淡々の呟いた少女は私に向かって手のひらを向けた。


「ひぃ…」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


今までのことを走馬灯のように思い出した私は手に持っていたチョコを思い出した。

美味しいものは世界を救う。そんなことをテレビで言ってたような気がする。

どうせよくわからない状況だしやれることはやっておこう。

「ちょ…チョコあります!チョコあるから!!」
私は大声を出してチョコアピールした。


「なんだ、チョコとは!魔王様に逆らうのか!」
なにが琴線に触れたのかわからないが激おこの眼鏡の女性。
怖いから怒らないでよ!!


「待てリリー、チョコってなに」
食いついた魔王。そして、眼鏡の女性はリリーと言う名前らしい。

「これです!こちらです」
私は大好物のウェハースをチョコでコーティングした2つに割れるチョコを差し出す。

すると私の手のひらから赤いパッケージが魔王のところへとふよふよと浮いていった。

「ま…魔法?」
え?物浮いてるんですけど!!地球じゃないのかここは…。

魔法があることに驚いた私はチョコの行方を目で追った。


するとチョコは魔王への手に乗っており、ジロジロみたあとに赤いパッケージをペロリと舐めた。

スンとした表情の魔王。

「面白くも美味くもない」
そう呟いた魔王は手のひらを私に向けた。


「違います!違うんです!」
私は必死に弁明しようとする。


「違くない」
魔王の手のひらに真っ黒の球が生成されていく。
なんだよそれ!見たこと無いよ!それをこっちにむけんな!!


「開けて食べるんです!見て下さいほら!」
もう一個あったチョコを魔王に見えるように開けザクザクと食べる私。
ひぃ…チョコうんまい涙でてくる…美味くて涙でてるわけじゃないけど…



「ふーん」
そう呟いた魔王は手のひらの黒い玉を消して私と同じように開けた。

「とってもいい匂いがする」
そう呟いた魔王は口の中にいれようとした。


「お待ちください!魔王様!得体の知れない奴の食べ物を食べるなd…」
そうメガネの女性が叫んだ瞬間

「うるさい」
魔王の声と同時に黒いレーザーみたいなものがメガネの女性に直撃した。

壁に衝突した眼鏡の女性は体から煙を出しながらピクピクしている。
死んでるだろあれ…。無慈悲にもほどがある。

メガネの女性に見向きもせずチョコをパクっと食べた魔王。


「美味しい」
そう呟く魔王。
無表情だが喜んでいるのがわかる。多分喜んでいる。きっと喜んでいるはず…。


「もっと」
魔王からのおねだりを頂いた。
しかし、残念おかわりを持っていない。

「も…もうないです…へへっ」
声が震えた。


「残念。貴女もなくなっちゃうね」
そう語る・魔王の手には・黒い玉

綺麗な5・7・5ができた。わーい。
わーいじゃない死ぬ。


「もっと、美味しいものが作れます!」
私は叫ぶ。


「本当?」
魔王が首を傾げて呟く


「はい!」
元気よく答える私。


「さっきのチョコより美味しい物?」
魔王が首を傾げて呟く

「はい!」
元気よく答える私。


「嘘?」
魔王が首を傾げて呟く

「はい!」
元気よく答える私。

「嘘は良くない」
魔王が手のひらに玉を作る。

変な引っ掛けいれんなボケ!
元気の良い返事が取り柄なんだ私は!


「嘘じゃないです嘘じゃないです!作れます!」
必死に抵抗する私。


「そう、じゃあ、今日の晩ごはんよろしくね」
そう呟いた魔王はパンパンと手をたたく。


「え?」
間抜けな返事が出た私の足元の床がパカッと開き落ちていく

「えええええええええええええええぇぇぇ…」



すーっと落下していく中私は異世界に来たんだなぁと思いながら後悔した。


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