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3章 ヴィルナタール メイド編
10話 運動会 素手トーナメント 決勝
しおりを挟む二回戦 フラム vs ハナ
両者がステージに上がる。
2人を私が見ているとフラムと目が合う。
ボッっと顔が真っ赤になりモジモジしはじめた。
「初め!」
「なにボーっと突っ立ってんのさ!」
そう喋りながらハナがフラムへと突っ込み腹部に拳をめり込ませた。
「あ…あれー?」
いいパンチを入れたのに微動だにしてないフラムを前に首を傾げたハナ。
「ちょっと邪魔しないで」
ハナへと視線を向けたフラムはハナの髪を掴みそのまま地面に叩きつけた。
ピクピクして動かないハナ。
「勝者 フラム」
ハナを回収して〈ヒール〉をする。
目を覚ますハナ
「大丈夫?」
「あれ?うち負けました?」
「一発だったよ」
「そうっすよね!」
「う…うん?」
「いや、惜しかったんだけどなー」
たははと笑いながら頭をかくハナ。
「いや、あんまり惜しくはなかったよ…」
私がそう言うとハナは笑って「そうっすよね!」と同意した。
な…なんだんだこいつ…なにがいいたいんだ…
続いて決勝戦である フラム vs エレーナである。
同じエルフィリアなので戦う理由はないのだが私がMVPやらを決めるので戦うことになる。
両者がステージに立つ。
前回の反省からかフラムは私を見ていない。
「エレーナ、負けないっすよー」
腕をグルグル回すフラム。
「エル様にいいとこ見せたいんで全力でいきますねー」
トントンと軽くジャンプをするエレーナ。
するとエレーナが右手に魔力を集め巨大なガントレットのようなものが出現する。
「え?あれ武器なのでは?」
私はマオに問いかけると
「いや、あれは魔力が濃くて可視化しておるだけで身体強化の延長みたいなもんじゃな」
うんうんと頷くマオ。
ほ…ほんとうか?
「お…おいなんだそれは!!」
驚くフラム。
え?知らないの?同じエルフィリアやろがい!!
「えー私の秘密兵器だよ~ん」
ふふと笑うとエレーナは消え、フラムを巨大なガントレットが掴んでいた。
「はい、おしまーい」
「おい、まずいぞ」
マオが呟く。
「え?」
ズンと大きな音をたてる巨大なガントレット。
ガントレットを消すとフラムがボトりと落ちる。
フラムの腹部の3分の2が無くなっていた。
「しょ…勝者 エレーナ」
「バカッ!やりすぎ!!」
慌てて駆け寄り〈ヒール〉をする。
顔色の悪かったフラムの顔色が良くなっていく。
ふーこれで大丈夫そうだ。
エレーナを見るとすごかったでしょ褒めて褒めてという顔をする。
私はエレーナの頭のてっぺんに拳をめり込ませた。
「やりすぎ!!」
一瞬ぽかんとしたエレーナはどんどん目に涙をためていく。
「うぅ…だって…いい…みせ……た」
ぼそぼそと何かを言っているエレーナ
「え?」
「だっで!いいどご!みぜだがっだ!!」
わんわん泣くエレーナ。
こっちがやりすぎたみたいになってる…や…やめてよ!
「いいとこ見せたかったのはわかるけどやりすぎだよ」
優しくなだめる。
「ごめんなさい」
素直に謝るエレーナ。
私に謝っても……
「次からはやりすぎないこと!わかった?」
「わかった…」
「よし!やりすぎちゃったけどあのガントレットもかっこいいね!私も真似していい?」
そう聞いてみると、赤くなった目をゴシゴシしてペカーと笑い「うん」と頷くエレーナ。
んーいい笑顔だ。やりすぎなければマトモだし可愛いんだけどなぁ……。
5分ほど経った頃。フラムが目を覚ます。
「お、起きた。大丈夫ー?」
私がフラムの顔を覗く。
「あれ?あ…あ…え…え…える…えるえる様!?」
えるえるって可愛いな。偽名使う機会があったら使おうかな。
慌てて起きようとするフラム。
「一応治ったけど今は安静にしておいて」
体を押さえつけベッドに寝かせる。
「でででえでえででえも、える…えるえt…えるう様…がっががが」
もう何言ってるかわからん。頭でも撫でておこう。
きゅうといい気絶するフラム。
よし、ねてろ!!
気絶と睡眠って一緒なのだろうか。
気絶してても疲れって取れるのかなとしょうもない疑問を考えながら実況席に戻ることにした。
続いてパン食い競走である。
パン食い競走とは言っても障害物レースみたいなモノでよくある網が置いてあったり平均台もあるがすべて重力魔法をかけクソ重くした。
エルフィリア陣営からはルカとオルガ。ナツキ組からはタエとランが出たのだが、私とマオ基準で作ったため全員完走できなかった。
すまん…イマイチ他の人の身体能力がわからんかった…
みんな私より動体視力が高くて素早い癖に体が弱かったりするからむずい。
魔法と身体能力の両方が高いマオはやっぱり強いみたいだ。
続いて武器トーナメントなのだがフラムの安静を取って休止にした。
あくまでお祭り部分のプログラムなのでどんどん予定を変更していく。
大事なのはニーナとナキリのタイマンだしな。
すると、マオが急に喋りだす。
「おい、ウィル。ステージに上がれ儂の力見せてやるわい」
マオvsウィルが急に始まった。
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