1 / 4
この先どうしたらいいのでしょう名探偵
落ちぶれ名探偵、古本屋に就職!?
しおりを挟むそれはその頭脳が原因だった…………日本の警察では手に負えない難事件、外国からのテロ組織、衝突、、
そんな事件をいとも簡単に解決してしまう名探偵。
彼の名は------
碧-----あおい。
彼に今日最悪最恐の災難が訪れるとは誰も知らない。
ある朝、碧は目を覚ました。だるい体を無理矢理起こしてベッドから歩き出す。
何もない部屋。
誰もいないよな。そりゃ。無意識のうちに溜息が溢れる。
[はぁ……………]
最近何もかもがつまらない。
仕事も、生活も全部。彩がない。
事件は簡単すぎるし、生活は毎日毎日同じことの繰り返し。
でも仕事をしないとお金は入ってこないし、気を紛らせるほかの方法なんて知らない。
だから顔を洗って着替えてドアなんて振り向かずに家を出る。鍵?そんなものいらない。第1部屋には何もないし、もし仮に空き巣が入ったとしてもすぐに犯人はわかってしまう。あぁ、つまらない人生だ。
今日も憂鬱な1日が始まった。
職場に入ると黄色い声が飛んでくる。しかしながら所属するのは特殊な事件担当の部署なので女なんているはずがない。全員むさ苦しい男達だ。
職場に入るとまず、上官に挨拶しなくてはならない。いくら探偵といっても部署に所属する以上しなくてはいけないことだ。だからまずは上官室に向かう。それにしてもなんて長い廊下なんだ。必要ないだろこんなに……広すぎる。もっと狭くていい。。なぜって?
ここにいる奴らは本当に使えない。図体ばっかり大きくて頭にはなんも詰まっちゃいない。。
そんな風に思われているとはた知らずこいつらは生きているんだろうな…………
そんなことを考えていたら上官室にたどり着いた。
コンコンっ…………
[入りたまえ。]
[失礼します。]
[おはようございます上官殿。今日も 一日お仕事努めさせていただきます。]
[ああ。頑張りたまえ。碧くん。]
上官の尾形 道成。なんでこの人の顔はこんなに脂ぎっているのだろうか。
名探偵の頭脳あってしても、一生かかっても、わからない。
それほどにテカっている。
頭の中でかなり失礼なことを考えつつ適当に話をする。
他愛のない話なんて他所でやってくれ。あの図体だけのやつらでもいい。
ゴホんっ!!!!
急に咳払いするものだからあからさまにびっくりしてしまった。
不覚。
で、なんなんだ…………??
[碧くん、折り入って話がある。]
なんだ?嫌な予感しかしない。
[実は、、、この仕事をやめてほしい。]
-
-
-
-
少しの沈黙が流れた後、頭脳には人一倍自身があるはずなのに出た言葉は
[え…………]
ただ、それだけ。なぜなら今までの間日本のために尽くしてきた。
いつもいつも。おんなじ日常の中で数多くの事件を解決してきた。
自分は日本のために貢献した。そう胸を張って言える。はずなのだが。
なぜ名探偵である自分なのか。決して安いわけでもないが、高給取りではない。嫌なことも顔色1つ変えず
流してきた。なのになぜ。なぜなのか。
[今の日本が急激に成長を遂げているのは化学や医療だけじゃないのだよ。警察だって軍事だって成長し続けている。
日本の政府はいつまでも君のような秀才に頼っていてはいけないと考えた。それだけ時代も、考え方も
変わったのだよ。いわば若者の流行と同じで、とどまっていることなんてないのだよ。
だから、あれだ。君は日本の成長のためには必要ない。そう見なされた。
しかし、碧くん。君には日本がなんども助けられた。だからね、もう君のような若者がこんなところで毎日毎日同じ時を過ごさなくていいんだ。もっと人生謳歌するんだよ。]
上官はフォローが決まったと思っているのかどこか得意げに鼻息を鳴らしている。
自分だって名探偵だ。ここでどう言ったってもう一市民に過ぎない。どうせ変わらない。そんなことは直ぐに
理解した。日本の成長のために捨てられた。秀才すぎるものは時に人を鈍くする。そのものの力に頼り過ぎてしまえば自分で成し遂げる力を失ってしまう。たしかに間違ってはいない。
それに相手は日本政府。なんといおうと判決は変わらない。
ならばこの勘違い上官や図体だけの無能達とおさらばしてもいいと思った。。。。
[はい。理解しました。そうさせていただきます。]
上官は少し、いや、かなり驚いている様子だったが、もう関係ない。部屋を出る際も敬礼の1つもなしに背を向けて出た。
図体だけの無能らには全く構わずそのまま職場を後にした。
勢いってすごいな。
なんてことをふと思った。
-
-
-
-
そのまま家に帰ったものの、どうしたものか。
私立探偵の事務所に就職してもいい。しかし、すぐに解決していては今までの刺激のない人生となんら変わりない。それならいっそスタントマンにでもなってやるかとも考えたがそこまで狂ってはいない。
そうこうしているうちに1時間ほどがたった。
しかし、特にいい案が浮上しないのでので仕方なく街へ出た。
昼間の町歩きなんて(事件以外で)いつぶりだっけなぁ…………
ごく普通の街並みを歩くのも退屈だったから脇道にそれ、路地に入って行った。
いつか読んだことがある本に書いてあったっけな。路地裏の殺人事件の話。
死んでいる場面でトリックが大体わかってしまって全然面白くなかったっけ。
そんなくだらないことを考えているとお腹がすいてきた。
ぐうぅ~
そういえば朝ごはん食べてない…………
まぁいっか。
そう思って歩き出した瞬間、、、
バッシャァア!!!!!!!?
水をぶっかけられた。打ち水をしていたようだ。今日暑いしな。
夏でよかった。
ああでもスーツが…………これいい値段するんだぞ…………
[ごっごめんなさぁぁぁいいいい!!!!!!!!]
[(うわぁ…………)]
[いや別に大丈夫ですよ。夏ですし。ほら、涼しいくらいですから。]
いやぁ、流石、作り笑いがうまい。
でも、、、実際大丈夫じゃぁない。びっしょりじゃないか…………
若干イラっとする。
その上今日クビになって現ニートだぞ。もっと大丈夫じゃぁない。
さて、どうしたものかな。
困ったぞ。
だけど少しだけ、ほんの少しだけだけど、、彩があるように思えた。
0
あなたにおすすめの小説
完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました
らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。
そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。
しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような…
完結決定済み
地味な私を捨てた元婚約者にざまぁ返し!私の才能に惚れたハイスペ社長にスカウトされ溺愛されてます
久遠翠
恋愛
「君は、可愛げがない。いつも数字しか見ていないじゃないか」
大手商社に勤める地味なOL・相沢美月は、エリートの婚約者・高遠彰から突然婚約破棄を告げられる。
彼の心変わりと社内での孤立に傷つき、退職を選んだ美月。
しかし、彼らは知らなかった。彼女には、IT業界で“K”という名で知られる伝説的なデータアナリストという、もう一つの顔があったことを。
失意の中、足を運んだ交流会で美月が出会ったのは、急成長中のIT企業「ホライゾン・テクノロジーズ」の若き社長・一条蓮。
彼女が何気なく口にした市場分析の鋭さに衝撃を受けた蓮は、すぐさま彼女を破格の条件でスカウトする。
「君のその目で、俺と未来を見てほしい」──。
蓮の情熱に心を動かされ、新たな一歩を踏み出した美月は、その才能を遺憾なく発揮していく。
地味なOLから、誰もが注目するキャリアウーマンへ。
そして、仕事のパートナーである蓮の、真っ直ぐで誠実な愛情に、凍てついていた心は次第に溶かされていく。
これは、才能というガラスの靴を見出された、一人の女性のシンデレラストーリー。
数字の奥に隠された真実を見抜く彼女が、本当の愛と幸せを掴むまでの、最高にドラマチックな逆転ラブストーリー。
あっ、追放されちゃった…。
satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。
母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。
ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。
そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。
精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。
婚約破棄? 私、この国の守護神ですが。
國樹田 樹
恋愛
王宮の舞踏会場にて婚約破棄を宣言された公爵令嬢・メリザンド=デラクロワ。
声高に断罪を叫ぶ王太子を前に、彼女は余裕の笑みを湛えていた。
愚かな男―――否、愚かな人間に、女神は鉄槌を下す。
古の盟約に縛られた一人の『女性』を巡る、悲恋と未来のお話。
よくある感じのざまぁ物語です。
ふんわり設定。ゆるーくお読みください。
【完結】愛されないと知った時、私は
yanako
恋愛
私は聞いてしまった。
彼の本心を。
私は小さな、けれど豊かな領地を持つ、男爵家の娘。
父が私の結婚相手を見つけてきた。
隣の領地の次男の彼。
幼馴染というほど親しくは無いけれど、素敵な人だと思っていた。
そう、思っていたのだ。
夫から「用済み」と言われ追い出されましたけれども
神々廻
恋愛
2人でいつも通り朝食をとっていたら、「お前はもう用済みだ。門の前に最低限の荷物をまとめさせた。朝食をとったら出ていけ」
と言われてしまいました。夫とは恋愛結婚だと思っていたのですが違ったようです。
大人しく出ていきますが、後悔しないで下さいね。
文字数が少ないのでサクッと読めます。お気に入り登録、コメントください!
とめどなく波が打ち寄せるように
月山 歩
恋愛
男爵令嬢のセシルは、従者と秘密の恋をしていた。彼が従者長になったら、父に打ち明けて、交際を認めてもらうつもりだった。けれども、それを知った父は嘘の罪を被せて、二人の仲を割く。数年後再会した二人は、富豪の侯爵と貧困にあえぐ男爵令嬢になっていた。そして、彼は冷たい瞳で私を見下した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる