あの子の花に祝福を。

ぽんた

文字の大きさ
5 / 74

5.たんじょうび。

 僕が生まれてから3年が経った。その間に僕のお喋りは家族からも、乳母にも、使用人たちからも褒められるほど上手くなった。

「「「ルカリオン、誕生日おめでとう!」」」

 父に抱きかかえられながら広間に向かい、部屋に入ると家族からお祝いをされた。使用人たちも、顔には出さないようにしているが、どことなく嬉しそうだ。

「かあたま、とうたま、おにいたま、ありやとございましゅ!」

「はぁぁ~3年が経つのは早いねぇ!つい昨日のように思い出せるよ…あんなに小さかったのがもうこんなにおっきくなってしまった!」

 父はすりすりと僕に頬ずりしながらそんなことを言うが…顎にちょっとだけ生えてるヒゲが痛いです父様。

「クリス、ヒゲが痛そうだよ?…ふふっ…ふふふ…」

 かあさま、ありがとうございます、たすかりました…

「な、なんてことだ…!明日からはヒゲは全て剃るよ…」

「ルカ~、お兄様のところにおいで~お兄様はおヒゲなんて生えてないから!」

 おにいさまははえてない!いく!

「ああっ、ジークにルカが取られてしまったよぅ…、アレク慰めて…」

 シクシクと泣き真似をしながら母に近づく父。そんな父に苦笑しながらも母は父にぎゅっと抱きついた

「仕方ないなぁ、もう…やっぱりクリスは可愛いね」

「アレク…私には君のほうが可愛く思えて仕方ないよ…」

「父上、母上、イチャイチャするならルカのいないところでしてください!ルカの教育に悪いです!」

 そんな言葉に二人はばっ、と離れてほんのり赤くなった顔を手で仰いで冷ましていた。兄は胡乱な目で両親を見つめる。

「そんな目で見ないでくれ、ジーク。ルカの前でいがみ合う両親よりかはいいだろう?」

「母上…たしかにそうですがね、まだルカは赤子なのですよ!」

 ぷんぷんといった表現が正しそうな怒り方で兄は母を窘めた。

「最近ジークが強い…クリスににちゃったのかなぁ…」

「えぇっ、私はあんなに強くないよ…」

「強いよ?部下を鍛えている時なんかは特にね?部下が弱音を吐こうものなら理詰めで追い詰めていくじゃないか」

 とうさま、おこるとこわいんだぁ…おこらせないようにしよ…

「ああっ、ルカが遠い目をしてるよっ!もうこの話は終わりだ!さあパーティーの続きをするよ!ルカ、父様からのプレゼントは…これだ!これはルカの身を守ってくれる魔道具だよ、肌身はなさずつけておきなさい」

 そう言って渡してくれたのは、僕と同じ瞳の色のエメラルドがあしらわれたネックレスだった。

「わぁ~、とうたま、きれい~!ありやとございましゅ、とうたま!!」

 お礼にハグをすると、父の顔が一瞬で溶けてしまった。

「ふふ、喜んでもらえてよかったね、クリス?さぁ、母様からはこれだよ、これはルカの居場所を知らせてくれる魔道具。ルカは可愛いからね。万が一のことがあったらみんな悲しんじゃうから。それも肌身離さずつけておきなさい?」

 母がくれたのはイヤーカフだった。これもエメラルドが付いていて、静かな輝きを放ち、豪華さはないながらも、落ち着いたデザインだった。

「かあたまのもきれ~!!かあたまもありやとございましゅ!うふふふ!」

 母にもお礼にとぎゅっと抱きつく。母は抱きとめると頭を優しく撫でてくれた。

「ルカ~、お兄様はこれだよ!!まだ母上や父上みたいに魔法付与はあまりできないから1つだけしかつけられなかったけど…眠れない夜とかに気分を落ち着ける魔法を付与したんだ!」

 兄がくれたのは僕の身長の半分ほどの大きさのくまのぬいぐるみ。もふもふの毛が柔らかくて触り心地が良い。

「はわっ、はわわっ…おにいたま~!!!くまたん!くまたん~!!!おにいたまありやと~!!だいしゅき!!!」

「「「はぅあっ!!」」」

 なぜか家族も使用人たちも皆が胸を抑えて蹲るのだが。

「えっ、え…!み、みんな、どちたの…!!お、おいしゃたま!!」

 大慌てで医者を呼びに行こうとする僕を母が呼び止める。

「ま、まって、ルカ…違うの、これはみんなルカが可愛すぎるから悶えてるだけなの!だから大丈夫…!」

 もだえるがなにかわからないけど…かあさまが大丈夫っていうなら大丈夫だよね!

「ふぅ…ごめんね、ルカ…あまりにもルカが可愛すぎて…でも気に入ってもらえてよかった!あ、そうだ、ルイス、おいで。」

 母が使用人の中から一人の青年を呼び出す。

「ルカ、3歳になったらね、侍従を決めなきゃいけないの。だからね、母様たちが勝手に決めちゃったけど、ルカと一番相性が良さそうな人を侍従に決めたの。それがルイス。勝手に決めてごめんね」

 ルイス…?このひとがぼくのじじゅう…?になるひと…?すごくつめたそうだけど、瞳がとてもやさしい色をしてる…。このひとがいいな、このひとがじじゅう?がいい!

「るいしゅ、よろちくおねがいしましゅ?」

 紺色の長い髪を後ろで一つにくくった美しい青年は、こてっ、と首を傾けた可愛らしい幼子に胸をドキドキさせながらも表情を崩さず腰を折った。

「こちらこそよろしくお願いいたします、ルカリオン様。」

「るかでいいよ?るいしゅ!ね?」

「っ…はい、ルカ様。」

「えへへ、やったあ、るいしゅ、あちたからいっしょだね!」

「ふふ、ルカ、今日から、だよ?」

「そうなんでちたか!るいしゅ、きょうからよろちくね!へへへ!!」

「ぐっ、かわ…はい、よろしくお願いします、ルカ様。」

 こうして僕の誕生日パーティーは過ぎていった。ルイスはそれから毎日お世話をしてくれて、僕がやりたいと思ったことはすぐに用意してくれるし、何も言わなくても先回りして行動してくれていた。



 るいすはすごいなぁ、なんでもわかっちゃう!














 おそらくルカの顔に出やすいだけ。

感想 8

あなたにおすすめの小説

ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!

由汰のらん
ファンタジー
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。 しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。 そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。 「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」 やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった。しかしハルの血が特殊だと知ったダンピールはハルを連れ帰って? いっそ美味しい『血』(治癒)と『体液』(バフ)と『癒し』を与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!

異世界転生してひっそり薬草売りをしていたのに、チート能力のせいでみんなから溺愛されてます

ひと息
BL
突然の過労死。そして転生。 休む間もなく働き、あっけなく死んでしまった廉(れん)は、気が付くと神を名乗る男と出会う。 転生するなら?そんなの、のんびりした暮らしに決まってる。 そして転生した先では、廉の思い描いたスローライフが待っていた・・・はずだったのに・・・ 知らぬ間にチート能力を授けられ、知らぬ間に噂が広まりみんなから溺愛されてしまって・・・!?

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます

七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。 歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。 世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。 気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。

王子様から逃げられない!

一寸光陰
BL
目を覚ますとBLゲームの主人公になっていた恭弥。この世界が受け入れられず、何とかして元の世界に戻りたいと考えるようになる。ゲームをクリアすれば元の世界に戻れるのでは…?そう思い立つが、思わぬ障壁が立ち塞がる。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

もう一度、その腕に

結衣可
BL
もう一度、その腕に

僕、天使に転生したようです!

神代天音
BL
 トラックに轢かれそうだった猫……ではなく鳥を助けたら、転生をしていたアンジュ。新しい家族は最低で、世話は最低限。そんなある日、自分が売られることを知って……。  天使のような羽を持って生まれてしまったアンジュが、周りのみんなに愛されるお話です。