あの子の花に祝福を。

ぽんた

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20.みんな寂しいの。

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 今日は週に一度しかない貴重なゼインと会える日!
 昨日の夜から楽しみでルイスや父様に何度も荷物の確認をした。でも1日だけだからそんなにないんだけどね。

「ゼイン!」

 馬車から降りるとすぐそこまでゼインがやってきていた。

「ルカ様!走ったら危ないです!」

 ルイスが慌てて僕を止めるけど、僕はゼインに会えた嬉しさでそんなのどうでもいい!となっていた。
 しかし案の定、というか。コテッと躓いて頭と地面がキスしようとしてしまった。目を瞑ると覚悟していたはずの痛みがいつまでも来ず。

「ルカ?ルイスに注意されてたでしょ?私に会えて嬉しいのはよくわかったけどね。」

 ゼインがクスクスと笑いながら僕を抱きとめると、「久しぶりだね、ルカ。」そう言って額にキスをしてくれた。

「うぅ…ゼインに恥ずかしいとこ見られちゃった…。久しぶり、ゼイン!」

 先週会ったばかりなので久しぶりというわけでもないのだが、会いたすぎて時間の流れが遅く感じてたためにそう言ったのだ。
 そういえばこの6年でかなり変わった。王太子は三年前に隣国の第三王子と結婚したし、子供も一人産んで今もうひとりお腹の中にいる状態だ。その王子はエスターと言う人で、黒曜石のような黒髪に青色の瞳の美人さん、王太子とはラブラブだった。とてもいい人でこの人が将来僕の義兄?になるのか、と思うと嬉しくて仕方なかった。

「最近学園はどう?ふふ、これ先週も聞いてたね。」

 ゼインの自室に着くと、既にお茶が用意されていた。ずっと変わらないけれど、僕が大きくなってもゼインは僕を膝の上に乗せてお菓子を手ずから食べさせる。僕はまだ身長差が縮まらない…そう思いつつもゼインの胸元に後頭部をすりすりと擦り付けていた。

「えっとね?この間ミラの…あ、ミラってあの三日月の痣の子ね?そのミラの対の痣を持つ人を、お兄様に調べてもらおうと思って、一昨日の夜お兄様に頼んだの!」

「ああ、トイルズ伯爵家の。そうか、ルカは優しいね。ジークくんは今隣国だったね?だから頼んだのかい?」

 せっせと口にクッキーを運ばれ、もう子供じゃないのに…と思いながらも嬉しく思っているとそんな事を聞かれた。

「うん、そうだよ!」

「ふふ、そっか。やっぱり寂しい?今までアレク殿やジークくんが長いこと家を離れるなんてなかったでしょう?」

 そうなのだ、今回の遠征は行きと帰り含めて1カ月。今まで母様や父様が1週間程家を空けるのはたまにあったけどここまでではなかった。確かに言われれば…

「うん、ちょっと寂しい。それにね…ゼインとも前より会えなくなったでしょ?だからもっと寂しいの。学生の本分は勉強ってことはわかってるのだけど。」

「そうだね…私も寂しいな。クリス殿もね、最近私の執務室にお仕事で来ていたのだけれど、アレク殿が居ないのが耐えられなさそうだったよ。まだルカがいてくれるから耐えてるみたいだけどね。」

 父様やっぱりギリギリなんだ…

「よかったらさ、王宮にクリス殿と泊まりに来ないかい?私も少しギリギリなんだよ。ルカが足りない。王宮から学園に通えば時間も短くなるだろうし、クリス殿も実家だろう。どうかな、私は前みたいに一緒に寝たいな?」

 よく見ればゼインの顔にいつものようなキラキラがない。少し疲れが滲んでいるし、肌も少しガサガサしている。これは睡眠が足りないのかも。僕が一緒に寝ないと、もしかして遅くまで仕事してるのかな…?

「うんと…王様がいいよって言ってくれるなら僕もゼインと一緒に寝たい!一人で寝るのはもう慣れたと思ったんだけどね、やっぱり隣にゼインが居ないのはちょっと落ち着かないの。」

 するとゼインは顔を少し赤くして僕の首にグリグリと押しつけてきた。

「もう…可愛すぎ。」

 今のどこが可愛かったんだろうか…?

 そう思っているとチクッとした痛みが項に走った。

「いたっ、なぁに?」

「ふふ、ごめんね。私の物だって印付けたくなっちゃった。」

「印…?」

「気にしないで。じゃあ父上に許可を取りに行ってくるから、そこで待っててね。」

 今から?まあ、いっか。

「わかった~」

 じゃあ待ってる間にこのパウンドケーキ食べちゃお。

 ぽふぽふ、もふもふ

 ぱく

「おいし。」

 ぱくぱく

 もぐ…

「一人で食べるのちょっと味気ないなぁ…」

 やっぱり後で食べさせてもらおっと。












「おい、この瞬間を映す魔道具は何かないのか。口の端にケーキがついてる…!舐め取ってやりたい…!私を煽り殺しに来ているに違いない…。」

「殿下ますます変態度が上がりませんでしたか?ほら、はやく許可を取りに行かないと、メイドや使用人が驚いてますよ。」

「ぐっ…わかった……」







 
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