あの子の花に祝福を。

ぽんた

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25.フースカへ。

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 ミラからお手紙が来て、母上達は領地のことがあるから侍従と一緒に行く旨が書かれていた。僕の両親もお兄様も騎士団のことがあるからルイスと一緒に行く。あと護衛何名か。ミラもそうだろう。その話をネローにすると、護衛は自分の所で用意するから問題ないよと言われた。その話をゼインにすると

「万が一ということもある。分からないように私個人の護衛と王家の護衛を付けさせるからね。……ネロー殿下には気をつけなさい。いいね?」

 ゼインにフースカに行くことを告げてから、このように度々神妙な顔をすることが多くなった。僕を心配してるのはわかるのだけど、何か他にも理由がありそうだった。

「う…ん、わかったよ?」

 そう答えると困ったように笑ってゼインは僕の頭を撫でた。













「「おお~!!」」

 今日がフースカに行く日だ!前日にミラが王宮に泊まって、フースカ御一行が帰るのと合わせて僕たちも一緒に行く。ネローのお父様はとてもほんわかした人で、レオン陛下みたいに威厳がある人じゃなかった…。でもとてもいい人なのはわかったよ!

「これがフースカの馬車!王国の馬車もすごかったけど、こっちの馬車もすごいね、ミラ!」

「だね!やっぱり水の都って言われてるからか、馬が魔獣のケルピーだなんて!使役するの大変だったんじゃないかなぁ…!」

 いつも穏やかなミラがここまではしゃいでるなんて!ふふ、やっぱり運命かもしれない人に会えるの、すごく楽しみだったんだろうなぁ!

「ミラくん、ルカ。私と父上と君たちが乗る馬車はあれだよ。全部そっくりな馬車だけど、狙われないようにするためだから。間違えないでね、ふふ。」

「ネロー殿下…ぼ、ぼく王様と同じ馬車に乗るんですか…!!」

 あら、ミラが青ざめちゃった。

「ふふ、大丈夫だよ?父上は王様っていうより近所のパン屋の店主みたいな人だから。」

 なんて的確な!!

 ルイスとミラの侍従、その二人の侍従は僕たちの馬車の後ろに乗るみたい。ルイスに手を振るとニコリと笑って小さく振りかえしてくれた。

「じゃあゼイン、母様父様お兄様!行ってきますね!」

「「「行ってらっしゃい」」」

 するとゼインはゆっくり僕へ近づいてきて、まるでもう会えないかのような必死さが伝わるハグをしてきた。

「ルカ、楽しんでくるんだよ。あちらに滞在するのは2週間だったね、気をつけて。陛下、万が一が無いようにお願い致します、この子はこの王国とアーバスノット公爵家の至宝でございます。何かがあればその時は。」

 きつく抱きしめられてゼインの顔が見えないから表情はわからないけれど、硬くて冷たい声だった。

「ああ、もちろん。わかっているよ、ゼイン殿下。こちらからも護衛は付けさせているし、何よりネローがミラくんとルカくんを守ろうと主体になって動いてますからなぁ。」

「………それならば安心でございますね…。」

 物凄く不服そうな声が聞こえたけれど、そろそろ離してくれないだろうか、顔が見たい。

 そして本当に別れの時間が近づいてきて、僕たちは馬車へ乗り込んだ。最後までゼインは心配そうな表情をしていて、この旅行に少し嫌な予感がしたけれど、僕には母様達が作ってくれた魔導具があるからと安心していた。












「ミラ、あそこの建物って何?」

「あれは武器屋かな?ほら、建物の前に剣がかけてあるよ。」

「ほんとだ、あんな所においてて盗まれないのかな?」

「あれはの盗難防止の魔法がかけられてるんじゃないかの?」

 ミラと景色のはなしをしていると、王様が答えてくれた。なるほど盗難防止。たしかに。

「王様、僕たち最近魔法の勉強をし始めたんですけど、盗難防止でもどんな種類があるんですか?」

「そうだのぉ…盗もうとしたら派手な音が鳴るもの、人手では持てないような重さになるもの、相手を攻撃するものがあるな。一番価値が高いのが攻撃するものだ。おそらくあの武器にはその魔法がかけられているはずだぞ。」

 この王様、パン屋の店主だと思ってたけど博識だ!!ネローを見ると苦笑していて、僕たちが驚いていたのがドツボにはまったらしい。

「さて、ミラくんだったね。私の息子、第三王子のヴレーヒが太陽の痣を持っている。あの子はとても勤勉で知識欲がすごい子だ。おそらく王が持つべき知識量より遥かに多いのではないのかな。ただまあとにかく研究が大好きなのだ、イードルはな。だからというか、いくら運命の相手でも、研究が優先されてミラくんを疎かにしてしまうことがあるかもしれない。それでもいいのかい?」

 とても優しい、僕のお父様のような、全てを包み込む表情をしてミラに尋ねていた。

「はい。僕も勉強は好きですから、一緒に研究とかできたら、とても楽しいと思います。」

 いつものミラじゃないような明るい顔でそう言い切った。








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