あの子の花に祝福を。

ぽんた

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33.大事なことを言わない王様。

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 僕が寝落ちしてから何時間経ったんだろう、目を開けたいけど目が開かない…。
 あ、頭撫でられてる…。この撫で方、ゼインにそっくり。ゼインここには居ないのに。
 そういえば、王様、なんて言おうとしたんだろ。
 今夜辺り?今夜辺り、何があるんだ。
 もうちょっと僕が目を開けてたら聞けたかも知れないのに。もう、僕のおバカ。

『ふふ、眉間に皺が寄ってる。可愛い。』

 あれ、ゼインの声がする…。

『そうです私の弟は可愛いんです本当に…!』

 お兄様の声も…?

『あはは、君は本当にルカが好きだね。』

『ええ、貴方のもとに嫁がせたくないほどです。』

 え、お兄様そんなふうに思ってたの…?

『おや、私はそこまで嫌われているのか。』

『さあ。でも、純粋無垢な弟をケダモノの元へやりたくないのはどこの兄も同じですよ。』

 ケダモノ?え、僕ゼインの婚約者じゃないの?!獣に食べられちゃうの?!

「ゼインとけっこんしゅるのぉぉ!!」

 あまりにも怖い内容で、僕は一瞬でガバリと目覚めてしまった。

 あ、やべ。よだれでてる…。じゅるり…。

 あれ…?さっきまで話し声聞こえてたのに、静かだ。やっぱり誰も居なくて、夢だったのかな?

「うっふふふふ…なんて幸せなんだ、私は。」

 ばっ、と振り向くと、ベッド脇に座るゼインと側に立つお兄様が。

「えっ、え?!なんでゼインとお兄様が?!え、幻覚?」

「幻覚じゃないよ。聞いてない?今日私達がフースカにつくって。」

 あれはこういうことだったんですね王様…!
 もっと早くに言ってくださいよ…!

「言われてなかったんだね…。ふふ、ルーベン様はそういう所あるから、今頃フレディ様にこっぴどく叱られてるんじゃない?」 

「ちなみにお兄様は殿下の護衛という名分でここに来たんだよ。さすがに母上達が来ると、国の要がごっそり抜けることになるから…はは」

 だからお兄様もいるのか~!納得。
 ゼインが腕を広げると、僕はベッドシーツから抜け出してぎゅっと抱きついた。

「ふふ、久しぶりのゼインだ…。」

 お兄様の前だけど、もう2週間も会ってないのだ。ムギュムギュ抱きつくくらい、見逃してほしい。

「あっ!そうだ!僕獣に食べられるの?!ゼインの婚約者じゃないの?!」

 ハッとしたように聞くと、2人は気まずそうに目を逸らし始めた。

 やっぱり僕、食べられちゃうんだ…。

「あっ、な、泣かないでくれ、ルカ!違うんだよ、ルカを食べるのは私…」

「うわあーー!!やめてください殿下!!私の弟にふしだらなことを教えないでください!!」

 わーわーぎゃーぎゃーと言い合いしているのを見ていると、段々これは僕の勘違いなのでは?と思い始め、2人の様子に少し可笑しくなり始めた。

「ふふ、ふふふ…」

「………その、ルカは獣になんて食べられないよ。私が必ず守るから。それに、ルカの家族もね。
 君は私の婚約者だし、最初から最後まで全て私のものだ。
 だから、ルカも私以外にルカをあげないでね?」

 僕の全てを絡め取るように指を絡め、どろどろに甘い瞳で僕を見る。

 なんだろう、すごく…胸が痛い…。ドキドキして、ゼインのこと、見れないや…。今まで、こんな事なかったのに。

「ねぇ、私がいること忘れてない?少しくらいは良いかなって思ったけど、お兄様の存在を忘れないでほしいな。」

「あうああわあああ」

 どん!とゼインを押し退けてベッドに戻る。

 そのときの彼の表情なんか、僕は見ていなかったんだ。

「あのね、イチャイチャするのもいいよ?私も婚約者とはしてるし。でもね、限度というものがあって…」

 そこから1時間のお説教。
 最終的にお兄様は号泣しながら、

「お兄様はまだルカをお嫁に出す覚悟は出来てないのにいぃ~!!!」

 と。暫くはお兄様の前でいちゃつくのやめよう…と静かに決心した僕だった。それが悲劇を招くとも知らずに。

 その日はイードル様も、ミラもヴレーヒ様も、全員集まって夕食。
 王様たちからは、只管感謝されて、ゼインやお兄様に対しても、ネローのことをありがとう、と。

 ネローはどうやら、もう少しだけかかるそうだ。
 催眠にかかっていた年月が長すぎて、魂に魔法が絡みついているらしい。

 それを聞いた夫妻は泣きそうな顔をしていたけれど、イードル様が上手く空気を変えてくれたおかげで楽しい時間になった。







「あれ?もう僕達部屋別れるの?」

 各々部屋に帰ろうとすると、漢のメイドさんがミラと僕の部屋を今日一人部屋に戻すと伝えてきた。
 多分ゼイン達が来てくれたし、ミラもヴレーヒ様という婚約者が出来たからだろう。

 皆と別れて部屋に入り、ルイスも下がった頃。

 コンコン、と静かなノックが聞こえてきた。

『ルカ?私だよ。』

 ゼインだ!
 寝ようとベッドに入っていたけれど、今日はゼインと一緒に寝られるのかな?

 そしてガチャリ、と開けると、そこには暗い表情のゼインが。

「ゼイン…?どうしたの?あ、あったかいお茶、飲もう?入って!」

 手を引っ張ってテーブルまで連れて行くと。

「わっ!」

 引っ張っていた手を逆にグイッと引き寄せられて、全身をゼインに預ける形になっていた。

「ゼ、ゼイン…?」

 どうしたんだろう?様子がおかしい。

 そう思っていると、すぐにお姫様抱っこをされてベッドに荒々しく投げられた。

「ぐっ…!ど、どうしたの?ゼイン?な、なんか…怖いよ…?」

 ゆら、ゆら、と近づくゼインの瞳を見ると、ゾッとするほど光がなく。

「ねぇ、どうして、私を突き放したの?私のこと、嫌になった?あの後も、いつもなら手を繋いだり抱きしめたりしてくれるのに。私のこと、避けてたでしょう?ねぇ、どうして?」

 ベッドに無理矢理横たわらせられた僕に、覆いかぶさるゼイン。

「だっ、て…お兄様が、僕達がイチャつくの、見る覚悟が、ないって…。だから…」

「だから、避けてたの?ふふ、嘘でしょう?私に嘘を吐くなんて、悪い子だね。」

 嘘じゃない、嘘じゃないのに…。僕が、あの時恥ずかしさのあまり、突き放さなきゃよかったんだ…。

「ごめ、なさ…い」

「やっぱり嘘ついてたんだ…。許してあげない。…もう少し、待とうと思ったんだけど。」

 そう言った途端、何の感情も映さない彼の瞳が近づいてきて、噛みつくようなキスをされた。













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