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第1章 始まりの海国
更新・魔王の配下を倒せ!
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担ぐのではなく大剣を振り回しながらクレイスは駆け抜けた。
遠心力を使って、振り下ろした剣の先端に全ての重心が乗った瞬間に飛び、円を描いて加速する。
それを使って岩場を高速移動する勇者は音色が止む前に入江の中に到着することが出来た。
太陽光が差し込む狭まった入江の奥に、その音の中心となる人物が悠然と佇んでいる。
揺らめくように輝く不思議な弦楽器を携えて。
「ほう」
「神獣の音色っていうのは君が原因かな?」
地面に着きそうなほどの金髪をなびかせる細身の男は、固く瞳を閉じていた。
布で出来た軽装は、まるで吟遊詩人。
今も音色を奏でる弦楽器がさらにその印象を強める。
整った顔の表情を一切変えることなく、小さく口だけを動かした。
「私の音色は神獣に匹敵する、ということかね?」
「——街の人たちも言ってたよ。セイレーニャが復活したって」
街の微妙な活気の元凶、国一つ軽々と惑わせる魔王軍の実力者を前に武者震いが大剣を伝う。
強くなった力を試すには格好の相手だとクレイスは口角を吊り上げる。
「その楽器で……」
「ああ。この竪琴は音楽の神「ファルビート」の神片から作り出したもの……私の技術で引けば、どんな音色でも奏でられるよ」
一瞬だけ開いた瞳に気押されるように大剣の陰に隠れたクレイス。
「例えば、このようなものも」
直後、甲高い金属音と共に轍を作りながら数メートル後ろへと下がらされた。
衝撃波のようなものが飛んだ事は理解したが、神片の詠唱や攻撃動作など、脅威になるものはクレイスには一切感知出来ずにいる。
「魔王の配下か……お前!」
「ああ。私は千手のフォゼ。フォゼ・ロートアスタ」
『更新・魔王の配下を倒せ!』
神獣を探す行事、更新されたということは魔王軍が黒幕だと示されたも同然。
クレイスも容赦はしないと踏み込むが、再び奏でられた弦楽器により、四方八方からの衝撃に襲われる。
「魔王様に小手調べを頼まれてね。つまらなければ始末してよい、と仰せつかっている」
「くっ! ぐぅっ?」
不可視の衝撃に対し防御を繰り返すが、クレイスは接近戦しか出来ない超前衛。
謎の遠隔攻撃を繰り返すフォゼとは最悪と言っていいほど相性が悪い。
「神とは神の域にあるから神なのだよ」
「気取ってるね……何意味分からないこと言ってるのさ?」
「私の奏でる音色は神獣以上……神に匹敵するのさ」
弦楽器であるにも関わらず、奏でられた音はまさに大砲の発射音。
途轍もない衝撃を受けたクレイスは防御しきれずに海の中まで吹き飛ばされた。
「ふむ、やはり神の創りし剣というだけあって、丈夫だな」
水を滴らせ、砂浜まで戻るクレイスは真剣な表情で大剣を構え直した。
「その竪琴すごいな。楽器に助けられてるよ君」
「ふむ」
見え透いた挑発にあえてフォゼは乗ることにした。
それほどに彼の音楽へかける想いや矜持というものは大きいのだろう。
「言葉をそのまま返してやろう」
「伊達や酔狂で勇者やってるんじゃないんでね」
鋭い音色は飛ぶ斬撃となってクレイスを襲う。
不可視の斬波で再び吹き飛ばされるはずのクレイスだったが、迷いのない瞳で大剣を振り下ろし音を両断する。
「なにっ!?」
二つに割れた斬波は海に直撃し、水面を大きく斬り裂く。
それほどの威力であるにも関わらずクレイスは一切動じず、追撃に移った。
「僕も同じだって言ったっけ?」
呆気にとられていたフォゼは初動が遅れ、広範囲に衝撃の旋律を奏でるがそのままクレイスの一撃で後退を余儀なくされる。
防御の旋律で負傷は免れたが、倒れ込んで砂浜に金色の細髪を投げ出すことになってしまう。
「僕は使われてるんじゃない。この剣、サング・オブ・ブレイバーを使いこなしてる」
「勇者の唄か……生意気なッ!」
そこからは超至近距離での剣戟同然だった。
目にも止まらぬフォゼの奏法。
そして黒き大剣を片手剣のように振り回し続けるクレイス。
一進一退の攻防はどんどんと加速していく。
「うおぉぉおおおお!」
「はぁぁぁぁぁぁあ!」
水が斬り飛ばされ、砂塵が舞い、岩場が抉れる。
これが神に最も近い者達の戦い、現代の戦いなのである。
「素晴らしい。予想以上だッ!」
「三下程度で僕を止められると思うな!」
一瞬の隙をついた袈裟斬りだが、旋律により紙一重で止められてしまう。
奏でられるわずかな音を聞きながら、クレイスは能力を理解した。
「種は分かった。その旋律……錯覚だよね?」
「ご名答。君が吹き飛んだのは、大砲を受けたような衝撃音、裂かれたのは切断音だからさ」
踏み込みを強めても微動だにしないのは、脳が勝手に防御壁を貼られているという錯覚に陥っているからなのか。
本気であればあるほどの旋律の罠にのめり込むというわけだ。
「だが……昂ぶった心をすぐ無に出来るほど、経験を積んではいないだろう?」
鍔迫り合いも罠。
竪琴を持つ右手で旋律を起こすと、クレイスの足場が大きく切り裂かれた。
「私の音は、どんなものにも通用する。砂も私の旋律に聞き惚れたらしいぞ?」
大きくバランスを崩したクレイスは前のめりに倒れ、まるで首を差し出すように宙を舞う。
「若いな。苦戦を演じればすぐに食いつく」
断頭台を落とそうとフォゼが弦に手を掛ける。
その絶対絶命の窮地に、クレイスはわざと剣を素早く振り下ろして地面を叩く。
砂が舞うと同時にその勢いでフォゼの背後へと飛んだ。
「もらった!」
縦回転しながらの切り上げ。
しかし、フォゼは攻撃に転じようとしていた右手の旋律を素早く回避に切り替えて自分自身を大きく弾き飛ばす。
クレイスは大きく空振ったが、その場にはフォゼの金髪がはらりと砂浜へ舞っていた。
「あと少しだったのにな」
「いやぁ……若さとは怖いものだ」
「そんなに歳変わらないだろう? 達観気取るには早いんじゃない?」
声が空気を伝う震えさえも何かの術なのではないか、と勘ぐってしまうほどの嫌な予感。
何かを見落としているような不安に剣を握る手が震える。
「……私の本業は援護役でね。主に軍の士気を高めるための演奏をしている」
「冗談きついな……そんなに強いのに後方支援だっていうのか?」
「少しは見込みがあるようだが……君程度の実力者、魔王軍にはごまんといるさ」
再び冷たい瞳に睨まれて額を嫌な汗が伝っていく。
フォゼほどの実力者が言うのなら、きっと虚仮威しではないのだろう。
「試しに戦ってみるといい」
戦闘で気を逸らされていたが、入江へと一隻の小型船が凄まじい速度で近づいていた。
「君を倒すのは私ではないからね。もう少し縫い付けさせてもらうよ?」
そこに嫌な予感の本質がある、クレイスはやっと違和感に目を向けられた。
フォゼの言葉は増援に対してではない。
一番最初にロイケンが言っていた「何かを隠す音」。
隠された本命は数週間ずっと旋律で隠してきた海の中にある、それもすでにフォゼの手から離れつつあると。
「ゆっくりと遊んでやろう。君のための演奏会だ。好きなだけ聞いてくれ」
高く飛んだフォゼは小高い岩場の上に座禅し、宙に浮く鍵盤を取り出した。
「悪いけど、そう言う風情は持ち合わせてないんだ」
軽口を叩いている内に、砂浜に到着した小舟からは十人ほどの黒衣の短剣使いが降りてきた。
よりにもよって短剣かと嘆息するクレイスだが、纏う気迫はそれほど強くもない。
何がそこまでフォゼに自信を与えるのだろうと考えたが、それも始まった旋律で簡単にかき消された。
「始めよう。千手の謂れを教えてやる」
激しく叩き鳴らされる旋律は戦場に響く交響曲。
そこでクレイスはフォゼが援護役だという意味を思い知らされた。
「はあっ!」
予想以上の速さと跳躍。
その飛び込みには確かな威力があった。
抑えきれぬままに数歩後ずさると、残りの九人が巧みに逃げ場を塞ぐ。
剣を振ろうとすれば、数人の短剣が蛇のように絡み付いて取り押さえる。
「くそっ!」
わざと手を離し、巨大な剣の重さに耐えられなくなった兵士たちの体勢を崩させ、反撃を繰り出すがフォゼ以上の素早さで大剣の間合いから逃げられてしまう。
神の武器もある一定以上の実力者を前にすればただの武器同然の力しかクレイスに貸与しないようだ。
「どうだね? 私の演奏は」
「僕の趣味とは合わないね……!」
悪態を吐くが、状況は最悪。
演奏により強化されている兵士たちはフォゼが何人もいるようだった。
防戦どころか死の足音が聞こえてくるようで、鼓膜を破りたくなる。
演奏の厚みといい、速さといい、腕が二本の人間とは思えなかった。
まるで千本の腕で演奏が繰り出されているように聞こえる事から、フォゼは『千手』の異名を手に入れている。
「話さずにどうやって連携してるのさ……」
野盗の時とは比べものにならないほどの連携陣形。
そしてクレイスの呼吸や踏み込みを阻害するように変わる曲調。
浅い一撃だが、次々と入れられる暗撃に心は乱されていく。
やがて岩場の隅に追いやられ、肩で息をするほどに。
「終わりかな?」
遠心力を使って、振り下ろした剣の先端に全ての重心が乗った瞬間に飛び、円を描いて加速する。
それを使って岩場を高速移動する勇者は音色が止む前に入江の中に到着することが出来た。
太陽光が差し込む狭まった入江の奥に、その音の中心となる人物が悠然と佇んでいる。
揺らめくように輝く不思議な弦楽器を携えて。
「ほう」
「神獣の音色っていうのは君が原因かな?」
地面に着きそうなほどの金髪をなびかせる細身の男は、固く瞳を閉じていた。
布で出来た軽装は、まるで吟遊詩人。
今も音色を奏でる弦楽器がさらにその印象を強める。
整った顔の表情を一切変えることなく、小さく口だけを動かした。
「私の音色は神獣に匹敵する、ということかね?」
「——街の人たちも言ってたよ。セイレーニャが復活したって」
街の微妙な活気の元凶、国一つ軽々と惑わせる魔王軍の実力者を前に武者震いが大剣を伝う。
強くなった力を試すには格好の相手だとクレイスは口角を吊り上げる。
「その楽器で……」
「ああ。この竪琴は音楽の神「ファルビート」の神片から作り出したもの……私の技術で引けば、どんな音色でも奏でられるよ」
一瞬だけ開いた瞳に気押されるように大剣の陰に隠れたクレイス。
「例えば、このようなものも」
直後、甲高い金属音と共に轍を作りながら数メートル後ろへと下がらされた。
衝撃波のようなものが飛んだ事は理解したが、神片の詠唱や攻撃動作など、脅威になるものはクレイスには一切感知出来ずにいる。
「魔王の配下か……お前!」
「ああ。私は千手のフォゼ。フォゼ・ロートアスタ」
『更新・魔王の配下を倒せ!』
神獣を探す行事、更新されたということは魔王軍が黒幕だと示されたも同然。
クレイスも容赦はしないと踏み込むが、再び奏でられた弦楽器により、四方八方からの衝撃に襲われる。
「魔王様に小手調べを頼まれてね。つまらなければ始末してよい、と仰せつかっている」
「くっ! ぐぅっ?」
不可視の衝撃に対し防御を繰り返すが、クレイスは接近戦しか出来ない超前衛。
謎の遠隔攻撃を繰り返すフォゼとは最悪と言っていいほど相性が悪い。
「神とは神の域にあるから神なのだよ」
「気取ってるね……何意味分からないこと言ってるのさ?」
「私の奏でる音色は神獣以上……神に匹敵するのさ」
弦楽器であるにも関わらず、奏でられた音はまさに大砲の発射音。
途轍もない衝撃を受けたクレイスは防御しきれずに海の中まで吹き飛ばされた。
「ふむ、やはり神の創りし剣というだけあって、丈夫だな」
水を滴らせ、砂浜まで戻るクレイスは真剣な表情で大剣を構え直した。
「その竪琴すごいな。楽器に助けられてるよ君」
「ふむ」
見え透いた挑発にあえてフォゼは乗ることにした。
それほどに彼の音楽へかける想いや矜持というものは大きいのだろう。
「言葉をそのまま返してやろう」
「伊達や酔狂で勇者やってるんじゃないんでね」
鋭い音色は飛ぶ斬撃となってクレイスを襲う。
不可視の斬波で再び吹き飛ばされるはずのクレイスだったが、迷いのない瞳で大剣を振り下ろし音を両断する。
「なにっ!?」
二つに割れた斬波は海に直撃し、水面を大きく斬り裂く。
それほどの威力であるにも関わらずクレイスは一切動じず、追撃に移った。
「僕も同じだって言ったっけ?」
呆気にとられていたフォゼは初動が遅れ、広範囲に衝撃の旋律を奏でるがそのままクレイスの一撃で後退を余儀なくされる。
防御の旋律で負傷は免れたが、倒れ込んで砂浜に金色の細髪を投げ出すことになってしまう。
「僕は使われてるんじゃない。この剣、サング・オブ・ブレイバーを使いこなしてる」
「勇者の唄か……生意気なッ!」
そこからは超至近距離での剣戟同然だった。
目にも止まらぬフォゼの奏法。
そして黒き大剣を片手剣のように振り回し続けるクレイス。
一進一退の攻防はどんどんと加速していく。
「うおぉぉおおおお!」
「はぁぁぁぁぁぁあ!」
水が斬り飛ばされ、砂塵が舞い、岩場が抉れる。
これが神に最も近い者達の戦い、現代の戦いなのである。
「素晴らしい。予想以上だッ!」
「三下程度で僕を止められると思うな!」
一瞬の隙をついた袈裟斬りだが、旋律により紙一重で止められてしまう。
奏でられるわずかな音を聞きながら、クレイスは能力を理解した。
「種は分かった。その旋律……錯覚だよね?」
「ご名答。君が吹き飛んだのは、大砲を受けたような衝撃音、裂かれたのは切断音だからさ」
踏み込みを強めても微動だにしないのは、脳が勝手に防御壁を貼られているという錯覚に陥っているからなのか。
本気であればあるほどの旋律の罠にのめり込むというわけだ。
「だが……昂ぶった心をすぐ無に出来るほど、経験を積んではいないだろう?」
鍔迫り合いも罠。
竪琴を持つ右手で旋律を起こすと、クレイスの足場が大きく切り裂かれた。
「私の音は、どんなものにも通用する。砂も私の旋律に聞き惚れたらしいぞ?」
大きくバランスを崩したクレイスは前のめりに倒れ、まるで首を差し出すように宙を舞う。
「若いな。苦戦を演じればすぐに食いつく」
断頭台を落とそうとフォゼが弦に手を掛ける。
その絶対絶命の窮地に、クレイスはわざと剣を素早く振り下ろして地面を叩く。
砂が舞うと同時にその勢いでフォゼの背後へと飛んだ。
「もらった!」
縦回転しながらの切り上げ。
しかし、フォゼは攻撃に転じようとしていた右手の旋律を素早く回避に切り替えて自分自身を大きく弾き飛ばす。
クレイスは大きく空振ったが、その場にはフォゼの金髪がはらりと砂浜へ舞っていた。
「あと少しだったのにな」
「いやぁ……若さとは怖いものだ」
「そんなに歳変わらないだろう? 達観気取るには早いんじゃない?」
声が空気を伝う震えさえも何かの術なのではないか、と勘ぐってしまうほどの嫌な予感。
何かを見落としているような不安に剣を握る手が震える。
「……私の本業は援護役でね。主に軍の士気を高めるための演奏をしている」
「冗談きついな……そんなに強いのに後方支援だっていうのか?」
「少しは見込みがあるようだが……君程度の実力者、魔王軍にはごまんといるさ」
再び冷たい瞳に睨まれて額を嫌な汗が伝っていく。
フォゼほどの実力者が言うのなら、きっと虚仮威しではないのだろう。
「試しに戦ってみるといい」
戦闘で気を逸らされていたが、入江へと一隻の小型船が凄まじい速度で近づいていた。
「君を倒すのは私ではないからね。もう少し縫い付けさせてもらうよ?」
そこに嫌な予感の本質がある、クレイスはやっと違和感に目を向けられた。
フォゼの言葉は増援に対してではない。
一番最初にロイケンが言っていた「何かを隠す音」。
隠された本命は数週間ずっと旋律で隠してきた海の中にある、それもすでにフォゼの手から離れつつあると。
「ゆっくりと遊んでやろう。君のための演奏会だ。好きなだけ聞いてくれ」
高く飛んだフォゼは小高い岩場の上に座禅し、宙に浮く鍵盤を取り出した。
「悪いけど、そう言う風情は持ち合わせてないんだ」
軽口を叩いている内に、砂浜に到着した小舟からは十人ほどの黒衣の短剣使いが降りてきた。
よりにもよって短剣かと嘆息するクレイスだが、纏う気迫はそれほど強くもない。
何がそこまでフォゼに自信を与えるのだろうと考えたが、それも始まった旋律で簡単にかき消された。
「始めよう。千手の謂れを教えてやる」
激しく叩き鳴らされる旋律は戦場に響く交響曲。
そこでクレイスはフォゼが援護役だという意味を思い知らされた。
「はあっ!」
予想以上の速さと跳躍。
その飛び込みには確かな威力があった。
抑えきれぬままに数歩後ずさると、残りの九人が巧みに逃げ場を塞ぐ。
剣を振ろうとすれば、数人の短剣が蛇のように絡み付いて取り押さえる。
「くそっ!」
わざと手を離し、巨大な剣の重さに耐えられなくなった兵士たちの体勢を崩させ、反撃を繰り出すがフォゼ以上の素早さで大剣の間合いから逃げられてしまう。
神の武器もある一定以上の実力者を前にすればただの武器同然の力しかクレイスに貸与しないようだ。
「どうだね? 私の演奏は」
「僕の趣味とは合わないね……!」
悪態を吐くが、状況は最悪。
演奏により強化されている兵士たちはフォゼが何人もいるようだった。
防戦どころか死の足音が聞こえてくるようで、鼓膜を破りたくなる。
演奏の厚みといい、速さといい、腕が二本の人間とは思えなかった。
まるで千本の腕で演奏が繰り出されているように聞こえる事から、フォゼは『千手』の異名を手に入れている。
「話さずにどうやって連携してるのさ……」
野盗の時とは比べものにならないほどの連携陣形。
そしてクレイスの呼吸や踏み込みを阻害するように変わる曲調。
浅い一撃だが、次々と入れられる暗撃に心は乱されていく。
やがて岩場の隅に追いやられ、肩で息をするほどに。
「終わりかな?」
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