キュートなモブ令息に転生したボク。可愛さと前世の知識で悪役令息なお義兄さまを守りますっ!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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高等部

167、みなさん優しい方ばかりでした

一週間遅れで顔合わせだなんて、どうなることかと思ったのだけれど。
朝の一幕以外はとても順調。
クラスメートのみなさんが三つも年下のボクを思いのほか好意的に受け入れてくださったから
このクラスに来てたった1日なのに、なんだかとても「ボクのクラスなんだなあ」と言う感じ。
先生も含めて皆さん揃って「もう大丈夫なのか? 何かあればジルベスター様に言うんだぞ?」と口にするあたり、お兄様=ボクの保護者と言う認識みたいです。

今朝のジェシー付き纏いの噂は、思っていたよりも早く学園中を駆け巡りました。
ボクの目論見通り、おおむねボクたちが被害者、ジェシーが加害者ということになっているようです。
「ジルベスター様の弟が、一度会っただけの奴に執着されて付き纏われている」
「可愛いと評判のジェシーは本当は腹黒のヤバいやつだった」
「アイク様とジルベスター様がまるで騎士のように可憐な弟(ボクです)を守っていた」
「温厚なイクシス様まで怒りをあらわにしていた」
とこんな感じ。

シス様の先導でお兄様とアイク様に挟まれて廊下を歩いていると、すれ違う方々が「ああ、この子が」とボクを振り返ります。
本来守られるべき王族アイク様と、ボクが守るべきお兄様に、なぜかモブのボクが守られているこの状況。
なんだか居たたまれません。
アイク様の側近のはずなのにボクのサポートをしてくださるシス様にも申し訳ない。
まるでボクがか弱い深層のご令息のようです。

でも結果的にお兄様たちの株は爆上がり!
「弟さんを守る姿がとても素敵」
「愛情深いかたなのね」
「弟さんに向ける眼差しの優しさと、あのおかしな人に向ける冷たい眼差しとのギャップがたまらない」 
そう。みなさまお兄様の優しさと強さ、素晴らしさを理解してくださったのです!
ジェシーに向けたキリリとした眼差しにはボクもほれぼれしてしまいましたもの。
一歩も引かぬあの雄姿を見れば、そりゃあ、ファンになります。むしろならなければおかしい!

ある意味これでボクの目的は一部達成されたといえるのかもしれません。
アイク様たちとお兄様との仲が良好であることも学園に知れ渡りました。
そのおかげなのか、ゲームのようにお兄様を貶める発言はありません。
ボクの夢見たエンディングにまた一歩近づいた気が致します。
非常に悔しいし残念ではありますが、これもリョウが愚かだったおかげだと言えるのかもしれません。
あそこでリョウが本性を隠しきっていたら、ここまで上手くいっていなかったと思いますから。
こうなると、リョウにすら感謝したくなるから不思議です。

リョウにはさんざん嫌なことをされましたが、お兄様をお救いできた今となっては、もうどうでもいい気がします。
今の気持ちを言葉にするのなら「ボクたちに関係のないところで、お好きにどうぞ」と言う感じ。
仮に関わってきたとしても、ボクたちで十分対処できるということが分かりましたし、もう怖くありません。


実際のところ、リョウはまだ諦めてはいないみたい。
今も後ろの方にちらりと見えるピンク。
偶然かと思いましたが、違うみたい。だって、ずっとボクたちの後についてくるのだもの。

ルドは教室にいたはずだから、きっとあれはジェシーです。


でも、リョウはボクに会っていったい何がしたいのでしょう。
出会ったときには「主人公ルート」を辿り、ゲームのピンク頭を演じているように見えました。
実際にリョウジェシーは「主人公」ではなく「主人公のふりをしたモブ」だったので、この印象は当たっていたわけなのですが。
でも、そんなにまでして成り代わったピンク頭なのに、行動に一貫性がないのです。
一つ言えるのは、今朝は明らかにジェシーがボクたちが加害者であるかのようにふるまったこと。
ゲームに添う行動をするのなら、アイク様まで加害者のようにふるまった意味が分かりません。
だって、主人公ルートを奪ってアイク様とのエンドを狙うにしては、アイク様への印象が悪すぎます。
かといって、他のルートなのかと言えば……シス様は元より、ウエイン様にも積極的に絡んでいる様子はありません。

「……どうしましょうか……」

嫌だけれど、一度会ってお話したほうがよいのでしょうか。
嫌だけれど、いつまでも付き纏われるよりはマシなのかも。

いっそ、ミノくんとボクとリョウとの「転生組」ですり合わせを行ってみてはどうでしょう?
ミノくんがいれば何とかなる気がするのです。

「問題は……お兄様がそれを許してくださるか、ですね……」
呟いたボクをお兄様が穏やかに見下ろしております。
「私が何を許すか? 逆に聞こう。どんな許されないことをするつもりなのだ?
まずは話してみないことには何も始まらぬぞ?」 
確かに!




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